日別アーカイブ: 2017年5月9日(火曜日)

インスリン製剤の夏場の保管についての注意

カテゴリー: 糖尿病療養指導士, 薬剤部 | 投稿日: | 投稿者:

いよいよ立夏も過ぎ、夏がやってきました。これからお出かけする機会も増えますが、インスリン製剤は、高温保管にならないように温度管理が大切です。インスリン製剤を使用されている患者さんは、夏場の保管について、もう一度おさらいしておきましょう。

使用中のインスリン製剤は室温30℃以下の室温で保管をしてください。未使用のインスリン製剤は、冷蔵庫で(冷気の吹き出し口付近を避けて、凍結しないように)、2~8℃で保管してください。もしインスリン製剤が凍結してしまった場合は、使用しないでください。

1. 高温保管になると、インスリンに異常(かたまり)が見られたり、懸濁製剤が混ざらなくなることがあります。卵を焼くと白くて固まるように、熱によりタンパク質が変性してしまうためです。特に自動車内部は高温になるので、インスリン製剤を自動車内に放置しないように気を付けましょう。海水浴やキャンプでも、高温にならないように注意してください。
2. 旅行などの際は、カバンの中に入れて持ち歩いて構いませんが、直射日光に長時間当てず、熱くならないように注意が必要です。夏の旅行など炎天下で長時間持ち歩く時は、冷蔵庫で冷やした保冷剤を、インスリン製剤に直接ふれないようにタオルで包み、いっしょに保冷バックに入れると良いでしょう。
3. 針はインスリンを注射するたびに新しい針をつけましょう。インスリン注射が終わったら、針をつけたままにせず、必ず針を外して、キャップをつけて保管しましょう。

普段は透明なのに濁っているインスリン製剤や、中に異常(かたまり)が見られるインスリン製剤は使用せず、新しい製剤を使用してください。予備のインスリン製剤が無い場合は、速やかに受診して新しいインスリン製剤の処方を受けてください。使用できなくなったインスリン製剤は、家庭ゴミとして廃棄をせずに医療機関に持参してください。

また、自己血糖測定用の測定チップ(グルテストセンサーなど)も高温には弱いので、高温で保管しないよう注意しましょう。インスリン製剤だけでなく、「ビクトーザ」、「トルリシティ」などのGLP-1製剤や、骨粗鬆症治療薬「フォルテオ」なども、夏場の温度管理には注意が必要です。今の間に、それぞれの注射製剤に関する注意をよくおさらいしておき、楽しい夏を迎えましょう。

糖尿病療養指導士&薬剤師 いっちー