日別アーカイブ: 2019年7月13日(土曜日)

くすりができるまで

カテゴリー: 薬剤部 | 投稿日: | 投稿者:

『3万分の1』
この数字が何を意味しているか分かりますか?

この数字は創薬(=新しい薬をつくる)の成功確率を意味しています。
つまり、薬の候補となる3万個の新しい化合物のうち、実際に薬として世に出るのはたった1個ということです。

そして、このたった1つの薬の誕生には9~17年といった膨大な時間と、200~300億円といった膨大な費用がかかると言われています。

長い歳月と莫大な費用がかかり、やっと新しい薬が誕生しても、ここで終わりではありません。
薬が世の中に出た後も、実際に患者さんに使用される中で生じた副作用などの情報収集を長期にわたって行い、より安全な使用方法が追求されていきます。

このように、薬をより安全で効果があり、使いやすいものへと育てていく過程を「育薬」と呼びます。
育薬の主役は患者さんです。
薬の量や飲むタイミング・決められた使用方法を守って服用すること、副作用が現れた場合の報告や効き目に関する意見などを医師・薬剤師に伝えることも育薬につながります。
生まれた子供を大切に育て、未来の可能性を切り開くように、新しく誕生した薬を大切に育て、より患者さんの治療に役立てていくために、皆さんのご協力よろしくお願いします。

 

<くすりができるまでの流れ>
① 基礎研究(2~3年):将来くすりとなる可能性のある新しい物質(成分)の発見や、科学的に作り出すための研究を行い、候補物質のスクリーニングを行います。
② 非臨床試験(3~5年):薬物の有効性や安全性を確認するため、毒性や薬物の動態、薬効等の生物学的試験研究を、動物を用いて行います。
③ 臨床試験(3~7年):薬物の人での有効性と安全性について試験を行います。この試験を「治験」といい、通常「第Ⅰ相試験」、「第Ⅱ相試験」、「第Ⅲ相試験」の3ステップで進められます。
④ 承認申請・製造販売(1~2年):医薬品医療機器総合機構にて、承認審査が実施され新薬の有効性や安全性が確認されると、製造・販売が許可されます。
⑤ 製造販売後調査(6ヶ月~10年):治験では得ることのできない日常診療下での医薬品の有効性や安全性を確認するため、適正使用についての調査や試験が行われます。

参考:製薬協ホームページ日本SMO協会ホームページ

薬剤師 N.H