カテゴリー別アーカイブ: 認知症疾患医療センター

ある日の診察室から

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ちょっとなんだかいつもと様子が違う....

Oさん:(マジメな感じで)先生こんにちは

W:こんにちは! 今日はなんだか違うねえ...

Oさん:...

W:どうしたの

Oさん:....

ご家族:今日は朝から変なんですよ

W:あらまあ,どうしたんかなあ

Oさん:私は,もおええと思ってるんじゃ

W:もおええって,なんじゃろ?

Oさん:この世

W:この世?

Oさん:(マスクを外そうとしながら)先生

ご家族:もう,マスクとっちゃダメでしょう!

Oさん:...(マスクを外すのをやめる.表情は冴えない.)

W:そういえば,今日は眉毛も描いてないし,チラッと見えたけどいつもの口紅がないねえ.

Oさん:もおええんじゃ

W:あらまあ

ご家族:最近すぐカッとなって怒りっぽいんですよ

Oさん:叱られてばっかりじゃ.通いに行ってもなんもできん.

W:通いって,デイサービスのことかな?

Oさん:.....

W:あ〜〜,確かに大好きなカラオケできんかもねえ.

Oさん:.....

W:う〜〜ん,コロナ のせいかなあ.

Oさん:コロナ ってなんじゃ

W:あのテレビでもやってる流行り病のこと

Oさん:ああ,あれな

W:もうちょっとの辛抱かもなあ...

Oさん:私の人生,辛抱ばっかりじゃ.この年になって,また辛抱.

W:この年って,お幾つになったんじゃっけ.

Oさん:83じゃ

ご家族:お母さん,86歳よ!

Oさん:もおええが!

W:あらあら,ごめんよ.女性に年齢尋ねるなんて失礼じゃったねえ.

Oさん:先生が謝らんでええよ

W:おうちでもなんか楽しみがあるといいんだけどなあ

Oさん:なんもない

W:お家でも歌を歌ったり

Oさん:家なんかで歌えるもんか

W:演歌が好きなの?

Oさん:演歌も好きだよ

W:へー,そんじゃここで一曲歌ってよ〜

Oさん:また,先生が変なこと言う.ここは病院じゃが

W:マスクをしたままで小さめの声なら大丈夫だよ〜(しばらく手拍子の真似をする)

Oさん:(考え込んで)また〜〜,(ちょっとだけ笑顔で)ほんなら一節だけな

W:お〜〜〜(看護師さんと一緒に拍手をする)

Oさん:♫♫♩♫♩🎶(小さめの声で歌う)

W:お〜〜〜(看護師さんと一緒に拍手をする),上手じゃが!

Oさん:先生も上手言うなあ

W:歌うと,気分もいいし,悩みも吹っ飛ぶねえ

Oさん:今はもう,「歌を忘れたカナリア」じゃ

W:あっ,それももう一曲歌っとこおうか

Oさん:また,先生が〜〜

W:マイクがなくても,マスクをしとっても,小さな声でも,歌を口ずさむのはいいよ!家でもできるはずなんじゃけどなあ

Oさん:そうするかなあ...叱られたりせんかなあ

W:大丈夫,大丈夫(ご家族にも視線を向ける).実は僕は時々雨戸を閉めて大きな声で歌うよ!

Oさん:うちに雨戸はねえ

W:そんじゃやっぱり,小さめの声で口ずさもうよ

Oさん:そうするかな

W:「もおええんじゃっ」ていってたけど,歌があれば大丈夫だね

Oさん:でも,未練も何にもないよ.いつ逝ってもいいよ

W:それでもその時まで「歌を忘れぬ」カナリアでいきましょうよ

Oさん:そうじゃな.先生ありがとうな

W:こちらこそありがとうね.ついでにこちらさんにも(ご家族の方に目線を送りながら)「ありがとう」なんじゃけどなあ

Oさん:それがなかなか言えんのよ

W:「ありがとう」はこの世でしか言えないらしいよ

Oさん:そうじゃなあ

W:「ぷんぷんババア」より「ありがとババア」の方が100万倍いいよ〜

Oさん:先生,ババアはひどいなあ.でも,そうならんとな

W:そうしましょう

Oさん:長い時間,ごめんな.先生,また来るわ

W:是非是非

 

コロナで楽しみや生活の潤いが少なくなるのは,老若男女辛いものです.
認知症の発症や進行予防に重要な,運動・栄養・交流のうち,「交流」が減っています.
3密(密閉,密集,密接)は,避けなければなりませんが,なんとかいい意味での「密」である「親密」は保ちたいものですね.

脳神経内科部長・認知症疾患医療センター長 涌谷陽介

2021世界アルツハイマーデー

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9月は、世界アルツハイマー月間です。毎年9月21日は「世界アルツハイマーデー」です。
この日を中心として9月を「世界アルツハイマー月間」と定め、様々な取り組みが行われています。“認知機能が低下しても豊かに暮らせる社会”を目指し、今後も当院認知症疾患医療センターでは、一つ一つの課題に向き合い、積極的な活動を続けていこうと思います。

国際アルツハイマー病協会(ADI)が制定した、世界アルツハイマーデーにより、世界各国で認知症についての理解が得られ、認知症は暮らしの要素の一部として、認知症とともにかけがいのない暮らしが作られていく事を強く望みます。

9月21日―22日には、ブランチ岡山北長瀬 屋外グリーンステージ周辺で、照明がオレンジにライトアップされるようです。
コロナ禍で、今年は行事が縮小されていますが、ソーシャルディスタンス、感染予防を図り、遠くからライトアップを眺めることはできそうです。

世界アルツハイマーデー

RUN伴全国版 (runtomo-zenkoku.org)

 

※世界アルツハイマー月間2021サイトはこちら

倉敷平成病院 認知症疾患医療センター 医療秘書課 S.U

高齢者の運転

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「いつまでも安全に運転を楽しみたい」と多くの方が願っていますよね。
今回は高齢者の運転について少しお話したいと思います。

当院の認知症疾患医療センターを受診された方の中には、自分自身の運転に不安を感じていたりご家族の方が心配に思われている状況も多くあります。ニュースなどでもよく聞く高齢者の事故。加害者になってしまうことも心配。でも車がない不便な生活を考えると、免許返納もなかなか決心できない。そこで、ご自身がこれからも安全運転を続けていくための情報や、免許返納について、返納後の生活について紹介したいと思います。

高齢者ドライバーによる交通事故の代表例としてよく取り上げられるのがアクセルとブレーキの”踏み間違い”です。
しかし、事故の原因は踏み間違いだけではありません。高齢になることで認知・判断・操作のそれぞれの能力が低下していくことが様々な事故を引き起こすリスクにつながります。

高齢化による運動能力の変化
「思い込み」と「操作能力の低下」に注意!
高齢者ドライバーは実際に確認をせず、「思い込み」で運転する傾向が強い。
(例)・ 信号や標識を確認せず、見えているクルマの動きだけで運転
・ギアがパーキング(P)に入ったと勘違いし、ブレーキペダルから足を外してクルマが動き出す。
このような運転傾向になる原因としては、認知・判断・操作の能力が低下、また認知や判断ができたとしても、思ったように身体が動かないために操作の誤りや遅れが発生することなどが挙げられます。同じように車庫入れや駐車時に、「何度も切り返し」「脱輪」「ブレーキやアクセルの操作遅れ」などが起きるのも、”頭の中のイメージに身体がついてきていない”ことが理由です。
高齢ドライバーほど「運転に自信がある」と思う傾向が強いそうです。しかし、どんなに運転に自信があっても、加齢とともに運転技能は確実に変化します。それを踏まえ、「トレーニング」や「運転方法の改善」「安全装備の使用」などをおこなっていくことが大切です。

運転免許の返納
・有効期限内に自主的に免許を返納すれば「運転経歴証明書」を申請することができます。
「運転経歴証明書」は運転免許証の代わりに身分証明書の代わりになります。
・「おかやま愛カード」は免許を自主返納または失効した方で、希望される方に渡されます。
このカードで、路線バス運賃半額、タクシー割引など、県内の協賛店で色々なサービスを受けることができます。

この機会に運転について、免許の返納時期について、1度考えてみてください。

認知症疾患センター 外来看護師 F

「わくわくカフェ」と「家族教室の紹介」

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海や山の恋しい季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
新型コロナウイルスによる日常の様々な変化に戸惑い、我慢を重ね、この新しい生活様式も一年以上が経過しました。人との交流や外出する機会が減少し、気分転換の方法も変化を余儀なくされた方が多いのではないでしょうか。ワクチン接種が始まったことで、早期の収束を期待したいところですね。
当院の認知症疾患医療センターでは、毎年“わくわくカフェ”や“家族教室”を開催してきましたが、昨年はいずれも開催中止となりました。
“わくわくカフェ”とは、認知症の方の普段は見られない様子をみることができることや、ご家族同士が知り合える「きっかけ」の場の提供を目指して開催しています。内容は、医師による講演や参加者みなさんで楽しめるゲームタイム、料理や創作、脳トレ、通所リハビリスタッフによる体操など様々なコーナーを設け、楽しく過ごしていただけるように他職種で案を出し合って企画しています。
“家族教室”とは、当院の認知症疾患医療センターを受診している患者さんの家族を対象に、認知症の知識や対応を学ぶ機会を提供することを目的としています。内容は、各専門職(医師、看護師、栄養士、リハビリスタッフ、精神保健福祉士、公認心理師)からの講義や、講義の内容を踏まえて参加者の皆さんと一緒に考えるグループワークを行っています。また、教室には公認心理師や精神保健福祉士がいるため、気軽に相談していただけるのも特徴の一つです。
今年もまだ開催ができていない“わくわくカフェ”と“家族教室”ですが、このような状況下でも安心安全に開催できるよう、方法を検討している最中です。これら行事を通して、また皆さんにお目にかかれる日を心待ちにしています。

認知症疾患医療センター 公認心理師 S

 

はじめまして

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R3年3月より、認知症疾患医療センターの新しい一員として、異動して参りました、精神保健福祉士(PSW)のKと申します。
簡単ではありますが、自己紹介をさせていただきます。

このたび異動してきたとお伝えしましたが、元々は同グループである介護保険施設にて、社会福祉士として相談員を務めておりました。
介護保険サービスの一つとして、ご利用の方に安心し、信頼してご利用いただけるように、ご家族様やケアマネージャー、施設職員の方々と、密に連携を図りサービス提供をさせていただきました。

当センターの精神保健福祉士の役割の一つとして、もの忘れ外来の初診の患者さんに対して、ご連絡にて事前問診をさせていただいております。診察当日、検査から先生の診察終了まで、約3時間のお時間を要します。その為、診察がスムーズに進行するように、事前に困っていることやご本人様の最近の様子などお伺いをさせていただいております。

実際に事前問診をさせていただく中で、様々な症状でお困りなケースを伺います。
出来る限り事細かく、患者さんについて伺うことで、その方の人間像を把握し、今抱えている問題に寄り添い対応していきたいと私自身思っております。
お話の聞き取り方や伺い方に不慣れで至らぬこともあるかと思いますが、お答えいただければ幸いです。

今回異動し、改めて入職してきた当時の初々しい気持ちを思い出しました。
その気持ちを忘れず、身を引き締め今後とも日々の業務に務めていきたいと思います。

ほんの些細なお困り事でも、お気軽に認知症疾患センターまでご連絡いただければと思います。
よろしくお願いいたします。

認知症疾患センター 精神保健福祉士 K

ある日の診察室から

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Cさん:(診察室に入ると,Wの顔を見て立ち止まり丁寧にお辞儀)
W:(その姿を見て,キーボードにおいた手を離して,正面をむいてお辞儀)
Cさん:(杖をついてゆっくり慎重に歩いて)お世話になります.この丸い椅子に座らせていただいてよろしいでしょうか.
W:はいどうぞ.ご丁寧にありがとうございます.

Cさん:Cと申します.
W:Cさん,この病院は初めていらっしゃいましたか?
Cさん:はい,そのように存じ上げます.

W:(名札を見せながら)それでは私も自己紹介です.
Cさん:Wですか.珍しいお名前ですね.
W:悪い事はできません.
Cさん:いえいえ,先生はそのような方ではありません.ボケたとはいえそれぐらいはわかります.
W:それわそれは.お眼鏡にかなうよう頑張ります.ところで今日はどうしてこの病院にいらっしゃったんですか?
Cさん:実はこの二人から,ボケたボケたと言われます.
W:この二人と言いますと?
Cさん:妻と娘です.

W:ボケにも色々ありますが,どんなボケですか?
Cさん:恐らくボケたんだと思います.しょっちゅう忘れます.

W:なるほど.それはご心配です.ちなみにそれは小ボケですか,大ボケですか?
Cさん:私は小ボケだと思っておりますが,この二人はどうか...
Cさん妻:その間だと思いますよ.

W:それはそれは.だとしたらそれはいいボケですか,わるいボケですか?
Cさん:そう言われても私にはわかりません.

W:例えばニコニコボケですか,プンプンボケですか?
Cさん:どうですかなあ.
Cさん妻:心配ボケです(と合いの手).
W:あらあらそうですか
Cさん妻:自分で「ボケたボケた」と言って何もせずジーーっとしているんです.それに,急にぼーっとすることもあります.
Cさん:そんな事はございませんよ(眉間にシワが寄る)

W:それはそうと,お年にしては目も耳もいいですね.
Cさん:いえいえ,目は両方白内障の手術をしましたし,耳も遠くなってきました.テレビの音が大きいと叱られます.
W:でも,私の声は聞こえますよね.
Cさん:先生のお声は何とか耳を澄ませて聞いております.この年になるといけません.

W:この年と言われますと,お幾つでしたっけ.
Cさん:82歳です.

W:もう数ヶ月で83歳ですね.持病もなしですか?
Cさん:血圧のことと腰が悪くて歩きがいけません.
W:わかりました.それでは,簡単に診察させていただきますね.

W:体の方も,神経の方も,腰の悪さから来る症状以外,はっきりした異常はありませんね.血液検査も.びっくりするぐらいいいですねえ.栄養のバランスもバッチリです.奥様に感謝ですねえ.ごちそうさまは言われますか?
Cさん:それぐらいは言います.

W:ついでに「ありがとう」もつけますか?
Cさん妻:それはほとんどないです(と合いの手)

W:なるほど,ちなみに記憶の検査は一応合格点でした.何でもかんでも
忘れるわけではなさそうですよ.頭のMRIでは,何といわゆる「隠れ脳出血」が数カ所見つかりました.幸い手足の動きや感覚には影響のないところでしたが,この大きさだとふらつきがあったり視野が狭くなった感じがしたかもしれません.何か急な変化に気づいた事はありませんでしたか.
Cさん:ありません.
Cさん妻:ありませんよ.でも,ぼーっとするのは最近増えました.

W:その時はどんな感じですか?
Cさん妻:下を向いて何か考え込むような感じになって,左手をゴソゴソ動かすこともあります.数十秒くらいですが.
Cさん:自分ではわからんのです.
W:そうですか.
Cさん妻:その話をすると,わからんわからんばっかり言うんです.

W:娘さんはその様子を見たことがありますか?
Cさん娘:別居なので見た事はありません.母からは何度か電話がかかってきました.先生,これって認知症じゃなくて,「てんかん」じゃないんですか?
Cさん:いえいえ娘はそう言いますが,決してそんな大それた病気ではないんです.
W:ウ〜〜ム....
Cさん娘:私がそれを言うと最後には喧嘩になるんです.

W:Cさん「老いたら」,何と言いますか?
Cさん:「子に従え」ですなあ.
W:最近では「老いたら子と仲良く」って言うらしいですよ!
Cさん:なるほどなあ.

W:Cさん,今回の事は娘さんにしっかり感謝しないといけないですねえ.今日お聞きしたお話や検査所見からは,「てんかん」の一種である可能性が高いと思います.
Cさん:「てんかん」は子どもの病気で治らないと思っていました.

W:ところが歳を取るとまた増えてくるんです.Cさんのように,「隠れ脳出血」がある人にまれに起こることがあります.
Cさん:血圧には気をつけていたんですが.

W:気をつけてなかったらもっと大きな脳出血になっていたと思いますよ.なのでそれは素晴らしいことです.
Cさん:治らないんですよね.

W:「隠れ脳出血」は,残念ながらもう傷痕なので治ると言う事はありません.でも,お薬がうまく合えば「てんかん」の発作が無くなったりかなり頻度が減ったりします.
Cさん:それを聞いて少し安心しました.これからどうしたらいいですか?
W:早めに詳細な脳波検査をして,その後お薬を始めていきましょう.
Cさん:わかりました.

W:Cさん「老いたら」?
Cさん:「子と仲良く」ですね.

W:「ごちそうさま」のあとは?
Cさん:たまにはありがとうも言います(笑顔)

W:その2つを覚えているならボケてるとは言えないし,たとえボケても大丈夫です!奥さんもあまりご本人に言いすぎると「思いやり」が「重い槍」(ジェスチャー付き)になりますよ(注:Wが好きな表現).
Cさん妻:わかりました

W:それではCさん今日はお疲れ様でした.大変でしたね.今日はお昼ご飯をお二人にご馳走してあげてくださいね.
Cさん:あいにく慌てて出てきたので持ち合わせがあまりありません.

W:それではお気持ちだけでも! また,お会いしましょう.
Cさん:ありがとうございました.

W:それにしても娘さんお詳しいですねえ.
Cさん娘:あ,私,看護師をしています.

W:あっ,え〜〜と,ありゃ事前問診にも書いてありますね.私の方がボケてますね.
Cさん娘:先生のはいいボケだと思いますよ(笑)

W:ニコニコボケで行きたいと思います.
Cさん娘:ありがとうございました.

Cさんは,奥様の観察と娘さんの知識のおかげであっという間に正しい診断に至りました.
脳波では,やはりてんかんと診断できる所見がありました.幸いお薬の効果もあり,ぼんやり発作もほとんどなくなりました.

 

認知症疾患医療センター 医師 W

 

 

視覚から得られる脳活性化

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記憶の重要な役割の一つに、五感から得た外界の情報と頭の中の情報を照合することがあります。特に情報のかなりの部分が目で見ることによって人間の脳に伝えられるため、「視覚」は大事な情報源です。

暖かくなって、桜や菜の花や多種多様のお花の色彩を見ることも、視覚の刺激により脳活性化を図れると思います。是非、ゆっくりとご家族で春の散歩をしながら、脳活性化につなげて下さい。また、お花の花びらで、組色作品など作ってみると、更に、言語力、洞察力、理解力、想像力、コミュニケーション力等も活性化されると思います。

季節を利用しながら、この春の時間を楽しく過ごしてリフレッシュし脳活性化を図って下さい。

医療秘書 U

コロナフレイルを防ぐには?

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フレイル:(活動量の低下による心身の虚弱)

新型コロナウイルスの影響もあり、診察場でデイサービスの利用が出来ていないという声を度々聞くことがあります。
ご家族やご本人様もデイサービスを利用したり、人の集まる所に外出をすることによって新型コロナウイルス感染のリスクが高まり、持病がある方はその心配は当然のことだと思います。

しかし、家に引きこもることはあまりよくありません。心も体も弱まっていくだけでなく認知機能も衰えやすくなります。
デイサービスの利点は、身体介助やリハビリ、自宅では少し難しい他者との交流が得られることです。
デイサービスでも感染対策には細心の注意を払って運営していますが、少しまだ不安な思いのある方は転倒などに注意しながら、家の中で歩く距離を伸ばしたり体操をしてみてください。
体を動かす事で活動量の低下を防ぐことができます。

また、趣味があれば、編み物や塗り絵、創作活動や趣味がない人は趣味探しをしていくことも脳の活性化にいいと言われています。
新型コロナウイルスに負けないように、規則正しい生活を送り一日一日を大切にしましょう。
何か不安や心配事があれば、気軽に相談してください。
スタッフ一同お待ちしております。

            認知症疾患センター 外来看護師 F

コロナ疲れしていませんか?

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まだまだ寒い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
先日、倉敷もの忘れ事例検討会が開催され、参加してきました。これまでは、現地開催となっておりましたが、今回はオンラインでの開催となりました。普段であると、参加が難しかった方もオンラインでの開催によって「参加できました」といった声も聞かれていました。

今回の事例検討のテーマは、「認知機能が低下した高齢者に向けて(工夫した点・うまくいったこと)」でした。緊急事態宣言の発令によって、県外にお住いのご家族が帰ってこられなくなったり、不要不急の外出を控えるといったところから、必要な受診の拒否につながってしまったり、困ったなといった点が多くあげられました。実際、当認知症疾患医療センターにおいても、外出自粛によって日々の生活の刺激がなくなり、もの忘れがみられるようになってきたといったご相談であったり、これまでと同様の生活が送れなくなった(外出時にはマスクをしなければならない、毎日していた外出を控えなければならない)ことがストレスになったり混乱につながっているといった声が聞かれています。

みなさんは、日々の生活を振り返ってこんな症状はありませんか?疲れやすくて何もやる気がおきない、イライラして落ち着かない、もの忘れが気になる、集中できない、楽しいと感じない・・・。長期間の自粛生活からこころが疲れてきているのかもしれません。そんなときはストレスをなくそうとするのではなく、上手く付き合い自分を労わりましょう。ストレスが積み重なってきたら、疲れたときは休んだり、気分転換を図りましょう。生活リズムを整えるように意識しましょう。人との交流を大切にし、ささいなことでも自分だけで抱え込まず、周りの人に相談しましょう。

一方で、緊急事態宣言の発令は大変なことではありますが、“逆に良かったな”といったこともあるのかもという話にもなりました。お家で過ごす時間が長くなったことによって、家族の知らない様子を改めて知ることができた、いいところを発見できた、新たな趣味を発見できた、オンラインの普及によって多くの研修会に参加できたなど、よかった点もあげられました。また、家族の絆や地域の方々との絆を改めて感じることのできる機会になったといった声も多く聞かれました。
めまぐるしい毎日の中で、目の前の大変なことへついつい目が行ってしまいがちですが、よかったポイントへ目を向けることも大切なのかもしれません。

また、相手への「ありがとう」の感謝の気持ちを伝えること。このことも、感謝を伝える心の余裕をもつことでストレスの緩衝材となるのかもしれません。
日々の感謝を忘れず、今年も頑張っていこうと思います。

認知症疾患医療センター 公認心理師 H

“あなた”へ送りたい本です

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こんにちは。今回は認知症疾患医療センターにあります『認知症になっても人生は終わらない―認知症の私が、認知症のあなたへ贈る言葉―』(著:認知症の私たち2017)という貸出本をご紹介いたします。

この本は認知症と診断されたご本人によって作られている本になります。本の中には『届け、私たちの声!』と題し、直筆で書かれたものが掲載されています。続いて『認知症の私から認知症のあなたへ』との題で、認知症と診断されたご本人が贈りたい温かいメッセージが書かれています。最後に『私のホンネ』とのことでご本人の素直な気持ちが書かれています。

相手の立場になって考えるというのは難しいことです。実際に経験していないとなると、なおさら難しいですよね。認知症という現代の医学では治すことができない病気の診断を受けたご本人が、その日、その時期を乗り越えて、贈りたい言葉が多く書かれています。
『認知症のあなたへ贈る』とのことですが、これはご本人だけではなく、ご本人に関わる方にもぜひお読みいただきたい1冊です。というのが、先述したとおり、相手の立場になって考えるというのは難しいことです。この本からご本人と関わる上で、こう思っているのかもしれない、考えているのかもしれない、と気づけるヒントが書かれているかもしれないからです。また、悩んでいるご本人の手助けとなる1冊になるもしれないからです。100ページほどの本ですが、比較的文字も大きく読みやすいのでお時間があるときにぜひお手に取ってみてください。

最後に、私が印象に残った言葉をご紹介します。それは『認知症の私から認知症のあなたへ』の中で書かれています、『まだ出来る。そんな思いで生きている。』です。“病気になったから出来ない”と決めつけてしまってはいませんか?決めつけていなくても、ご本人を助ける意味で自然と決めつけているようになってはいませんか?何かが難しくなったときには、少し視点を変えて物事を見ると、今まで見えていなかったものが見えるかもしれません。
まだ出来ると思えなくても、“まだ出来るかもしれない“と視点を変えて、何かに取り組んでみるのはいかがでしょうか。

認知症疾患医療センターには他にもご本人が書かれた本があります。お時間がありますときに、ぜひ覗いてお好きな本を探してみてください。

精神保健福祉士 A