ACPとは?
人生の最終段階で医療、ケアについて本人、家族(家族と認める人)と医療、ケアーチームとが事前に話し合うプロセスです。わかりやすく言うともしもの時にどこまでの医療を望みますか?あなたはどう考えますか?という事です。人生の最終段階と聞くとその言葉通りいよいよ・・・、と思われがちですが、日ごろから周囲の人たちとしっかり話し合っておく事で“もしも”の時の医療やケアに自分の意向が反映されやすくなります。
訪問看護で私が感じた印象深いACPに関するエピソードについてお話したいと思います。
ケース1:ご利用者の方は独居で若いころから事故で障害を持っていましたが一通りは自身で対応して過ごしていました。サービスも何年も利用していた方で年々体力も落ちては来ていましたが、変化を嫌い口癖が「施設には入らん、(私達には)いつも通り対応してほしい、最後まで自宅で過ごすんだ」と。癌の末期でありましたが告知はうけておらず。往診を受けながら過ごしていました。独居という事もあり体調が徐々に悪化し終末期後期になった頃は訪問時にもかなり不安を訴えることが多くみられました。徐々に体力が落ち限界を悟ったのか、最後は本人から入院をしたいとお願いされ入院しましたが入って間もなく最期の日を迎えました。最後まで自宅で過ごすという選択肢もありつつ、ご本人から入院という言葉を聞いたのは驚きであり、自分で最期を決めたのだと悟りました。
ギリギリまで自宅で過ごした○○さんに私はエールをおくりました。
ケース2:入院中老衰で体調も落ち着いたがどうしますか?の問いに娘さんは自宅で看取りたいと希望され退院し訪問看護を利用することになりました。ご利用の方は昔から厳格な性格で家族は厳しくしつけられたそうです。ご本人との関係性も良いとは言えませんでしたが、娘さんは自分しか看取れないと決意され、在宅での終末期に選び、口では父に文句を言いながら自宅での対応はこまめにされていました。最後は自宅での看取りとなり、エンゼルケアに行かせてもらいましたがその時娘さんから「私に悔いはない、できることはやった」と充実感を得られた言葉が聞かれました。短期間での在宅でしたが私達に感謝の気持ちをくださいました。最期の看取りに携わることができた事で私達も家族がそう思ってくれたことに充実感を得られたケースでした。
何年も色々な看取りを経験する中で関わり方にこれでいいのか?とモヤモヤし、ジレンマを感じることも多くあります。答えが直ぐに出ない事も一緒に焦らずに私達は付き合っていきますし、答えが出ない事を継続して行うことで答えが出てくることもあるかもしれません。
ACPについて一緒に考えるお手伝いを当訪問看護ステーションではケアマネージャーを通じて他のサービスと協力してサポートします。
最後に、岡山県保健福祉部医療推進課よりACPパンフレットを作成しています。参考までに。
岡山県のHPリーフレット一覧でご覧いただけます。
訪問看護ST Y