糖尿病とうつ病の関係について

カテゴリー: 糖尿病療養指導士 | 投稿日: | 投稿者:

糖尿病患者はうつ病になりやすく、またうつ病患者も糖尿病になりやすいといわれています。うつ病になると、血糖値のコントロールが難しくなり、糖尿病の合併症リスクも上昇するため、うつ病を早期に発見し適切な治療を受けることが重要です。

○糖尿病とうつ病との関係
これまでの調査によると糖尿病患者の約30%にうつ症状があるといわれ、糖尿病とこころの問題が重要視されるようになっています。糖尿病患者の13%は不安障害、11%はうつ病と診断され、5.7%は抗うつ薬を服用しているとの報告もあります。両者の関係について、神経系・内分泌系および免疫系の相互関係の研究がすすめられていますが、行動上の要因も大きいといわれています。糖尿病では、食事制限などの自己管理を求められ、長引く治療がストレスになることなどから、うつ病を併発するのではないかと考えられています。またうつ病があると、運動不足になり、自己管理もむずかしくなり、糖尿病になりやすくなるともいわれています。

○糖尿病の合併症などのリスク上昇
糖尿病とうつ病を併発すると、生活の質が低下するばかりでなく、深刻な影響がでます。死亡率が1.6倍上がり、医療費は4.5倍に膨れ上がります。また糖尿病の合併症である神経障害・腎症や網膜症が起きやすくなり、またそれらの合併症が悪化する危険性が高まります。うつ病の併発は、治療の効果を期待することができなくなり、食事制限や運動への関心が低下し、その結果有効な療養行動を実施・継続することが出来なくなり、喫煙量やアルコール量が増えるなど、糖尿病の悪化を招く悪循環に陥りやすくなります。

糖尿病とこころの問題が同時に起こったときは、まず両者が重なっていることを理解しなければなりませんが、糖尿病とうつ病を併発している患者の約半数は、「うつ病」になったことに気づいていないといわれています。うつ病は、こころの不調だけではなく、からだの不調として表れることもあります。からだの不調が糖尿病によるものなのか、うつ病のためなのか、判断が難しいこともうつ病に気づかない理由のひとつと考えられます。
食事や日常生活の相談だけでなく、ちょっとした不安な気持ちなども糖尿病療養指導士へご相談ください。

参照:厚生労働省 eヘルスネット 糖尿病とこころ | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

糖尿病療養指導士 S.N