カテゴリー別アーカイブ: 認知症疾患医療センター

楽しみはありますか?

日頃,「楽しみはありますか?」とお尋ねすると、「この歳になってもう楽しみなんかありません」、「自分がこんなだから楽しみは忘れました」、「別に楽しみなんかありません」、「そんなことを言われても困ります」、「三食昼寝付きでもういいんです」と答えられる方もたくさんいらっしゃいます。
私たちの生活を支えている脳の機能である「認知機能」を維持したり活性化したりするキーワードは、「栄養」、「運動」、「交流」にあると言われています。そして、それらの重なりが多く、かつ「楽しめる」ことは、認知機能を維持し、認知症の予防や認知症になってからの進行予防につながると言われています。
全仁会の中にも、きっと皆さんの「楽しみ」につながる色々な施設やサービス・アクティビティがあると思います。お気軽にスタッフに尋ねてみてください。

認知症疾患医療センター w

 

第8回 わくわくカフェ 開催報告

10月20日(土)、認知症疾患医療センター主催の第8回「わくわくカフェ」がケアセンター多目的ホールで開催され、21家族40名の参加がありました。第8回のわくわくカフェは本来7月7日(土)に実施する予定でしたが、倉敷の豪雨の影響により、急遽中止となりました。7月7日に参加予定であった方も今回のカフェに多くの方が参加していただきました。

今回、涌谷先生からは脳を守るために日常生活で気をつけることや音読が脳に良いことをわかりやすく話をしていただきました。

「元気にわくわく体操」では、通所リハビリの山本作業療法士と松永理学療法士より、認知症予防のため家庭でも取り組める楽しい体操を参加者とスタッフ全員で取り組みました。ゲームタイムでは声を発することなく身振り、手振りでお題を伝えていく「ジェスチャーゲーム」を行いました。参加者同士が協力し、難しいお題    では色々と悩みながらも正解した時には明るい笑顔があちこちでみられました。

 

後半は、「ホットケーキ作り」、「カレンダー作り」、「昔の遊びコーナー」、「脳トレ」などのブースに回っていただき、どのブースも大変盛況となり、患者さんやそのご家族とのつながりを深める一つのきっかけになったのではないかと思います。

今後も、認知症について地域の人々がわくわくと楽しみながら向き合える機会のお手伝いができるよう頑張って参ります。

 

リハビリテーション部 CP    W

「RUN伴2018」に参加して

もしも私が認知症を発症したら、今住んでいる地域は住みよい環境でしょうか。スーパーの店員は、小銭を出すのに時間の掛かる私を、穏やかに待ってくれるでしょうか。後ろに並ぶお客さんは圧をかけずに待ってくれるでしょうか。

RUN伴とは、認知症の方と一緒に、誰もが暮らしやすい地域を創ることを目指したイベントです。今年は県内で154名が参加しました。倉敷エリアでは倉敷平成病院、川崎医療福祉大学、玉島、の3地点からスタートし、ゴールはぶどうの家真備でした。今年は被災からの復興を祈念する意味でも想いの詰まったタスキリレーとなりました。倉敷平成病院は重松先生、森課長をはじめとする7名が参加し、総社市までタスキを繋ぎました。総社への道のりでは傾斜の急な上り坂に苦労しましたが、重松先生の力強い走りで引っ張って頂き、乗り越えることができました。

これから認知症患者は2025年までに約700万人に達すると推計されています。認知症を発症するのは私かもしれませんし、みなさんの大切な人かもしれません。我々が、住民が、企業が、そして地域が認知症を理解することによって、掛ける言葉や行動が変わり、認知症の当事者やご家族の過ごしやすさが変わるかもしれません。
全仁会が参加する、このRUN伴の活動がその一助になれることを願い、今後も活動を継続していきます。

倉敷老健 理学療法士 T

認知症のタイプとBPSD

前回は、支援する人の負担に繋がりやすいとされる、認知症に伴う行動・心理的症状(BPSD)に関してお話ししました。認知症における心理・行動症状(BPSD)は、さまざまな要因が複雑に絡み合って生じる副次的な症状であるというお話をしましたが、今回は認知症の種類に由来する(疾患の中心的な症状ともいえる)心理・行動症状について少しお話したいと思います。
まずはおさらいから。認知症という単語は、認知機能障害を生ずる疾患の総称を意味しています。下の図ではこの認知症状を引き起こす代表的な病気・病態を示しています。

今回は、上の図のさまざまな認知症を引き起こす疾患のなかでも、レビー小体型認知症について、その特徴とBPSDについて取り上げてみたいと思います。下の図はレビー小体型認知症に特徴的な症状を示しています。

レビー小体型認知症を有する方が、これらの症状すべてを必ず伴うというわけではありませんが、アルツハイマー型認知症の症状とは実に異なる様々な症状がレビー小体型認知症ではみられます。さらに、上記の症状が記憶障害よりも先行して現れるケースが多いことも、アルツハイマー型認知症とは大きく異なる特徴と言えます。 今回のお話では特に、認知症の範囲で分類されているアルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症をBPSDの側面から比較してみてみましょう。下の図をご覧下さい。

アルツハイマー型認知症のBPSDは、これまでお話してきた記憶障害+α(前回のお話をご参照ください)に基づくことが多いものの、レビー小体型認知症のBPSDでは、視覚認知機能障害(何がどのように見えるか、という脳の情報処理の障害)に基づくことが多いようです。つまりそこにはないものが見えないものが見えたり(幻視)、ある物を見た時に別のものに見えたり(誤認妄想)するような症状はレビー小体型認知症におけるBPSDの大きな特徴の一つと言えるでしょう。

上の2つの図は、レビー小体型認知症の幻覚とそれに伴う妄想の一部の例を紹介しています。レビー小体型認知症を有する方が感じる幻覚には、非常に強い現実感を認識され、同時に恐怖や不安な気持ちを伴うケースが多いようです。
つぎに、睡眠に関してもレビー小体型認知症では特徴的な症状があります。
一般的に人は、一晩の睡眠の中でも、からだの睡眠と脳の睡眠が交互に複数回入れ替わっています。専門用語では「レム睡眠」「ノンレム睡眠」といいますが、テレビなどでお聞きになったことがある方も多いのではないでしょうか。レビー小体型認知症では、レム睡眠の状態にあるときに寝言や大声、何かの行為様の動作などがみられるケースが多くあります。

今回は認知症のタイプとBPSDについて、レビー小体型認知症を例にお話しました。アルツハイマー型認知症を有する方のご家族の負担と、レビー小体型認知症を有する方のご家族の負担の質は大きく異なることが多いと言われています。(他の認知症のタイプにも同様のことが言えます)家族の介護にまつわる負担・悩みの共有(ピアカウンセリング)などの機能を持つ家族会などのコミュニティに関しても、近年では、認知症のそれぞれのタイプに応じた会の細分化が進みつつあるようです。
「もの忘れ」は早期発見・早期治療が重要であり、診断・治療のためには、地域のかかりつけ医師との情報共有が非常に重要です。ご家族や身近な方、またはご自身のもの忘れが気になるという方は、まずはかかりつけ医師にご相談下さい。

認知症疾患医療センター相談室 直通電話番号:086-427-3535
執筆者   CP阿部弘明

涌谷認知症疾患医療センター長のインタビュー記事が「こんにちは、」(2018年10月10日828号)に掲載されました

 このたび、地域密着型の生活情報紙「こんにちは、」(2018年10月10日828号 ジョセイ新聞社発行)に、認知症疾患医療センター長の涌谷陽介医師がインタビュー取材に応えた内容が「セラヴィ(これが人生さ)~高齢者と運転~」として掲載されました。

認知症に対する捉え方や、身体機能の衰えについてやその予防法についてお話して下さっています。また運転時認知障害早期発見チェックリスト30等も紹介されています。ご興味のある方は是非ご一読下さい。

「こんにちは、」は県内各所にフリーペーパーとして設置されているそうです。

秘書広報課

第2回オレンジメモリーウォークin倉敷 参加報告

カテゴリー: 認知症疾患医療センター | 投稿日: | 投稿者:


9月20日、世界アルツハイマーデー(9月21日)の前夜祭で、第2回オレンジメモリーウォークin倉敷が開催されました。オレンジ色のものを身にまとい、「認知症 つながる 心が笑顔呼ぶ」、「寄り添って 共に歩もう 認知症」、「認知症になっても、安心して暮らせる倉敷市をつくろう」の合言葉を唱え、地域の方と交流を持ちながら、全仁会グループ高尾理事長、認知症疾患センター長涌谷医師をはじめ、全仁会スタッフも参加して、大原美術館から倉敷アイビースクエアまでを歩きました。

今回は、雨天でしたが、約130名が参加されたとのことでした。アイビースクエアで開催された集会では、若年性認知症の夫をもつ奥様がスピーチされ、医療機関や支援体制の更なる構築が必要である事を考えさせられました。‟認知機能が低下しても豊かに暮らせる社会”を目指し、今後も当院認知症疾患医療センターでは、一つ一つの課題に向き合い、積極的な活動を続けていこうと思います。

 

 

 

 

 

 

国際アルツハイマー病協会(ADI)が制定した、世界アルツハイマーデーにより、世界各国で認知症についての理解が得られ、認知症は暮らしの要素の一部として、認知症とともにかけがいのない暮らしが作られていく事を強く望みます。

倉敷平成病院 認知症疾患医療センター 医療秘書 U

中核症状と周辺症状について

カテゴリー: 認知症疾患医療センター | 投稿日: | 投稿者:

前回は、支援をする人の負担についてお話ししました。今回は、支援する人の負担に繋がりやすいとされる、認知症に伴う行動・心理的症状(周辺症状)に関してお話したいと思います。まず中核症状とは何かというと、認知症という病気の核となる症状を呼びます。これまでお話ししてきた、脳の認知機能の障害(見る・聞く・話す・わかる・記憶する・注意する・判断する・按配する等の障害)による日常生活上の不自由さを指します(詳しくはブログの過去の記事をご覧下さい)。
この認知機能の障害を背景に、元々の性格や身体の不調、おかれている環境の不快さ、服用しているお薬による影響など、さまざまな誘因が積み重なった結果起こる副次的な症状(例外もあります。次回に詳しく)のことを周辺症状と呼びます。

この周辺症状のことを専門用語ではBPSD(認知症に伴う行動と心理症状)と呼びます。周辺症状には下の図に示すような症状があります。まずは心理的な症状と行動面の症状に分けてみましょう。

さらに具体的に、認知症の周辺症状(BPSD)を下の図で見てみましょう。具体的な症状の説明に関してはまた別の機会に。つぎは周辺症状の誘因と対応についてお話します。

周辺症状への対応を考えるには、副次的症状である周辺症状にどのような誘因が関与しているのかということの探索・対処が極めて重要になってきます。(上の図でいうと黄色四角) つまり、認知症を有するご本人への医療・福祉・周囲の方々のアプローチしだいで症状の重さが大きく変わることが多くあります。
対処の原則としては、不快な状態を快い状態に変えることです。(例外的に、周辺症状の一部には、ご本人にとっては苦痛をあまり伴わず、周囲の人々が苦痛を感じるものもあります。これも次回以降にお話します)
・環境面の快・不快
眩しすぎる、暗すぎる、狭い、広い、色彩、大きすぎる雑音、暑すぎる、寒すぎる、不快な臭い・心地よい香り等々
・身体的な苦痛・不快感
視える・聴こえるに関する不具合、持病のコントロールの不具合、体の痛み・痒み、食べる、出す、寝ることの不具合
・周囲の人の声かけやかかわりによってもたらされる快・不快
いわゆるストレス。ご本人の不自由さに対して、図らずも矛が突き刺さってしまうような声かけ・かかわり。自尊心の傷つき。
・薬剤の調整
周辺症状発症原因の約30%は薬剤が関与しているとも言われています。一般的にご高齢の方であれば、薬剤の身体への影響も大きくなります。また、もの忘れを有する方が服薬を自己管理する場合、薬の飲みすぎ、飲み忘れなどにつながる危険性も高くなります。治療・薬剤や服薬管理に関しては、認知症専門医、かかりつけ医や薬剤師に相談してみましょう。

次回は、認知症の種類自体に由来する周辺症状について少しお話したいと思います。
「もの忘れ」は早期発見・早期治療が重要であり、診断・治療のためには、地域のかかりつけ医師との情報共有が非常に重要です。ご家族や身近な方、またはご自身のもの忘れが気になるという方は、まずはかかりつけ医師にご相談下さい。

認知症疾患医療センター相談室 直通電話番号:086-427-3535
執筆者 CP阿部弘明

第2回オレンジメモリーウォークin倉敷開催のご案内

カテゴリー: 認知症疾患医療センター | 投稿日: | 投稿者:

世界アルツハイマーデーの前夜祭に、第2回オレンジメモリーウォークin倉敷が今年も開催されます!「認知機能が低下しても豊かに暮らせる社会」を目指し、倉敷の町でウォーキングを行います。

2018年9月20日(木) 参加費無料・申込不要です。 18時に大原美術館前集合となりますので、オレンジ色のものを身につけて、是非参加しましょう!

※昨年の様子はこちらです。

認知症疾患医療センター N

16)支援をする人の負担について

カテゴリー: 認知症疾患医療センター | 投稿日: | 投稿者:

前回は、より良いかかわり(生活習慣・体調管理)についてという内容でお話ししました。
今回は、支援をする人の負担についてお話したいと思います。介護にまつわる負担には、身体・心理・経済、社会・時間の要因がかかわっています。さらに、要因の重なりが多いほど、負担は倍増していきます。

認知症を有する方への介護について、その大変さがどのようなものかといった報告があります。

1.同じことを何度もきかれる大変さ
わすれ易い・憶えられないという認知症の症状を理解していても、さんざん繰り返されると、特にこころや時間の余裕が持てないときほど、よくない事だとわかってはいてもつい、返す言葉や表情がだんだんとトゲトゲしいものに変わっていくのは無理もないことかもしれません。
2.目を離せない大変さ
道に迷ってしまう方や、ふと家を出て行かれる方など、万が一の危険性がある方の介護は、夜寝ている時でも、常に気を張り続けなければならなくなるケースが多いようです。そのような環境におかれると精神的・肉体的な疲労が蓄積し易くなることは想像に難しくありません。
3.介護者のペースでできない大変さ
介護者の方が「ちょっと待って!」と感じること、またはご本人に伝えることは非常に多いのではないでしょうか。しかしながら、この「ちょっと」という時間の間隔は、認知症では障害されやすい部分になります。周囲の人から見ると、あたかも「待てない」ように見え、介護を行う場合では自分のペースで出来ない
=振り回されるような状況につながりやすくなります。
4.ありがとうと言ってくれない大変さ
ご本人からありがとうと言ってもらえないことというよりは、介護者の周囲の人(例えば家族や親類など)から自分の大変さを理解してもらえない、感謝されない、介護してあたりまえ、という状況がより大変さを感じるかもしれません。介護者が孤立感をつのらせ、負担をひとりで背負ってしまうという悪循環につながりかねません。
次は、認知症を有する方のご家族の多くが経験する心理的ステップをご紹介します。ステップは4段階ありますが、第1から第4ステップまでの間を行きつ戻りつしながら、だんだんと認知症を有するご本人を受容していくと言われています。この各ステップの行きつ戻りつのしかたは、ご本人の症状や、ご本人・ご家族の性格、年齢、身体状況、これまで培ってきた家族関係、地域・社会的状況、経済的状況、医療・福祉スタッフとの信頼関係などの影響を受けると言われています。

各ステップでの心理的な負担感は周囲からの有効な支援を受けることで軽減されます。次の図ではその有効な支援にはどのようなものがあるのかについて説明しています。

この上の図で極めて重要なことは、支援する人が一人ですべてを背負わないということです。介護を受ける側⇔介護をする側という2者関係のつながりは非常に強いために、その関係性があたかも殻に閉じこもるような孤立した状態におちいるリスクが非常に高いと言えます。そのような状態ではお互いがお互いのストレスを増幅しあうような悪循環が起こらないとも限りません。そのような負担感をできるだけ軽減するには、みんなで支えるという視点が必要です。
 この上の図のような関係をどのようにして築くかということですが、多くの方は言うは易し、行うは難しといった印象を抱かれるのではないでしょうか。この図のような関係を築きやすくするために、極めて重要な相談・支援機関があります。それは全国の各地区に設置されている「高齢者支援センター」と呼ばれる機関です。負担の強弱にかかわらず、このような相談窓口を確保しておくことは、現在や将来の負担感・ストレスのコントロールを上手く行うために必要となってきます。「私だけで支えないようにする」「みんなで支えてそれぞれのメリットを上手に生かす」ことが、支える人だけでなく、認知症を有するご本人にとっても笑顔で生きるためのキーポイントの一つになります。
「もの忘れ」は早期発見・早期治療が重要であり、診断・治療のためには、地域のかかりつけ医師との情報共有が非常に重要です。ご家族や身近な方、またはご自身のもの忘れが気になるという方は、まずはかかりつけ医師にご相談下さい。
認知症疾患医療センター相談室 直通電話番号:086-427-3535

認知症疾患医療センター CP阿部

15)より良いかかわり(生活習慣・体調管理)について

カテゴリー: 認知症疾患医療センター | 投稿日: | 投稿者:

前回は、よりよいかかわり(心理・コミュニケーション)編という視点でお話ししました。
今回は、よりよいかかわり(生活習慣・体調管理)とはという視点でお話ししたいと思います。

上の図は認知症に合併する身体症状です。一見すると、認知症とはあまり関係のなさそうな症状が多いように思えます。しかし実は、上の症状の多くは普段の健康・体調管理、生活習慣に大きくかかわっています。このような、自身の健康・体調管理のことをセルフケアといいます。セルフケアと認知症についての話題に入るまえに、ここでもういちど認知症(アルツハイマー型認知症)の記憶障害の特徴についておさらいしましょう。

認知症(特にアルツハイマー型認知症)では特に上の図の出来事の記憶(エピソード記憶)が失われやすくなっています。この出来事の記憶が失われやすくなるという事を、より具体的に日常生活のセルフケアという側面から考えてみると下記の図の例のようになります。

私たちがセルフケアをする際には、最近の出来事をふまえる必要があります。たとえば、「今すごく暑くて食欲もわかないから、ここ最近そうめんばかり食べているけど、このままでは栄養がかたよるので、今夜は焼き肉とサラダをたべよう!」とか「最近便秘(下痢)が続いているなぁ、病院いかなきゃ」「朝ご飯のあと薬を飲み忘れた!まだ9時だから朝の薬飲もう」など、過去の出来事から判断して現在のセルフケアを調節しています。認知症では出来事の記憶が失われやすくなるので、セルフケアにおいての判断材料が通常よりも乏しくなりやすいと言えます。セルフケアに支障をきたした状態(望ましくない生活習慣)が続くと、最初の図で説明した合併症状を引き起こしやすくなることは想像に難しくないでしょう。
そして、とても重要なことは、脳も体の一部であるということです。認知症のあるなしにかかわらず、好ましくない生活習慣や、高血圧・高脂血症・糖尿病などの生活習慣病のコントロールが不良な状態は、脳にも悪影響を及ぼします。下の図では認知症の危険因子および増悪因子の一部を紹介しています。脳を守るには、適切な治療(医療)と予防的活動(生活習慣の改善)が必要です。

自分でも気をつけて取り組むことができる、もしくは誰かのサポートがあればできるような、脳を守る活動をさらにまとめたものが下の図です。


脳を守る3つの要素は「栄養」「運動」「交流」です。まず、栄養に関しては、バランスの良い、規則正しい食生活を日々の生活に取り入れることです。これに関しては、医師や栄養士に相談なさるか、持病がなければ書籍やインターネットを参考にしてみるのも良いでしょう。「運動」に関して、たとえば有酸素運動を日課とすることなどは、脳と体の健康増進に非常に良い影響を及ぼします。最後は人、社会との交流です。「家に閉じこもり、いつもの座席(ベッド)で座って(横になって)テレビを一日中」という生活は、精神的にも肉体的にも良くなさそうなのは想像に難しくないでしょう。地域の公民館での催しや、地域のグランドゴルフなどの集まりを通じて、人と交流することは生活のハリにつながります。
いずれにしても、これらの「栄養」「運動」「交流」に取り組む際にいちばん重要なことは「習慣として楽しんで行う」ということです。楽しくないことは習慣化しませんし、やればやるほどストレスをため込んでいくのは精神衛生上良くありません。楽しくない活動の、どの部分をどういうふうに変えれば楽しくできそうか?と考えるのが建設的でしょう。
今日の主題である、より良いかかわり(生活習慣・体調管理)に話を戻しましょう。認知症を有する方とのより良いかかわり方としては、この「栄養」「運動」「交流」の活動を一緒に楽しむということです。一緒に楽しむことが時間的・物理的に難しければ、福祉サービス(訪問サービス、デイケアやデイサービスなど)をうまく利用してみるのも良い方法です。福祉サービスや介護保険(その他高齢者にまつわるいろいろな相談)についての相談窓口は各地区にある高齢者支援センターがになっていますので、なにか良い方法がないか問い合わせてみるのも良い方法でしょう。
次回は支援する人のストレスについてお話したいと思います。

「もの忘れ」は早期発見・早期治療が重要であり、診断・治療のためには、地域のかかりつけ医師との情報共有が非常に重要です。ご家族や身近な方、またはご自身のもの忘れが気になるという方は、まずはかかりつけ医師にご相談下さい。
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認知症疾患医療センター CP阿部