日別アーカイブ: 2020年8月15日(土曜日)

もうひとつの世界

カテゴリー: 薬剤部 | 投稿日: | 投稿者:

こんにちは。外出自粛の影響もあり、動物たちと島で暮らすゲームが大ヒットしていますね。私も仕事終わりに島へ帰っているうちのひとりです。

島で暮らす動物(住民)は、イヌやネコ、ゾウやワニまで様々です。
住民に話し掛けると、たまに「〇〇さんが具合悪いみたい、様子を見に行ってあげて」的なことを言われます。知っているなら君が行ってあげればいいのに・・・と思いながら訪問し、『おくすり』を渡すと、頭痛や倦怠感を訴えブルブルと震えていた住民は、たちまち回復してしまいます。ちなみに主人公は、飲まず食わずで何時間走り回っても具合が悪くなることはありません。

しかし、主人公も『おくすり』を飲むときがあります。それは、ハチに刺されたときです。ハチに刺されると、顔が腫れあがってしまいますが、『おくすり』を飲むことで、たちまち腫れは治ってしまいます。
ここで『おくすり』を飲まずに、再度ハチに刺された場合、主人公は気絶してしまいます。なんだかとても現実的ですよね。

ハチの毒にアレルギーを持つ方がハチに刺されると、約10~20%の方に、全身の皮膚症状や嘔吐、むくみ、呼吸困難などのアナフィラキシーが現れ、そのうち数%が、血圧低下や意識障害などのショック症状を引き起こすと言われています。
ゲームとは異なり、初めてのハチ刺されでも危険な状態になることもあるので、注意が必要です。夏から秋にかけてハチが活発になるので、皆さんも十分お気を付けください。

ハチ毒によるアナフィラキシーを起こしたことがある方や、起こす危険性の高い方には、エピペンというアドレナリン自己注射薬を処方されることがあります。
ハチ毒による消化器症状(繰り返す嘔吐、持続する強い腹痛など)、呼吸器症状(持続する強い咳込み、息苦しさなど)、全身症状(意識障害など)がひとつでも現れた場合は、できるだけ早くエピペンを注射します。
エピペンは症状の進行を一時的に和らげてショックを防ぐものなので、すぐに救急車を呼びましょう。

さて、ゲームの話に戻りますが、この『おくすり』は、タヌキが経営するお店で購入するか、ハチの巣と雑草で作ることで手に入れることができます。
どんな住民の体調不良も、ハチ刺されのアナフィラキシーも一瞬で治してしまう、夢のような薬です。そんな薬が開発されることを願いつつ、今日も島の開拓に行ってきます。

薬剤師 P