日別アーカイブ: 2018年1月22日(月曜日)

スウェーデンよりブロムステッド教授が倉敷ニューロモデュレーションセンターを視察、手術手技向上に向け交流を深めました

平成30年1月19日・20日の両日で、奈良春日野国際フォーラムにて開催された、第57回日本定位・機能神経外科学会へ参加するために来日された、 スウェーデン ウメオ大学 脳神経外科 ブロムステッド・パトリック教授が、1月22日倉敷平成病院を視察され、当院倉敷ニューロモデュレーションセンター上利医師が行うDBS(脳深部刺激療法)手術の見学と意見交換がなされました。

ブロムステッド教授は、午前中のDBS手術の様子を見学されて
「皆さんが大変、段取り良く、効率的にチーム医療をされている点に大変驚きました。視覚的標的をもとに手技を構築されて、早く正確な手術をされていることに感激致しました。全身麻酔による手術が受けられる環境が整えられています。高齢者や体力的弱者は全身麻酔により、より心地よく手術を受けられると考えます。日本以外だと、このDBS手術は全身麻酔によって施行される場合が随分増えてきていますが、日本ではまだまだ少ない現状です。
技術的にも、視覚的標的をもとに全身麻酔で電極の埋込術を実施することは、より侵襲性が少なく、患者さんにとっても大変よいことだと考えます」と語ってくださいました。

ブロムステッド教授(Patric C.Blomstedt  ;Department of Neurosurgery University Hospital of Umeå)は第57回日本定位・機能神経外科学会にてシンポジウムⅠ「振戦の治療戦利略」において「振戦の治療戦略(Recent progress in tremor surgery)」と題する基調講演をされ、また、ランチョンセミナー「ニューロモデュレーションにおける最新の知見」では、上利医師と共に講演されるなど、機能的脳神経外科手術の領域では世界的に活躍されておられます。
昨年秋には、上利医師がスウェーデンウメオ大学を視察訪問し、それ以来親交を深めています。

今後も患者さんのQOL向上に向け、倉敷平成病院、ニューロモデュレーションチーム一丸となって取り組んでまいります。

秘書・広報課

痰飲(たんいん)による不安神経症の鍼灸治療

カテゴリー: ヘイセイ鍼灸治療院 | 投稿日: | 投稿者:

40代の女性、めまい、動悸、不安、睡眠が浅い、パニック発作、肩こり、頭痛などの症状でヘイセイ鍼灸治療院に来られた。
病歴を聞いてみると、家族が転勤族で、30代の前半に子供が生まれてから、不安定な生活環境の中で子育てをしていたため、ストレスが強く感じ、次第に気分不良、めまい、手足の痺れ、動悸、不安、肩こり、頭痛、人込みの中にいるとパニック発作、電車や飛行機に乗ると、気分不良など、多岐の症状が現れました。病院では「不安神経症」や「うつ」などとして抗うつ治療を受けまして、一時症状が改善されましたが、薬を減らすと、症状が再発しました。抗うつ剤をやめるために、鍼灸院に来られました。
体質判断の情報としては、痩せ型、顔色が白くて艶はない、舌が青くて薄い白苔、腹筋がやや緊張で胃のあたりに押さえると「振水音」(水を振動させる時の音)がある、四肢末端が冷えている。飲食習慣では、冷たい飲み物をよく飲む。
以上の状況から、この患者さんの症状は胃に痰飲の停滞によるものだと判断しました。痰飲は水分の代謝障害による産物で、「水毒」とも言われます。このような患者さんは病院での検査では異常が見られず、多岐に症状が見られます。
漢方の古典『傷寒論雑病論』に収載される苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)は、痰飲(水毒)による諸症状を治療する代表的な処方です。この処方の適応症状には、めまい、ふらつき動悸、神経質、ノイローゼ、息切れ、頭痛などが見られます。これらの症状は、この患者さんの症状とよく似ています。
胃中痰飲を治療するため、胃の陽気を強くしなければなりません。そのために、まず、患者さんに冷たい飲食を控えるように説明しました。さらに腹部の水分、陰交(いんこう)、天枢(てんすう)、上肢の曲池(きょくち)、下廉(げれん)、内関(ないかん)、合谷(ごうこく)、下肢の足三里(あしさんり)、陰陵泉(いんりょうせん)、三陰交(さんいんこう)、公孫(こうそん)などのツボに鍼灸を実施しました。
治療を開始から3か月後に、諸症状は殆ど改善され、抗うつ剤もほぼやめました。1年後に電車での長い旅でもできるようになりました。
精神、神経的な症状は胃腸の水毒によって起こる時もあります。鍼灸治療は、抗うつ剤のような副作用はありませんので、長く患っている患者さんは、選択肢の一つとして考えても良いかと思います。

ヘイセイ鍼灸治療院 甄立学