日別アーカイブ: 2015年8月29日(土曜日)

突発性難聴の鍼灸治療

カテゴリー: ヘイセイ鍼灸治療院 | 投稿日: | 投稿者:

甄先生ブログ難聴や耳鳴は慢性化すれば、いずれも治療しにくくなりますが、発症してから早い段階に適切な治療を施せば、しばしば良い結果が得られます。鍼灸療法も効果のあることが実証されています。
鍼灸の古典を調べてみると、耳鳴りや難聴には、多数のツボを使っていましたが、突発性難聴には、特に重要なツボ一カ所が提示されています。それはつまり「四瀆」(しとく)です。
このツボは前腕部の外側、橈骨と尺骨の間にあります。場所から見れば、あまり耳と関係していないようなところですが、経絡の走行から見れば、四瀆と耳は手の少陽三焦経によって繋がれています。このツボは過労や情緒の不調をもたらした気の乱れによって起きた突発的な難聴に効果があると古典に記録されています。
突発性難聴には耳鳴りを伴う症例が多いので、そのために耳鳴りと難聴にともに効くツボである関衝(かんしょう)、液門(えきもん)、翳風(えふう)、会宗(かいそう)、下関(かかん)、聴宮(ちょうきゅう)などを合わせて取穴する場合が多いのです。
最近、これらの古人の経験を参考にして1例の突発性難聴を治療したところ、かなり良い結果が得られました。個人の経験から言えば、発症後、早いうちに鍼灸治療を受けた方がより効果を得られやすいのです。しかし、現状では、よほど鍼灸治療のことを熟知している人でなければ、このような症例で初期に鍼灸治療を求める患者さんはあまりいないようです。もちろん、初期の場合には、現代医学の治療と鍼灸治療を合わせて行っても良いです。

ヘイセイ鍼灸治療院 甄 立学