11月8日は「いい歯」の日

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11月ですね。今年も残すところあと2か月となりましたが、ブログをご覧の皆様はいかがお過ごしでしょうか。11月8日は「いい歯の日」として設定されています。みなさん、「8020運動」というのは聞かれたことがありますか?80歳になっても自分の歯を20本以上保ちましょうという日本歯科医師会が推奨している運動ですが、いい歯の日はこの8020運動一環として設定されています。
そこで本日は自分の歯を守ること、歯を失った場合にかみ合わせを作るための治療をすることがいかに重要であるかをお話ししたいと思います。
歯が多く残っている人や、歯が少なくても入れ歯等を入れている人では、歯が少なく義歯を入れていない人と比較して、年齢、治療中の病気や生活習慣などの影響を取り除いても、その後に認知症発症や転倒する危険性が低いということがわかってきています。
これまでの研究報告の中に、歯を失い、入れ歯を使用していない場合、歯が20本以上残っている人や歯がほとんどなくても入れ歯によりかみ合わせが回復している人と比較して、認知症の発症リスクが最大1.9倍になるという報告(1)や、歯が19本以下で入れ歯を使用していない人は、20本以上保有している人と比較し、転倒するリスクが2.5倍になるという報告(2)があります。
また、保有する歯が19本以下の人は、20本以上の人と比較して1.2倍要介護認定を受けやすいという結果が出ています。(3)このことから要介護状態になる危険性は歯が多い人ほど少ないことがわかります。

以上のように、歯の多い人ほど、またはすでに自分の歯を喪失しても入れ歯等で口腔機能を回復できている高齢者は認知症になりにくく、転倒も少ないということが疫学研究からわかってきています。口腔機能を維持することは要介護になりやすい疾患を予防し、健康寿命の延伸につながる可能性があります。
もし、しばらく歯科の治療を受けていなかったり、気になるところがあるのに受診できていない方がいらっしゃったら健康な高齢者になれるよう、ぜひ歯科受診をしてみてください。
参考文献
(1)yamamoto et al., Psychosomatic Medicine, 2012
(2)yamamoto et al., BMJ Open : e001262, 2012
(3)Aida et al., Journal of Amerikan Geriatric Society 60 (2):338-348, 2012
歯科医師 F