滲出性中耳炎の鍼灸治験

カテゴリー: ヘイセイ鍼灸治療院 | 投稿日: | 投稿者:

50代の女性で、半年前から耳が聞こえにくくなり、耳鼻科に受診して滲出性中耳炎と診断さ、2回ほど水を抜きましたが、繰り返し水が溜まるので鍼灸を受けてみようと思って当鍼灸院に来られました。患者さんの訴えによれば、子供のころから疲労を感じやすく、大人になってからも耳鳴りや車酔いなどで悩まされることが多く、時に気分不良や嘔吐などの症状も現れるそうです。

その他に、患者さんの体質に関連する状況を尋ねてみたら、手足に軽いむくみが出やすく、腹部や四肢末端は冷えやすいようです。舌がやや大きく、歯痕があり、苔は薄く白い。これらの状況から見れば、患者さんの体質は「脾気不足、水湿停滞」だと考えられます。

体質は「脾気不足、水湿停滞」ですが、この体質状況を改善するためには、脾経のツボだけでは不十分であり、脾と機能上に密接に関連する胃経や大腸経のツボ、また水湿の代謝に関連する少陽経のツボを合わせてとる必要があり、さらに漢方医学の臓腑理論から考えれば、耳の機能は腎臓に関係が強く、慢性の耳の症状なら、腎気の弱さに関係することが多いので、治療する際に、腎の機能状況を配慮する必要もあります。

以上の状況を踏まえて、治療するには、脾胃の不足を改善するために、任脈の陰交と胃経、大腸経、脾経の足三里、豊隆、上廉(じょうれん)、陰陵泉などのツボを使い、さらに腎を補う太谿(たいけい)と水湿の代謝を改善する少陽経の地五会(じごえ)、中渚、天牖(てんゆう)、翳風(えいふう)などのツボを使い施術しました。

治療は週1回で継続し、1か月経った頃に冷えが以前より良くなっていると感じ始め、2か月頃には耳の症状に変化が現れました。3か月頃に聞こえにくさはほぼ改善しました。もともと疲労感も強く感じていたが、治療をしていくうちに次第に軽減し、忘れるぐらいになりました。体質の改善とともに、諸症状はほぼ軽減したり、無くなったりしましたので、患者さんも喜んでくれました。

ヘイセイ鍼灸治療院 MK

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