栄養科通信vol.160 「別腹って本当にあるの?」

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お腹いっぱいに食事をした後でも、美味しそうなデザートや好きなものを出されると、食べてしまったという経験はありませんか?「甘いものは別腹」といいますが、本当に「別腹」は存在するのでしょうか?

別腹とは、これ以上は食べられない満腹状態でも甘いものなら食べられることをいいます。
別腹の仕組みは詳しくは解明されていないようですが、大きく2つ知られています。

1つ目はオレキシンというホルモンによるものです。甘いものを目の前に出されると脳内の快楽物質が分泌され、もっと欲しいという欲求が生じます。すると、食欲を増進させる作用があるオレキシンが脳内で分泌され胃の運動が活発になり、胃の内容物が小腸に送り出されて新たに食べ物を受け入れるスペースがつくられるというわけです。

2つ目は味の変化によるものです。人は同じ味のものを食べ続けているとその味に飽きて、満腹感を早く感じるといわれています。味覚の基本となる味には「甘味、塩味、苦味、酸味、うま味」の5つがあるといわれていますが、一般的に料理を構成するのは、このうちの塩味、酸味、うま味の3つの味です。そのため、食事で満腹になったとしても甘味に対してはまだ飽きていないため、お腹がいっぱいでもデザートは食べられてしまうのです。
別腹=甘いもののイメージが強いですが、実は自分の大好物であれば甘いものでなくても脳が刺激され、別腹が出現してしまうようです。

満腹状態なのにさらに食べてしまうことが習慣になれば、カロリーオーバーになり生活習慣病につながるのはもちろん、満腹感を感じにくい体質になりかねません。
別腹対策のポイントは見ないことです。食事が終わったらすぐ片づけるようにしたり、食事で満腹感を得られたら自分にお腹いっぱいと言い聞かせるようにして、別腹の誘惑に負けないようにしましょう。

参考:山本隆:化学と生物Vol45,21-26.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/45/1/45_1_21/_pdf

管理栄養士 Y.M