日別アーカイブ: 2019年9月1日(日曜日)

ニューロモデュレーションセンターでの痛みの治療

当院ニューロモデュレーションセンタ-では、長年身体の痛みで悩まれている方への治療として、脊髄刺激療法(SCS)を行っています。
今回は『痛み』の種類について、またどのような疾患が脊髄刺激療法の対象となるのかを紹介します。

『痛み』は様々な原因によって起こります。原因となる疾患を治療して痛みを和らげたり、鎮痛剤や湿布などで対症療法をすることが一般的ですが、このような治療で治りにくい痛みが慢性化した場合、特に神経の障害によって起こる痛み(神経障害性疼痛)は脊髄刺激療法の適応となります。

『痛み』は発生する原因により、主に3種類に分類することができます。
① 侵害受容性疼痛:末梢組織の障害が、正常の知覚神経経路を伝達することで感じる痛みです。怪我をした傷口の痛みなどがこれに相当します。

② 神経障害性疼痛:知覚神経伝達経路が傷害されることにより生じる痛みです。知覚神経経路が傷害されると知覚がなくなる、もしくは減退することが多いのですが、一部の症例では逆に耐えがたい痛みを生じます。原因は知覚神経経路の再構築、知覚神経の過剰興奮などと言われていますが、明確にはわかっていません。

③ 心理・社会的因子による疼痛:①②とは異なり、身体的ではなく精神的な要因により生じる痛みです。これらのうち、脊髄刺激療法の適応は「②神経障害性疼痛」です。『痛み』は、末梢神経→脊髄→視床→大脳皮質の経路で伝達することが知られていますので、これらの神経経路のどこかが傷害されれば神経因性疼痛が生じることになりますが、具体的には主に以下の病状が適応となります。
・脳卒中により中枢神経が傷害され感覚障害・痛みが残存する場合(中枢性疼痛)
・神経障害性疼痛(脊椎術後疼痛、脊柱管狭窄症、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性ニューロパチー)
・末梢血流障害(閉塞性動脈硬化症、バージャー病による虚血の痛み)
・複合性局所疼痛症候群(CRPS)に伴う痛み

脊髄刺激療法について気になることや聞いてみたいことなどがあれば、一度外来を受診して相談してみて下さい。

倉敷ニューロモデュレーションセンター 外来看護師 T&M

※写真はイメージです