非侵入の鍼治療でうつ症状改善

カテゴリー: ヘイセイ鍼灸治療院 | 投稿日: | 投稿者:

40代女性の患者さんが、不安、不眠、動悸などの症状で当鍼灸院に訪れました。
患者さんは幼い時から神経過敏があり、14歳に過敏性大腸炎、16歳に顔面の痺れ感、21歳にうつ、24歳に月経前不快気分障害(PMDD)など、それぞれ診断されました。長期にデパス、デプロメールなどの抗不安、抗うつ薬を服用しています。
来院時に主に訴えた症状は、不眠、不安、動悸、上半身のほてり、顔の痺れ感、便秘、足の冷えなどでした。
鍼灸理論から診れば、患者さんの体質は「脾虚中寒、肝気鬱滞、肝脾不調」だと考えられます。これに対して、足太陰脾経と足厥陰肝経のツボを取って鍼を刺すつもりでしたが、患者さんは鍼の刺入に恐怖を感じるので、非侵入性治療法(皮膚表面での施術)を実施することにしました。
お腹の冷えを治療するために、まず臍を中心にして温灸を実施しながら、前腕部、下腿の太陰経、厥陰経、陽明経、少陽経を沿って皮膚表面での摩擦鍼を実施しました。その後、背部の太陽膀胱経を沿って摩擦鍼を行いました。
治療後、患者さんが来院時の緊張感がすでに無くなり、気持ちが大分落ち着くようになりました。2週間後、再度来院した時、前回治療後、不安、不眠、動悸、ほてりなどの症状は殆ど改善されたと教えてくれました。治療効果を維持するために、その後、鍼灸治療をやめて、治療費の負担が比較的軽い漢方治療に切り替えました。
非侵入性皮膚摩擦鍼は主に鍼の刺入に怖がる子供たちに使いますが、この症例では大人に使っても良い効果が得られました。

ヘイセイ鍼灸治療院  甄 立学