日別アーカイブ: 2026年6月11日(木曜日)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について

カテゴリー: 臨床検査部 | 投稿日: | 投稿者:

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に呼吸がうまくできなくなる病気で、のどの空気の通り道(上気道)が塞がることが原因です。
眠るとのどの周囲の筋肉が緩み、舌が後ろに下がりやすくなり、空気の通り道が狭くなりいびきが生じます。そして、完全に塞がると呼吸が止まる「無呼吸」となります。肥満の方が多いイメージですが肥満によるのどの脂肪の蓄積以外にも、鼻づまり・下顎が小さい・口蓋扁桃が大きい人(上気道が狭くなっているため)、加齢による筋力の低下(特に閉経後の女性は女性ホルモンの変化でのどの筋肉が緩みやすくなり、気道の形が保ちにくくなる)、飲酒や薬による上気道の筋肉の緩みなども悪化の原因になります。眠っている間に呼吸が止まることで血液中の酸素が低下し、睡眠の質を悪化させます。治療せずに放置すると、高血圧、脳血管障害、心筋梗塞、不整脈、心不全、糖尿病、うつ病、認知症との関連も指摘されています。また交通事故や労災事故のリスクにもなります。もし、いびきや寝ている時に呼吸が止まっている、あるいは自覚症状(朝から疲れている、日中にとても眠い、朝起きた時に口が乾いているなど)があれば、病院で一度検査することをおすすめします。

検査には2種類あり、一つは簡易検査です。医療機関から貸し出される検査機器を用いて自宅で行います。寝る前に自分で取り付け、睡眠中の血中の酸素飽和度や呼吸の状態などを測定します。
簡易検査は自宅で実施でき普段の生活環境の中で、自然な状態で記録できるのが大きなメリットですが、計測できる項目には限りがあり、重症度の正確な評価や他の睡眠障害との区別が難しい場合はより詳しい精密検査をすすめられることもあります。それが睡眠ポリグラフ(PSG)検査です。SASの検査では最も精密な検査方法です。当院では一泊入院して検査します。脳波、筋電図、心電図、呼吸、血液中の酸素など、さまざまな生体信号を測定します。この検査では1時間あたりの無呼吸+低呼吸の回数(AHI)、SASの種類(閉塞性・中枢性)、酸素の低下状態、睡眠の質(深さ)、不整脈の有無、その他の睡眠障害の有無等について診断されます。AHIが5以上であればSASと診断され、その重症度はAHIが5~15を軽症、15~30を中等症、30以上を重症としています。

治療方法は、重症度や原因によって異なりますが、口腔内装置(マウスピース)や持続陽圧呼吸療法(CPAP)があります。口腔内装置は主に軽症~中等症のSAS、CPAPは中等症~重症のSASに対する治療法です。
CPAPは就寝時にマスクを装着し、装置から陽圧の空気を持続的に送ることで、上気道がふさがらないようにします。簡易検査、精密検査で一定の基準を満たした場合、健康保険が適用されます。これまでは簡易検査でAHIが40以上、睡眠ポリグラフ(PSG)検査でAHIが20以上で適用でしたが、2026年6月以降は診療報酬改訂に伴い簡易検査でAHIが30以上、睡眠ポリグラフ(PSG)検査でAHIが15以上の適用に変更になりました。これまで治療の対象にならなかった軽症~中等症だった方の一部がCPAPでの治療対象になります。

いびきがうるさい・寝ているときに息が止まっていると言われる、あるいは自覚症状(朝から疲れている、日中にとても眠い、朝起きた時に口が乾いている、起床時の頭痛など)がある方は当院でも検査、治療を行っていますので一度ご相談ください。

(参照:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 睡眠呼吸障害診療検討ワーキンググループ「ぐっすり眠るために知っておきたい 睡眠時無呼吸症候群の話」)

 

臨床検査技師R.A

イラスト;イラストAC