カテゴリー別アーカイブ: 倉敷ニューロモデュレーションセンター

ニューロモデュレーションセンター勉強会開催報告

 3月15日(木)17:30~18:30 倉敷在宅総合ケアセンター4F多目的ホールにてニューロモデュレーションセンター勉強会を開催しました。ニューロモデュレーションセンターに関わるスタッフを目的でしたが、看護師やリハビリスタッフ、コメディカルなど63名が参加しました。
今回は「脳深部刺激療法(DBS)」の勉強会でした。上利崇センター長より「パーキンソン病の特徴や脳深部刺激療法の治療、新しいシステムでの治療方法について」ご講演頂きました。
まもなく倉敷ニューロモデュレーションセンターが開設し1年が経ちます。多くの手術や検査・調整入院を行っていましたが、疑問点も多い状況でした。今回の勉強会を通じて、DBSの患者さんと検査から治療までどのように向き合っていくか、それぞれの入院によってどのような役割なのか、それぞれのスタッフはどう接していくべきなのかとても勉強になりました。

これからも手術や検査を実施予定ですが、一人でも多くの患者さんに安心できる医療を提供できるよう、勉強会を開催していきたいと思います。
脳深部刺激療法は手術することが目的ではなく、手術をしてはじめてスタートラインに立つ治療です。それから10年、20年と長期にわたり治療を行きます。患者さんに合わせた治療を病院全体で連携をとりながら実施していきたいです。

(治療の画像は、すべてDBS手術の画像です)

倉敷ニューロモデュレーションセンター ME

パーキンソン病と睡眠障害について

パーキンソン病では、運動障害の他にもいろいろな症状がみられます。
たとえば、意欲低下、認知機能の障害、幻視、幻覚、妄想、嗅覚の低下、痛み、しびれ、浮腫(むくみ)などです。
(表:パーキンソン病の症状)

これらは「非運動性症状」と呼ばれます。
睡眠障害は、非運動性症状の中で最もよく見られるものの1つで、患者さんの約8割が悩んでいる症状です。
睡眠障害を放っておくと、その後の生活の質(QOL)が悪くなってしまいます。
そのため、睡眠障害にはきちんと対応しなければなりません。

睡眠障害には「不眠症」「日中の強い眠気」「レム睡眠行動障害」「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」などがあります。
レム睡眠行動障害とは、身体は休んでいて、脳が覚醒している「レム睡眠」時に大声で叫んだり、暴れたり、動き回ってしまうなどの異常行動のことです。
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)とは、脚に虫が這っているような違和感や、電流が流れているような不快感をともなうものです。
パーキンソン病の患者さんは身体が硬く、睡眠中も思うように動けません。
うまく寝返りができないので、身体の違和感が強くなり目が覚めてしまうのです。
また、神経や筋肉が過敏になっているため、こむら返りがよく起こります。
悪夢を見ることも多く、これも不眠の原因になります。
さらに、トイレが近いため夜中に何度も起きなければなりません。

当院では、終夜睡眠ポリグラフィ検査(PSG)という検査を行っています。
1泊入院していただくものと自宅にて行うものと2種類あります。
なるべく普段の睡眠状況を調べるため、自宅で簡単に行える検査をおすすめしています。
睡眠障害の対策の基本は、ストレスを溜めないこと・規則正しい食生活・定期的な運動・適正な睡眠リズムを保つなどの生活習慣の見直しですが、ニューロモデュレーションセンターではPSG検査を行っていただくことでパーキンソン病の方の治療の指標とさせていただいてます。

倉敷ニューロモデュレーションセンターでは、これからも専門職がチーム医療で患者さんの治療にあたってまいります。

倉敷ニューロモデュレーションセンター 外来看護師M

平成30年3月24日(土)16時30分~17時、RSK山陽放送で上利センター長取材協力のテレビ番組放送決定。是非ご覧ください。

このたび、慢性疼痛に対する様々な治療法を紹介する内容の番組に、倉敷ニューロモデュレーションセンター上利崇センター長が取材協力致しました。
脊髄刺激療法(SCS)のトライアル手術の様子や、実際にSCSを埋め込まれた患者さんの声、リハビリテーションの様子等の場面を取材協力いたしました。
是非この機会にご覧ください。

放送日時:平成30年3月24日(土)16時30分~17時
放送局:RSK山陽放送 6チャンネル
タイトル:痛みと向き合う~笑顔で暮らせる毎日を~(仮題)

秘書広報課

倉敷ニューロモデュレーションセンターにおける言語聴覚士の関わりについて

倉敷ニューロモデュレーションセンターでは、多職種が連携し1人1人の患者様に対してよりよい治療、訓練を提供させていただいています。

言語聴覚士は、DBS(脳深部刺激療法)を受けられる患者様や、すでにDBSを受けられている患者様を中心に、認知機能や飲み込み、話すことに関する検査・訓練を行っています。
DBSの適応となった患者様の発話や嚥下機能の詳細な検査は、術後、治療効果を見る上で大変重要となってきます。また検査に加え食事、会話などの生活場面においてもチームで情報共有し、より適した治療につなげています。

パーキンソン病の患者様の中には話にくさ(構音障害)や、飲み込みにくさ(嚥下障害)を訴えられる方が多くおられます。パーキンソン病の患者様の発話特徴としては声量の低下や発話の短いとぎれ、発話速度の異常、声の高さや大きさの単調化などがみられます。また嚥下機能としては、口腔機能の運動低下により口から流延が出る、食べ物が口の中に残ってうまく飲み込めない、食事中に咽るなどの症状がみられます。このような症状を認める患者様に対して検査以外に、積極的なリハビリ介入をさせていただいています。

入院中のリハビリも重要ですが、退院後も機能を維持していくためには継続したトレーニングが必要です。口腔運動機能や呼吸発声などその方にあった自主トレーニングの方法を退院時にお伝えさせていただいています。お伝えしたトレーニング内容を術後のフォローアップの入院の際にも積極的に実践していただいている方々の姿をみると大変嬉しく思います。

今後も治療が発展していく中で、新しい情報を取り入れチームで共有しながら患者様に適した言語療法が提供できるよう取り組んでいきたいと思います。

倉敷ニューロモデュレーションセンター 言語聴覚士

倉敷ニューロモデュレーションセンターでの、脊髄刺激装置埋込術(SCS)がテレビ取材を受けました

このたび、1月某日に、Aさん(50代・男性、脳梗塞後遺症)が脊髄刺激装置埋込術(トライアル)を受けられた様子がテレビ番組の取材を受けましたのでご報告いたします。

脊髄刺激療法(SCS)は体内に設置したリード(刺激電極)で脊髄を電気刺激することにより、痛みを緩和させる治療法です。
本埋込の前に、トライアル(試験刺激)をすることにより、電気刺激の種類をいくつか試したり、どの程度の効果がみられるかを試すことができます。リードの埋込は局所麻酔で実施され、実際に患者さんに刺激の効き具合を確認しながら行われます。また一般的にトライアルは1週間程度となっています。

Aさんは5年前に脳梗塞を発症され、以来、左上下肢、手指、足肢の痛みを訴えられておられました。痛み止めの薬を飲んでもなかなか効きが悪く。また、薬のせいで食欲低下がみられたり、ぼーっとして意欲低下がみられることなどもあったとのことです。
特に寒い時期などは痛みを強く感じ、またエアコンの風などでも痛みを感じられることがあるとのことで、今回のトライアルとなりました。

トライアルの期間中は、ご自身にて患者用プログラマを操作して、刺激を調節し、痛みをコントロールしていただきます。
コントロールの方法は大変簡便で、Aさんは当日より強さを変えたりされていました。また、操作方法については、専属の臨床工学技士などがご指導いたします。Aさんは、1週間の間に、3種の刺激を試されたとのこと。
ご退院前日には、「しびれは少し残るものの、痛みがとれてうそのようだ。本当に良かった。本埋込については、いったん退院してから考えてみます」と語ってくださいました。
現在、疼痛治療の番組制作について取材協力をしています。放送日等が決まりましたら、改めてご案内いたします。

秘書広報課

 

「脊椎脊髄ジャーナル」(三輪書房)の特集「脊髄ニューロモデュレーションの現状」に上利崇倉敷ニューロモデュレーションセンター長の論文が掲載されました。

脊椎脊髄ジャーナル31巻1号」(2018年1月25日発行・三輪書房)では、「脊髄ニューロモデュレーションの現状」を特集しており、その中で、上利崇倉敷ニューロモデュレーションセンター長らが執筆された「疼痛疼痛に対する脊髄刺激療法―胸腰髄留置法に対する脊髄刺激療法―胸腰髄留置法」が掲載されましたのでご案内いたします。
脊髄刺激療法(spinal cord stimulation)は、難治性慢性疼痛に対して、脊椎硬膜外腔に電極を留置し、電気刺激を行うことで、疼痛の緩和を図る治療法です。近年、電極や刺激装置等のデバイスの進歩や、手技の向上により、従来のSCSとは異なった鎮痛効果を発揮し、更なる治療効果が期待されています。

ご興味ある方は是非ご一読下さい。
【月刊】脊椎脊髄ジャーナル 31巻 1号
■特集:脊髄ニューロモデュレーションの現状

 疼痛に対する脊髄刺激療法―胸腰髄留置法・・・上利 崇, 他

 

秘書広報課

第57回日本定位・機能神経外科学会参加報告

2018年1月19・20日の両日に奈良春日野国際フォーラム 甍~I・RA・KA~にて第57回日本定位・機能神経外科学会に上利センター長をはじめ6名が参加しました。

この学会はニューロモデュレーションにおいて一番大きな学会となります。上利センター長はランチョンセミナーとシンポジウムの演者として、DBS・SCSにおける最新の治療について講演されました。さらに看護師、臨床心理士、理学療法士、臨床工学技士がそれぞれの専門分野の内容に沿った発表を実施しました。

倉敷ニューロモデュレーションセンターか設立して10カ月となり、今学会にてこれまでの成果を発表することができました。

演題発表後には当院の取組を参考にしたいと話す先生方と情報交換を行うことができました。さらにニューロモデュレーションにおける最新の知見を勉強することができ、充実した2日間となりました。
これからも学会等にて発表を続けて、倉敷平成病院 倉敷ニューロモデュレーションセンターを多くの方々に知ってもらえるよう、チーム一丸となって活動していきたいです。

次回は2019年1月25・26日に東京で開催されます。それまでに研究等を続けていきたいです。

倉敷ニューロモデュレーションセンター ME T

スウェーデンよりブロムステッド教授が倉敷ニューロモデュレーションセンターを視察、手術手技向上に向け交流を深めました

平成30年1月19日・20日の両日で、奈良春日野国際フォーラムにて開催された、第57回日本定位・機能神経外科学会へ参加するために来日された、 スウェーデン ウメオ大学 脳神経外科 ブロムステッド・パトリック教授が、1月22日倉敷平成病院を視察され、当院倉敷ニューロモデュレーションセンター上利医師が行うDBS(脳深部刺激療法)手術の見学と意見交換がなされました。

ブロムステッド教授は、午前中のDBS手術の様子を見学されて
「皆さんが大変、段取り良く、効率的にチーム医療をされている点に大変驚きました。視覚的標的をもとに手技を構築されて、早く正確な手術をされていることに感激致しました。全身麻酔による手術が受けられる環境が整えられています。高齢者や体力的弱者は全身麻酔により、より心地よく手術を受けられると考えます。日本以外だと、このDBS手術は全身麻酔によって施行される場合が随分増えてきていますが、日本ではまだまだ少ない現状です。
技術的にも、視覚的標的をもとに全身麻酔で電極の埋込術を実施することは、より侵襲性が少なく、患者さんにとっても大変よいことだと考えます」と語ってくださいました。

ブロムステッド教授(Patric C.Blomstedt  ;Department of Neurosurgery University Hospital of Umeå)は第57回日本定位・機能神経外科学会にてシンポジウムⅠ「振戦の治療戦利略」において「振戦の治療戦略(Recent progress in tremor surgery)」と題する基調講演をされ、また、ランチョンセミナー「ニューロモデュレーションにおける最新の知見」では、上利医師と共に講演されるなど、機能的脳神経外科手術の領域では世界的に活躍されておられます。
昨年秋には、上利医師がスウェーデンウメオ大学を視察訪問し、それ以来親交を深めています。

今後も患者さんのQOL向上に向け、倉敷平成病院、ニューロモデュレーションチーム一丸となって取り組んでまいります。

秘書・広報課

倉敷ニューロモデュレーションセンターでの医療秘書の役割

今回は、ニューロモデュレーションセンターでの医療秘書課が担当している仕事を紹介させて頂きます。
私たちの正式名称は「医師事務作業補助者」といいます。字の如く、医師の事務作業軽減の為の役割を担っています。私たちは医師の指示があれば医師に代わって患者さんの記録を代行入力する権限があります。

そこで、倉敷ニューロモデュレーションセンターでの私たちの仕事ですが、医師の病棟回診へ同行し回診記録の代行入力、情報提供書・紹介返事・退院サマリーの代行作成、医師のスケジュール管理等を行っています。

私たちはニューロモデュレーションセンターの患者さんと直接接することはありませんが、医師の負担軽減をめざし、医師が患者さんに接する機会が増えることを望んでいます。
病棟回診時、上利先生の傍でメモをとっている私たちを見かけましたら、頑張っているんだなと微笑みをかけてください。

医療秘書 R

倉敷ニューロモデュレーションセンターを岸和田徳州会病院循環器内科医師御二人が来訪されました

 昨年の12月11日(月)に大阪府岸和田市の医療法人徳州会岸和田徳州会病院循環器内科部長藤原昌彦先生と森下優先生が倉敷ニューロモデュレーションセンターをご来訪くださいました。当日は、手術を見学され、その後上利センター長の講義とシュミレーターを使用してのSCS手術模擬が行われました。
今回のご来訪の目的は、重症下肢虚血(CLI)対するSCSの治療についてです。
CLIとは、末梢動脈疾患が重症化したことを指します。末梢動脈疾患は主に足の動脈に動脈硬化が起こり、狭くなるか詰まるかして足に流れる血液が不足することよって、痛みを伴う歩行障害がおこる病気です。CLI患者さんは足を切断しなければならないこともあります。SCSにて刺激を行うことにより血流を増加させ痛みを低減し、足の切断を回避することも可能となります。「CLIに対して有効な治療の一つとして循環器内科領域の治療と併用して行っていきたい」とお言葉をいただきました。
 SCSは痛みに対して行われますが、下肢虚血の治療としても有効です。今回、SCS治療が多くの現場にて活かされることになると感じました。このような交流の場を今後も活用していきたいと思います。

また、当院のフットケア外来等との連携も将来的には可能と考えられます。倉敷ニューロモデュレーションセンターでの治療がより多くの患者さんの助けとなるよう、我々も研鑽を積んでまいりたいと思います。

倉敷ニューロモデュレーションセンター ME