GI値(グリセミック・インデックス)という言葉を聞いたことがありますか?最近ではスーパーの食品売り場で“低GI“という表示をみかけたことがあるのではないでしょうか。
GI値は食品ごとの血糖値の上昇度合いを間接的に表現する数値で、ブドウ糖の糖質の吸収度合いを基準値の100として、70以上の食品を高GI食品、56〜69を中GI食品、55以下を低GI食品と定義しています。GI値が低いほど食後の血糖値の上がり方は緩やかで、GI値が高いほど食後の血糖値は急上昇します。
カロリーが高いほどGI値も高いイメージを持つかもしれませんが、そうとは限りません。同じ糖質を含む食品でも、種類により体に吸収される速度や比率が異なります。例えば玄米と精白米でも大きな差があり、玄米のGI値は55なのに対して精白米は88です。高カカオチョコ(カカオ72%)は29なのに対しミルクチョコは91です。
低GI食品は食後の血糖値の上昇が穏やかで、太りにくいといわれています。糖尿病の方でなくても、食後に血糖値が上がるのは身体の正常なメカニズムですが、血糖値を急上昇させやすい高GI食品ばかり食べると、インスリンが過剰に分泌されます。
インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンですが、血液中の糖分を脂肪に変えて体に溜め込む働きも持っています。そのためインスリンが過剰に分泌されると、肥満に繋がる可能性があります。低GI食品であればインスリンの分泌が穏やかになり太りにくいと考えられています。
低GI食品の中でも、おすすめなのが大豆製品です。大豆製品は低GI食品であるだけでなく、大豆に含まれるたんぱく質や食物繊維といった栄養成分が、糖質の吸収を穏やかにする働きをもっていることが分かっています。ミネラル、脂質、ビタミンなどの栄養も豊富で、腹持ちもよいという特徴もあります。
GI値の意味が分かると、早速「血糖値を上げる高GI食品を減らしていこう」と高GIの“炭水化物”を減らしたくなると思いますが、糖質は体にとって必要不可欠なエネルギー源でもあります。摂り過ぎは禁物ですが、不足すると疲れやすくなったり、筋肉量が減って太りやすくなったりしてしまいます。そのため、炭水化物だけではなく、たんぱく質や野菜など色々な食材をバランスよく組み合わせた食事が重要になってきます。低GI食品を上手く活用し健康な食生活を送ってくださいね。
糖尿病療養指導士 管理栄養士 MS
※イラスト:イラストAC