「あいまいな喪失」という考え方について

カテゴリー: リハビリテーション部 | 投稿日: | 投稿者:

蒸し暑い日が続きますが、皆さんご体調はお変わりないでしょうか。

私は4月に入職し3ヶ月が経ちました。
最近では、外来にて認知症疾患センターへ受診された患者さんのご家族へ問診を取らせていただくようになりました。お話をうかがっていると、「私の対応がよくないのかも」や「本人から強い言い方をされるのが悲しい」など、ご家族が対応に苦慮されているお話をよくうかがいます。

その際に「あいまいな喪失」という言葉を思い浮かぶことがあり、ここで少しご紹介したいと思います。私が今年の3月に受験した第9回公認心理師国家試験にも「あいまいな喪失」に関する問題が出題されました。

「あいまいな喪失」とは、大切に思う存在との関係が変化し、その変化に対して言葉にしにくい悲しみや戸惑いが生じている体験を捉える考え方です。
例えば、認知症患者さんのご家族の場合は、認知症により以前のご本人と大きく変わってしまったと感じて喪失感を抱く場合もあると思います。

以前のように会話をしにくくなったと感じたり、これまでの役割や生活が変わったりするなかで、ご家族が戸惑いを感じることは決して特別なことではありません。しかし、認知症の症状にもグラデーションがあるからこそ、周囲にもご家族自身にも理解しにくい「思い」があるように思います。

「あいまいな喪失」という言葉を知ることで、「自分だけではない」「この気持ちには名前がある」と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。ご家族自身のこころの変化にも目を向けていただくことで、ご本人への理解やよりよい関係づくりにつながる可能性があります。

当院において、ご家族が認知症について学ぶ家族教室や、ご本人・ご家族が気軽に集えるわくわくカフェ(もの忘れカフェ)を開催しています。こうした場が、ご本人やご家族にとって、病気との付き合い方やご自身の気持ちを振り返るきっかけの1つになれば幸いです。
そのような場を通して、私自身もご本人やご家族の方々を一緒にサポートしていけたらと思っております。

公認心理士 I