2月14日、倉敷平成病院において、「第33回呼吸療法研究会」が開催されました。当日は県内各施設より講師をお迎えし、「在宅医療・在宅呼吸の知識を深め、繋がりを広げよう!」をテーマに各講演が行われ、参加者とスタッフ含め31名の方が参加下さいました。
近年、高齢化の進行や医療提供体制の変化により、住み慣れた地域や自宅で療養を続ける「在宅医療」の重要性がますます高まっています。特に、在宅酸素療法(HOT)やCPAP(睡眠時無呼吸症候群の治療法)、人工呼吸器などを使用する患者さんの増加に伴い、安全で安心な医療機器管理と継続的な支援体制の構築が求められています。本研究会では、こうした背景を踏まえ、各施設の実践や課題、今後の展望について共有されました。
第1講演では、川崎医科大学総合医療センター 佐々木恵先生より、「在宅医療の現状と臨床工学技士(CE)に求められる役割」について講演いただきました。講演では、在宅医療の利用者数の推移や疾患別の特徴が示され、今後も需要が増加することが予測されました。また、医療機器が患者さんの生活空間に設置されることで、使用環境の違いや家族の理解度による影響が大きいことが指摘されました。具体的には、酸素濃縮装置の設置場所や電源管理、トラブル発生時の対応方法など、日常生活に即した指導の重要性が紹介されました。さらに、災害時対応や遠隔モニタリングの活用についても触れられ、臨床工学技士が在宅医療の安全性を支える中核的存在であることを強調されていました。
第2講演では、岡山赤十字病院 森田慎太朗先生より、「在宅業務の現状と課題」について講演いただきました。睡眠時無呼吸症候群に対するCPAP治療は、導入後の継続使用が治療効果を左右します。講演では、使用時間や無呼吸低呼吸指数(AHI)、リーク量などのデータを分析し、問題症例を早期に抽出する体制が紹介されました。また、マスク不適合による装着不良や不快感への対応、患者さんへの定期的なフォローアップの重要性についても具体例を交えて説明されました。
第3講演では、心臓病センター榊原病院 中嶋萌先生より、「遠隔モニタリングを活用したCPAP管理と多職種連携の実践」について講演されました。同院では、循環器疾患と睡眠時無呼吸症候群の関連に着目し、遠隔モニタリングデータを積極的に活用されていました。AHIや使用率の低下、リーク増加などを早期に把握し、適切なタイミングでフォローにつなげる仕組みが紹介されました。さらに、医師・保健師・臨床工学技士が定期的に情報を共有することで、患者さんの状態変化に迅速に対応できている点が強調され、質の高い在宅支援を実現するモデルとして注目されました。
第4講演では、金田病院 大嶋勝先生より、「在宅呼吸管理の現状と課題」について講演が行われました。医療資源や人材が限られる県北部地域において、訪問診療・訪問看護・介護事業所と連携しながら支援体制を構築している実情が紹介されました。独居高齢者や神経難病患者さんへの支援事例を通じて、医療機器の管理だけでなく、生活全体を見据えた関わりの重要性について話をされました。また、臨床工学技士が患者さんと医療スタッフをつなぐ「橋渡し役」として機能している点が印象的でした。
本研究会を通じて、在宅呼吸療法における臨床工学技士の役割や多職種連携の重要性について、改めて認識を深める大変貴重な機会となりました。
在宅酸素療法指導管理料や遠隔モニタリング加算などの制度により、医療機関による継続的な管理・指導体制が評価され、これらを適切に活用することで、患者さんは経済的負担を抑えながら、安心して在宅療養を継続することが可能となります。臨床工学技士による機器管理やデータ確認も、制度の枠組みの中で医療の質を支える重要な役割を担っています。今後も、医療環境や制度の変化に適切に対応しながら、地域に根ざした質の高い医療の提供に努めてまいります。
最後に、本研究会の開催にあたり、ご多忙の中にもかかわらずご講演いただきました各講師の先生方に、心より御礼申し上げます。また、円滑な運営にご尽力いただいた関係スタッフの皆様ならびに、ご参加いただいた皆様に深く感謝申し上げます。
『岡山県臨床工学技士会 呼吸療法委員会』では、今後も引き続き、セミナーや研究会の開催を通じて、皆様に有益な学習の機会を提供できるよう努めてまいります。今後とも、本委員会の活動に対し、変わらぬご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
CE副主任 T


