アルツハイマー病の新しい2つの治療薬

カテゴリー: 認知症疾患医療センター | 投稿日: | 投稿者:

アルツハイマー病の新しい2つの治療薬が相次いで認可されました。
テレビや新聞をはじめとして,色々なメディアで取り上げられています。
お薬の名前は「レケンビ®︎」と「ケサンラ®︎」です。

作用する仕組みは若干異なるものの、どちらのお薬もアルツハイマー病の脳に溜まるアミロイドβ蛋白(Aβ)を脳の中から取り除く薬剤です。

ポイントを簡単にあげておきます。

①アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)および軽度(初期)認知症の患者さんが対象であり、認知機能障害が進行した患者さんにはは対象にならない。

②事前に認知機能検査や頭部MRIを受けて、投与の基準を満たしているかどうか確認が必要。

③髄液検査あるいはアミロイドPETという検査を行なって、Aβが脳内に沈着していることが確認された場合に投与ができる。もし、Aβが脳内に沈着していないと判定された場合は、投与はできない。

④レケンビ®︎は2週間に1回、ケサンラ®︎は4週間に1回の点滴静注。投与期間は、レケンビ®︎は原則18ヶ月(1年半)。ケサンラ®︎は、投与開始1年目でアミロイドPETを行いAβが十分に除去されていれば投与を中止できる。除去が不十分であれば18ヶ月まで継続する場合もある。

⑤どちらもAβに対する「抗対医薬品」であり、ワクチンと同じ様にアレルギー反応などの副反応が起きる場合がある。

⑥Aβ関連画像異常(amyloid–related imaging abnormalities;ARIA)が副反応として生じる場合があり、投与開始半年間は頻繁に頭部MRを撮影することが義務付けられている。ARIAは、ほとんど場合無症状ですが、まれに頭痛、意識障害、けいれんなどの症状を起こすことがある。ARIAが生じた場合、定められた基準に従って、投与を中断したり中止したりする必要が生じることがある。

⑦どちらのお薬も高額な薬剤なので、健康保険の負担度や所得に応じて高額医療費制度を使える場合がある。

 

添付のPDFにもう少し詳しいお薬の説明を載せていますので、ご興味のある方はご覧ください。

また、最近ではGoogleなどの検索サイトにお薬の名前を入力すると、色々な情報を得ることができます。
とはいえ、なかなかパッと理解するのは難しかったりするので、医師からもっと詳しい話が聞きたいぞ〜〜という場合は、当院認知症疾患医療センターの受診予約の相談をしてください。

認知症疾患医療センター センター長 涌谷

イラスト:イラストAC