日別アーカイブ: 2025年8月4日(月曜日)

草むらに潜む天敵…!

カテゴリー: 臨床検査部 | 投稿日: | 投稿者:

ジリジリと焼けるような暑さが続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。こんな日には、涼しい服装でお出かけしたいところですが、場所によっては危険に晒される可能性があります。

春から秋にかけてはマダニの活動が盛んになり、刺されてしまう危険性が高まります。
マダニ類の多くは、皮膚から数日間、長いものだと10日間以上吸血しますが、刺されたことに気がつかない場合も多いと言われています。吸血中のマダニに気が付いた時は、直ちに皮膚科を受診して処置をしてもらうようにしましょう。無理に引き抜いたり払ったりすると、マダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液を逆流させてしまったりするおそれがあります。

ダニに刺されると様々なウイルス感染症を引き起こす可能性があります。日本紅斑熱、ライム病、ツツガムシ病など様々ありますが、今回は重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という感染症を取り上げます。感染者数は2021年以降毎年100名を超えており、SFTSウイルスを保有しているマダニに刺されたり、SFTSを発症している動物に接触することで感染します。主な初期症状は発熱、全身倦怠感、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)で、重症化して死亡することもあります。マダニに刺された後、数週間は体調の変化に注意をして、症状が現れた場合はすみやかに医療機関で診察を受けて下さい。その際にはマダニに刺されたことを医師に説明してください。

草むらや藪など、マダニが多く生息する場所に入る場合には、長袖・長ズボン(シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる)、足を完全に覆う靴(サンダルなどは避ける)、帽子、手袋を着用し、なるべく肌の露出を少なくすることが大事です。服は、マダニを目で確認しやすい明るい色のものがおすすめです。虫除け剤の中には服の上から用いるタイプがあり、補助的な効果があると言われています。屋外活動後は入浴して、マダニに刺されていないか確認して下さい。特に、わきの下・足の付け根・手首・膝の裏・胸の下・頭部(髪の毛の中)などがポイントです。また、ペットを介して家にダニが持ち込まれる場合があるため、ペットが外から帰宅したらダニがついてないか確認して、ダニが皮膚に食い込んでいる場合はできるだけ早く動物病院に連れて行くようにしましょう。

夏休みなどで山に遊びに行く方もいると思います。万が一に備えて、虫から身を守る服装で、安全にレジャーを楽しみましょう!

厚生労働省ホームページ「ダニ媒介感染症」より引用
イラスト:いらすとや 写真:写真AC
臨床検査部 KW