先日、2026年1月から3月22日までの全国の医療機関から報告された麻疹(はしか)の累計感染者数が152人となり、2020年以降で最多とニュースになっていました。
麻疹は麻疹ウイルスによる急性の全身感染症で、非常に強い感染力があります。主な症状は発熱、全身の発疹、カタル症状(咳、鼻水、目の充血)などで、肺炎や脳症などの重篤な合併症を起こすことがあります。小児はもちろんのこと、成人が感染しても重症化しやすく、妊婦が感染すると流産・早産のリスクが上昇します。
重篤な合併症
・肺炎(麻疹肺炎):入院を要することが多く、特に乳幼児・免疫不全者で重症化しやすい。
・脳炎(麻疹脳炎):約1,000人に1人に発症。後遺症として知的障害・麻痺が残ることがある。
・SSPE(亜急性硬化性全脳炎):数年後に発症する致死的な脳炎。1歳未満の罹患で発症率が高い。
・中耳炎:頻度が高い合併症。難聴につながることも。
・角膜炎・失明:栄養状態が悪い場合に特に多い。
・死亡:先進国でも1,000~2,000人に1人程度。発展途上国ではさらに高い。
感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染で、症状が出現する前から感染力があり、マスクや手洗いだけでは予防することができないため、ワクチン接種が最も有効な予防法です。
近年、世界各国で麻疹の流行が報告されていて、北米でのアウトブレイクの発生や、カナダでは麻疹の排除状
態※の喪失が確認されるなど、国際的な流行状況の変化が認められているそうです。日本は2015年に麻疹排除状態にあると認定され、その後も2024年まで排除状態の維持が確認されていますが、海外からの輸入症例が引き続き報告されており、それを契機とした国内感染例もみられている状況のようです。海外に渡航する際には渡航先の流行状況を確認し、必要に応じてワクチン接種を受けることが重要となります。
国内での感染拡大の防止のためには、個々の予防と集団免疫の維持のために、予防接種法に基づく麻疹風疹混合(MR)ワクチンの2回の定期接種の徹底が最も重要で、加えて、感染者の早期探知と迅速な対応が必要です。定期接種は1歳児および小学校入学前1年間の2回です。麻疹にかかったことがなく予防接種を受けたことがない、1回しか受けていない、受けたかどうかわからない方は、かかりつけ医に相談してみてください。
麻疹を疑うような症状がある場合は、まず医療機関に電話で連絡し、可能な限り公共交通機関の利用を避けて受診するようにしましょう。
※麻疹排除:適切なサーベイランスシステムが存在するある国、または地域において、12か月間以上、伝播を継続した麻疹ウイルス(国内由来、国外由来を問わず)が存在しない状態と世界保健機関(WHO)が定義している。WHOより麻疹排除認定を受けるには「麻疹排除」状態が少なくとも36か月間以上継続していることを示す証拠書類が求められる。
国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト、日本感染症学会 麻しん(はしか)に注意 参照
臨床検査部 TaMa
イラスト:イラストAC

