日別アーカイブ: 2021年1月25日(月曜日)

伝統医学から疫病の予防を考える

カテゴリー: ヘイセイ鍼灸治療院 | 投稿日: | 投稿者:

新型コロナウイルスによる疫病が、世界規模で蔓延しすでに1年以上になります。今までこの病気の予防や治療において各国が実施した様々な方策は、目立った効果が得られていません。期待されているワクチンの接種は、既に始まっていますが、短時間で開発されたワクチンの安全性に関して、多くの不安の声がある一方、変異しつつあるウイルスに対する有効性も疑問視されています。

世界の人々が毎日不安の中で生活している現在、現代医学の奇跡を期待しながら、伝統医学の知恵を借りて努力してみる価値があるかもしれません。

疫病の対策において、現代医学は感染源の病原体の制御を重点に考えているが、伝統医学は個人の体質状況をより重要視しています。つまり、人々は同じ感染源が存在している環境の中において、同じ予防対策を取っていても、必ずしも全員同じように感染するわけではありません。その違いを生じる原因は、つまり個人の体質状況である。

体質の形成には様々な要素が関わっています。先天的な要素(生まれつきに物もの)があれば、後天的な要素(生まれてから生命力に関わるもの)もあります。先天的な要素は変わらなくても、個人の努力によって、後天的な要素を有効に生かせれば、疫病に強い抵抗力を持つ体質を作ること可能です。そのために、以下の方法は参考にしてください。

1、精神の集中力を高める。2千年前にできた中国伝統医学の古典である『黄帝内経(こうていだいけい)』の中に「精神内守、病安従来」という言葉が記載されています。その意味は「精神を煩労させず、常に体内に集中させて安定した状態を保てば、病気になるわけはない」ということです。精神を煩労させているのは、人間の欲望です。欲は少ないほど、精神の煩労が少なくなり、より集中しやすくなります。座禅、瞑想、気功修煉などの方法も補助的な効果があります。

2、正気を強める。同じ『黄帝内経』の中にまた「正気存内、邪不可干」という言葉があります。つまり「体内の正気が強ければ、邪気に侵入されにくい」と言う意味です。伝統医学の理論では、病気とは正気と邪気の戦いによるものであり、正気が強ければ、邪気が体内に侵入しにくく、侵入しても排除されやすい。正気を強めるために、栄養バランスの良い食事、規則正しい生活リズム、程よい労逸(ろういつ)の体の使い方などの面に気を付けるべきです。

3、経絡(けいらく)の通達を保つ。中国伝統医学の理論では経絡は体の正気(エネルギーや栄養物質)の通路です。経絡の通りが良ければ、正気が邪気のある所に届きやすく、速やかに邪気を排除したり、消滅したりしやすいです。経絡の通達を保つために、適切な運動や気功、漢方、鍼灸などの方法が有効です。実証されていませんが、経験から言えば、膏肓(こうこう)、気海(きかい)、足三里(あしさんり)などのツボに鍼灸を実施すれば、新型コロナウイルスの感染予防に効果があると思います。

さまざまな方法がありますが、正しい信念を強く持ち、安定した精神状態を保つことは一番重要かもしれません。「病は気から」ということはここにも通用します。

ヘイセイ鍼灸治療院  甄 立学