まだ寒い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
昨今「人生100年時代」といわれるなか、健康で自分らしい暮らしを続けるために、様々な認知症予防についての取り組みがなされています。そこで今回は、認知症発症や進行のリスクを防ぐために、今私たちができる対策や認知症に関する情報についてご紹介します。
みなさんは「軽度認知症(MCI)」という言葉をご存知でしょうか?MCIは健常と認知症の中間の状態を指し、「もの忘れの自覚があるが、生活に支障はなく自立した状態」を言います。MCIでは、発症後1年で約5~15%の人が認知症に移行する一方で、約16~41%の人は健常な状態になることが分かっています。そのため、できるだけ早期にMCIを発見することや、早期から認知症予防の対策を行っていくことで健常な状態への回復や認知症への移行を遅らせることが重要となります。
MCIは具体的にどのような状態のことを示しているのか。認知症発症や進行の予防にどのような取り組みが有効かをお伝えします。
【MCIの特徴】
・全般的な認知機能は正常範囲である
・年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する
・日常生活動作は自立している
・本人または家族による物忘れの訴えがある
【MCI予防についての対策】
①運動
有酸素運動(ウォーキング、エアロバイク)や筋力トレーニング等を、ややきついと感じる程度の運動強度で週3回実施することが良いと言われています。運動により全身の血行が促進され脳細胞も活性化されるため認知症予防に効果があります。
②栄養
バランスのよい食事を1日3食摂取することや、多様な食材を使用した食事を摂取することが理想です。例えばアルツハイマー型認知症はアミロイドβというタンパク質が脳に異常に溜まることが原因と言われています。これを予防するには、DHAやEPA(サンマ、アジ、イワシなどの青魚に多く含まれる)などの不飽和脂肪酸、カテキンなどの抗酸化物質、葉酸などを積極的に摂ると良いと言われています。記憶力や判断力の向上、特にアルツハイマー型認知症の発症予防に有効であるという報告があります。
③認知機能トレーニング
記憶機能に特化した認知トレーニングは脳血流量の増加や脳内領域のネットワークの活性化につながり機能改善に効果が高いと言われています。脳トレや趣味活動など楽しく取り組めるものを選ぶことが長続きする秘訣です。
MCIは上記のように多面的に対策を行っていくことが有効です。高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は認知症のリスクを高めるため、生活全般を見直し、少しずつ取り組める対策を継続していくことが重要といえます。
倉敷平成病院 予防リハビリでも、以前お伝えした脳トレ(リンク:2023年8月23日)やリハビリ職員による運動指導や口腔機能へのアドバイス、二重課題等を行う集団プログラムや栄養指導等、様々なプログラムや定期的な認知・身体機能の評価を実施しています。認知症予防に取り組んでいきたいという方がおられましたら見学・体験を随時お受けしていますのでお気軽にお声掛けください。
作業療法士 S
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