日別アーカイブ: 2020年3月11日(水曜日)

舌痛症(ぜっつうしょう)の鍼灸治験

カテゴリー: ヘイセイ鍼灸治療院 | 投稿日: | 投稿者:

舌の痛み を訴えた50歳台の女性が来院されました。
1年前に喉のつまり感が現れ、舌の左側にピリピリと痛みが走るようになりました。症状が現れる頃から、環境が変わり常に気が張った状態で寝ても疲れが取れないなど慢性的な疲労感やストレスもあったそうです。既往歴で、10年前に左顔面麻痺を罹ったことがあり今も軽度の麻痺が残っています。また子供のころから胃が弱かったそうです。舌質は淡紅色で、舌体には白苔があり、脈は弱く、腹部は全体的にガス音が強いので、この患者さんの体質は「脾気虚」と「気滞」があると考えました。

漢方医学の理論では、体内の気血が滞りなく運行することで体の健康状態を維持していると考えます。舌は五臓六腑の栄養を受けており、とくに血絡が豊富で、血脈を主る「心」と気血生化の源である「脾胃」が密接に関係しているので、臓腑・気血の病変が舌に反映されます。また「心」は精神活動を担っている臓器でもあるので、過度なストレスが「心」に影響を与えることもあります。
この患者さんの場合は、脾胃が弱く気血の生成が不十分で、長期的なストレスにより気の運行が滞って舌を栄養できず、もともと麻痺が残っていた左側の気血循環の弱いところに症状が現れたと考えました。

これに対して、膻中、期門、中脘、天枢、気海、足三里、地機、豊隆、合谷、胃兪、脾兪、心兪などのツボで、脾胃の機能を改善し、気の巡りを促すようにしました。
施術を開始して数回ではあまり効果は現れませんでしたが、週1回の施術で1か月経つ頃には症状に変化が現れ、半年経つ頃には症状がない日も増えてきました。ただストレスを強く感じる時は違和感が現れることもありますが、現在も治療を続けてくれています

ヘイセイ鍼灸治療院 MK

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