栄養科通信vol.164 「お酢パワーを活かした食生活へ」

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酢は日本で最初に生まれた発酵調味料であり、その歴史は深く世界にはなんと4000種類の酢があるといわれています。「酒のあるところ、必ず酢あり」という言葉があるようにどんな酒でも発酵させれば酢になるため、酒の種類だけ酢の種類があるわけです。古くからワインを飲む習慣のあるヨーロッパではワインビネガーやバルサミコ酢が一般的です。また、ビールで有名なドイツではモルトビネガーが愛用されています。酒と食文化が切り離せない関係にあれば、酢はその国の食文化を象徴する調味料ともいえるでしょう。最近ではテレビや雑誌、SNSなどで酢の健康効果が取り上げられていますね。実際に普段の食事に取り入れられている方も多いのではないでしょうか。ここでは酢の主な効果をいくつか紹介します。
①内臓脂肪の減少
酢には酢酸やクエン酸などの有機酸を含んでいます。これらは中性脂肪を燃焼させる働きがあり、運動と合わせることでさらなる効果が見込めます。
②血圧上昇を抑制
酢に含まれる酢酸が細胞内に取り組まれることで、血管を拡張させるアデノシンに働きかけ、血圧の上昇を抑える効果があります。
③腸内環境を整える
酢に含まれるグルコン酸は腸内の善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やします。善玉菌は悪玉菌の増殖を抑え、腸の運動を活発にする働きがあります。また、抗菌作用が腸内の悪玉菌を減らすのに役立ちます。
近年ではこれに加え、便秘改善、疲労回復、血糖値の抑制などの効果が研究で科学的に検証されています。

健康効果を得るためには1日あたり15mL(大さじ1杯)程度を継続して摂取すると効果があるといわれています。空腹時にそのまま飲むと胃に負担をかけてしまうため、毎食ごとのメニューに酢を取り入れてみましょう。さっぱりした料理には穀物酢、こってりした料理には黒酢、洋風料理には果実酢がおすすめです。酢の効果は上記にもあったように酢酸によるものです。酢酸は穀物酢と果実酢どちらにも含まれており、作用の違いはありません。

しかし、糖質が添加されたお酢ドリンクには注意をしましょう。ご家庭にある商品の原材料名の欄に「果汁」「果糖ぶどう糖液糖」「はちみつ」の文字はありませんか?これらは血糖値を上昇させる糖質にあたります。血糖値が高めの方はこのような糖質が添加されたお酢ドリンクには注意が必要です。酢には、他の食品の栄養素の破壊を防止、消化吸収上昇などの働きがあり、相乗効果も期待できますが、バランスのとれた食生活と正しい情報により摂取することで酢の効果が最大限に発揮されます。健康にも役立つ酢を無理なく食生活に活用していきましょう。

管理栄養士 MA