昔から「早食いは肥満のもと」といわれています。早食いをすると肥満になりやすいのは脳の満腹中枢が関係しています。満腹中枢とは脳の視床下部にある器官のひとつで、摂食行動を調整しています。食べ物を食べると消化・吸収され、血液中のブドウ糖が増加します。満腹中枢はこれを感知し、「お腹が一杯になった」と体に伝えます。しかし、ブドウ糖が上昇したことを満腹中枢が感知するまで約20分かかるとされ、早食いの人は満腹感を感じる前に食べ過ぎてしまい、結果として肥満になりやすくなります。また、早食いは食後の血糖値が上昇しやすくなるため、糖尿病のリスクも高めます。そのため、ゆっくり食べることが大切です。
ゆっくり食べるコツの1つは「よく噛む」ことです。よく噛むことで満腹中枢がより早く刺激され、少量でも満腹感が得られやすいのです。またよく噛むことは脳の活性化や、唾液の分泌を増やして消化を助ける、虫歯や歯周病を予防するなどの効果があります。その他にも日頃からよく噛んで歯や顎を鍛えておくと、しっかり歯を食いしばることができるので力を出しやすくなり、全身の筋力や体力の向上につながります。
また、よく噛むこととエネルギー消費には関係があると言われています。人が消費するエネルギーには呼吸など生きていくために最低限必要な生命活動で消費される「基礎代謝」、運動や家事などの活動で消費される「身体活動量」、食べ物の消化や吸収で消費される「食事誘発性熱産生」があります。よく噛むことで消化活動が活発になって食事誘発性熱産生が高まり、エネルギー消費量を増やすことができます。
東京工業大学大学院では、食事(パスタ、ヨーグルト、オレンジジュース)を食べる時間の差での食事誘発性熱産生の違いについて調査しており、早く食べた時のエネルギー消費量は15kcalでしたが、ゆっくりよく噛んで食べた場合は30kcalで、咀嚼回数を増やすとエネルギー消費量に2倍の差が出ることが明らかになったそうです。
食事はゆっくりよく噛んで味わって食べましょう。
☆ゆっくり食べるコツ
 ・噛みごたえのある食材を選ぶ
  ごぼうやれんこん、きのこなど、食物繊維の多い食品を取り入れましょう。
 ・食材を大きめに切る
  大きめに切ることで、飲み込むまでの噛む回数が自然と増えます。
 ・口に入れる量を減らす
  一口量を少なくしましょう。
 ・箸を置く
  一口食べるごとに箸を置き、食事を味わいましょう。
参照:東京工業大学ホームページ
https://www.titech.ac.jp/news/2015/031199
管理栄養士 Y.M


何かを食べて、美味しい・甘い・からい・酸っぱい・・・などの味は、そのときに聞いている音によって変化することをご存じですか?
酢は日本で最初に生まれた発酵調味料であり、その歴史は深く世界にはなんと4000種類の酢があるといわれています。「酒のあるところ、必ず酢あり」という言葉があるようにどんな酒でも発酵させれば酢になるため、酒の種類だけ酢の種類があるわけです。古くからワインを飲む習慣のあるヨーロッパではワインビネガーやバルサミコ酢が一般的です。また、ビールで有名なドイツではモルトビネガーが愛用されています。酒と食文化が切り離せない関係にあれば、酢はその国の食文化を象徴する調味料ともいえるでしょう。最近ではテレビや雑誌、SNSなどで酢の健康効果が取り上げられていますね。実際に普段の食事に取り入れられている方も多いのではないでしょうか。ここでは酢の主な効果をいくつか紹介します。
しかし、糖質が添加されたお酢ドリンクには注意をしましょう。ご家庭にある商品の原材料名の欄に「果汁」「果糖ぶどう糖液糖」「はちみつ」の文字はありませんか?これらは血糖値を上昇させる糖質にあたります。血糖値が高めの方はこのような糖質が添加されたお酢ドリンクには注意が必要です。酢には、他の食品の栄養素の破壊を防止、消化吸収上昇などの働きがあり、相乗効果も期待できますが、バランスのとれた食生活と正しい情報により摂取することで酢の効果が最大限に発揮されます。健康にも役立つ酢を無理なく食生活に活用していきましょう。
 
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