リハビリステーションピース新聞第45号発行しました
アルツハイマー病の新しい2つの治療薬
アルツハイマー病の新しい2つの治療薬が相次いで認可されました。
テレビや新聞をはじめとして,色々なメディアで取り上げられています。
お薬の名前は「レケンビ®︎」と「ケサンラ®︎」です。
作用する仕組みは若干異なるものの、どちらのお薬もアルツハイマー病の脳に溜まるアミロイドβ蛋白(Aβ)を脳の中から取り除く薬剤です。
ポイントを簡単にあげておきます。
①アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)および軽度(初期)認知症の患者さんが対象であり、認知機能障害が進行した患者さんにはは対象にならない。
②事前に認知機能検査や頭部MRIを受けて、投与の基準を満たしているかどうか確認が必要。
③髄液検査あるいはアミロイドPETという検査を行なって、Aβが脳内に沈着していることが確認された場合に投与ができる。もし、Aβが脳内に沈着していないと判定された場合は、投与はできない。
④レケンビ®︎は2週間に1回、ケサンラ®︎は4週間に1回の点滴静注。投与期間は、レケンビ®︎は原則18ヶ月(1年半)。ケサンラ®︎は、投与開始1年目でアミロイドPETを行いAβが十分に除去されていれば投与を中止できる。除去が不十分であれば18ヶ月まで継続する場合もある。
⑤どちらもAβに対する「抗対医薬品」であり、ワクチンと同じ様にアレルギー反応などの副反応が起きる場合がある。
⑥Aβ関連画像異常(amyloid–related imaging abnormalities;ARIA)が副反応として生じる場合があり、投与開始半年間は頻繁に頭部MRを撮影することが義務付けられている。ARIAは、ほとんど場合無症状ですが、まれに頭痛、意識障害、けいれんなどの症状を起こすことがある。ARIAが生じた場合、定められた基準に従って、投与を中断したり中止したりする必要が生じることがある。
⑦どちらのお薬も高額な薬剤なので、健康保険の負担度や所得に応じて高額医療費制度を使える場合がある。
添付のPDFにもう少し詳しいお薬の説明を載せていますので、ご興味のある方はご覧ください。
また、最近ではGoogleなどの検索サイトにお薬の名前を入力すると、色々な情報を得ることができます。
とはいえ、なかなかパッと理解するのは難しかったりするので、医師からもっと詳しい話が聞きたいぞ〜〜という場合は、当院認知症疾患医療センターの受診予約の相談をしてください。
認知症疾患医療センター センター長 涌谷
イラスト:イラストAC
背中の痛み
蒸し暑く、梅雨明けが待ち遠しい季節となりました。
今回は背中の痛みについての症例をご紹介します。
50代男性、背中の強い痛みに悩まされていました。こちらの患者さんは3年前に脊髄腫瘍の手術をされ、その後から背中の手術根周辺と後頭部に強い痛みが現れ、長く仰向けで寝ることが辛いと訴えられ来院されました。
手術後に手術部位周辺が強く痛む場合、瘀血(おけつ)という状態になっていたのではないかと考え施術しました。瘀血とは血液の流れが悪くなり体内で停滞してしまう状態のことです。
この方の場合、手術後に加えて仰向けで寝ていると背中を圧迫してしまうため、更に血液の流れを悪くしてしまいます。そのため同一姿勢での強い痛みや、肩こり頭痛などの症状を発生させ、そして悪化させていたのではないでしょうか。
そこで、瘀血の治療として膈兪(かくゆ)と委中(いちゅう)などの血液の流れをよくしてくれるツボなどに鍼をしました。また、滞りのため強い痛みのある背中には鍼と灸の施術を行い血液の流れを促してあげられるように施術を行いました。
初めの施術ではあまり変化がみられませんでしたが2,3回の施術後から徐々に痛みが和らいでいく効果がみえて、初めの仰向きで寝られないほどの辛い痛みの症状は次第に軽くなっていきました。
まだ多少の鈍い痛みは残っていますが以前ほどの痛みはなく、落ち着いています。今後も月に一度程度の施術を続けながら痛みの様子をみていこうと考えています。
雨の日の多い季節です、ご自愛ください。
イラスト:いらすとや
ヘイセイ鍼灸治療院 F
医療ソーシャルワーカーの仕事とは
だんだんとジメジメした雨の日も増えてきましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
私は当院にて医療ソーシャルワーカーとして働いています。
“医療ソーシャルワーカー”と聞くと、どんな仕事をしている人だろう?と思われる方も多いかもしれませんが、外来・入院に関わらず患者さんやご家族の相談対応をさせていただいています。なかなか“医療ソーシャルワーカー”という言葉自体が浸透していないため、自己紹介の際には“相談員”とお伝えしていることが多いかもしれません。
医療ソーシャルワーカーは、保険医療機関等において患者さんやご家族の相談にのり、社会福祉の立場から経済的・心理的・社会的問題の解決、調整、社会復帰を支援する専門職です。
相談と言ってもどんなことを相談したらいいのだろう?と思われる方もいらっしゃると思います。病気や怪我で治療が必要になった際に、患者さんやご家族だけでは解決できない問題が起きる場合があります。
介護が出来るか分からない、
自宅での生活が難しいかもしれない、
退院後の生活が不安・・・、
介護保険について知りたい、
医療費や生活費など経済的なことが不安・・・、
転院について相談したい、
など
患者さんやご家族の話を聴き、問題解決に向けて必要な制度の活用ができるようお手伝いさせていただいたり、今後の生活についてご本人やご家族とともに一緒に考えさせていただきます。
安心して治療や日常生活が送れるようサポートできたらと思いますので、相談のある方はお気軽にお声かけください。
地域医療連携センター 医療ソーシャルワーカー M
※画像はイメージです(写真AC)
インプラント治療とMRI検査の注意点
インプラント治療をしている方はMRI検査を受ける際に確認しておく重要な注意事項があることはご存じでしょうか?
10年以上前にインプラント治療をした後、初めてMRI検査を希望される方が時々いらっしゃいます。
素材が確認できればMRI検査を受けることが出来ますが、確認が出来ない場合は検査をお断りすることがあります。
MRI検査は、強力な磁石の力を利用して検査を行いますので放射線被ばくはありません。ただし金属類や磁気を帯びたものを持ち込んだ場合、以下の恐れがあります。
・人体に危険が及ぶ
・画像に悪影響を及ぼす
一般の歯科医院で行っている標準的なインプラント治療であれば、まず問題なくMRI検査を受けることができます。
歯科で用いられるインプラントの素材の多くは磁力に反応しない非磁性金属(チタンやセラミック)です。
磁石に強く反応する鉄やニッケルはMRI検査不可能です。磁場によってインプラントが動いたり発熱したりする可能性があり、危険を伴うため検査をお断りしています。
最近は歯の治療を積極的にされている方が多くいらっしゃるように思います。
インプラントや歯科矯正中の方はMRI検査(3.0テスラ)を受けることができるかを事前にかかりつけの歯科医師にご確認をお願いします。
平成脳ドックセンターでも医師や看護師に相談していただくことで安心して検査を受けられる環境を整えています。
平成脳ドックセンター事務T
地域清掃活動を行いました!
6月に入り、梅雨のジメジメと蒸し熱い季節となりました。
ピースガーデン倉敷では、地域清掃活動として倉敷市白楽町地区の清掃を毎月第2・第4水曜日に行っています。一見ゴミの無さそうな道路でも歩いてみると空き缶やペットボトル、たばこの吸い殻などゴミが見られます。
今回も約30分程かけて用水路や道路の清掃活動を行いました。ゴミを拾って用水路や道路が綺麗になると、気持ちも晴れやかになってきますね♪
普段キレイな道も地域の方のおかげで環境が整えられている事を改めて感じる機会になりました。
今後も継続していくピースガーデン倉敷のスタッフによる地域清掃活動。地域との方との交流も楽しみながら続けていきたいと思います。
ピースガーデン倉敷1階 リハビリステーションピース S
【日本医療秘書実務学会第16回全国大会開催のご案内】
このたび「医療DXと人間力で躍動する医療秘書~病院運営を支える未来への挑戦~」をテーマに、日本医療秘書実務学会 第16回全国大会が2025年9月21日(日) 倉敷平成病院を会場として開催される運びとなりました。
【基調講演】
「保健医療介護福祉分野の情報化:DXにみる医療人に求められるリテラシー・スキル」
島井 健一郎 先生
(滋慶医療科学大学 教授/厚生労働省 健康・生活衛生局 参与/メディカルデザイン総合研究所 代表・所長)
【講演】
「認知症疾患医療センターにおける多職種連携」
涌谷 陽介 先生
(社会医療法人全仁会 倉敷平成病院 脳神経内科部長/認知症疾患医療センター長)
今大会の運営委員長は、当院 秘書課 主任 上野節子が務めさせていただきます。
【テーマに込めた思い】
・医療DXは、これからの医療社会に欠かせないキーワードです。
・同時に、実務能力と人間力を併せ持つ医療秘書の育成がますます重要となってきています。
・医療秘書は、あらゆる現場や状況において判断力・対応力を求められる職種です。
・「躍動」は、2025年度 倉敷平成病院のスローガンでもあり、未来に向かって活気あふれる挑戦を意味しています。
・管理部門と臨床部門の両面から病院運営を支える存在として、今後はマネジメント力を持つ医療秘書の育成が強く望まれます。
日本医療秘書実務学会は、医療秘書・医療事務職に携わる方々と、その教育に関わる方々が連携し、学術研究を通じて医療機関および社会への貢献を目指す団体です。
本大会が、全国の皆さまとのご縁を深め、日々の実務の中で感じている課題や気づきを共有し合い、より一層の職域の発展につながる場となることを願っています。
多数のご参加・演題発表を心よりお待ちしております。
秘書広報部
栄養科通信 Vol200 「食育月間」
6月は「食育月間」で毎月19日は1(い)、9(く)のごろ合わせから「食育の日」とされています。
国、地方公共団体、関係団体などが協力して、国民一人ひとりが食育に対する理解や取り組みを積極的に進めるための期間です。
健康で心豊かな生活を送るためにバランスよく食事をすることの重要性、そして、食に関する知識や食を選択する力を身につけることの重要性を改めて意識することを目的としています。
身近な行動でも「食育」につながるので、できることから実践してみましょう。
1.家族や友人と楽しく食卓を囲む
2.自分の食事をチェックし、栄養のバランスを取るよう気をつける
3.朝昼夕と1日3食きちんと食べる習慣を身につける
4.感謝の気持ちを込めて「いただきます」「ごちそうさま」のあいさつをする
5.はしの正しい持ち方や、食器の正しい並べ方を身につける
6.庭や鉢植えなどで野菜を栽培し、料理する
7.買い物の中で、新鮮で安心できる食材の選び方を身につける
また農林水産省は食育の取り組みをこどもから大人まで誰でも分かりやすいように、農林水産省が表現を単純化した絵文字であるピクトグラムを作成しています。
この食育ピクトグラムをきっかけに、健康、栄養、環境、文化などを含めた食育について、身近な人と話題にしてはいかがでしょうか。
※参考:農林水産省HP「食育の推進」、文部科学省HP「食育って何」
管理栄養士 MH
百日咳にご注意を!
爽やかで過ごしやすい季節になってきました。日によっては暑さを感じるほどですが、いかがお過ごしですか。
最近、百日咳の患者数が急増しているというニュースをよく耳にします。インフルエンザのように毎年流行している感染症とは違い、どういうものかよく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
百日咳は、百日咳菌という細菌によって起こる呼吸器感染症です。その名の通り、咳が治まるまで約100日(2~3ヶ月程度)続くことから来ていると言われています。
感染すると5~10日の潜伏期を経て、まず軽い風邪のような症状が出現し、1~2週間程度続いた後、突発的な咳発作が起こるようになります。激しい咳き込みが立て続けに発生し、咳の最後に「ひゅーっ」という呼吸音を伴うのが特徴です。
主な感染経路は、咳やくしゃみなどにより放出された飛沫を吸いこむことや直接接触することで、感染力が強いため注意が必要です。
大人の場合は大事に至ることは稀ですが、子供が感染すると重症化しやすく、特にワクチン未接種の乳児では呼吸困難や二次感染による肺炎などを引き起こす可能性も少なくありません。生後2か月から定期接種として5種混合ワクチン等の接種が可能ですが、最近ではワクチンの効果が低下した大人が百日咳にかかり、子供に感染させてしまうケースが問題となっています。
予防法として、普段から手洗い・うがい、マスクの着用、アルコール消毒など基本的な感染対策が有効です。また、乳幼児のいる家庭では、家族内での感染に注意してください。
もし、原因の分からない咳が長引く場合は百日咳を疑い、できるだけ早めに医療機関を受診するようにしましょう。
厚生労働省ホームページ
大正製薬「大人の百日咳チェック」 から引用
画像は写真ACより
臨床検査部 FY