カテゴリー別アーカイブ: 認知症疾患医療センター

「認知症」って1つの病気?

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「認知症」って1つの病気みたいですよね.ところがそうではありません.
認知症の「症」の字はそもそも『その原因にな色々な病気があります』という印です.高血圧も,本来「高血圧症」であり,血圧が高くなる病気には色々な原因があります,ということを表しています。
なので「症」がついた病気は,その背後にある病態をしっかり見極める必要が多いのです。
「認知症」の原因も,頻度の高いものから稀なものまで本当にたくさんあります(表1)。
その中でも早期診断・早期治療によって「治る」病気もあります.特に数日から数週間で進んでいくような認知機能障害(認知症)は,「もう少し様子をみようかなあ」ではなくてできるだけ早く病院を受診しましょう。
代表的な病気には,慢性硬膜下血腫,脳血管障害,正常圧水頭症,神経感染症,脳腫瘍,薬剤性脳症,代謝性脳症(高アンモニア血症,電解質異常,等),などがあります。

認知症疾患医療センター センター長 涌谷 陽介

令和4年度 倉敷もの忘れ・認知症事例検討会『認知機能と運転免許~車の運転どうしよう~』開催報告

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2022年11月16日(水)にライフパーク倉敷にて令和4年度 倉敷もの忘れ・認知症事例検討会『認知機能と運転免許~車の運転どうしよう』が開催されました。当院認知症疾患医療センターが主体となり、当院の事例を元に地域の様々な職種(医師、薬剤師、ソーシャルワーカー、臨床心理士、地域包括支援センター、医療秘書等)で、運転免許の自主返納へつながる環境資源は何か、生活背景に何が必要かなどを話し合いました。グループワークを行うことで、一個人では見えなかった様々な視点から問題や、前向きな改善方法も見いだすことができたと思います。移動支援だけでなく、地域での買い物ができる環境整備、それに伴う地域の人と人とのつながりが、自動車運転返納の重要な鍵を握っていることが明らかになったように思います。この事例検討会を通して、地域の医療・福祉機関、倉敷市役所の方と意見交換することができたことは、当院認知症疾患医療センターの役割を担えたと思います。

認知症疾患医療センター 医療秘書 U.S

高齢者講習制度が変わったことをご存じですか?

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令和4年5月13日より高齢者講習制度が変わったことをみなさんご存じですか?
普通自動車を運転できる運転免許証を有する75歳以上の方が重大事故を起こしやすい交通違反をした場合、運転免許証更新時に運転技能検査が追加になりました。高齢者講習制度の変更以外にも,「サポートカー」限定免許の制度が新設され,申請により条件を付与又は変更することができるようになります。運転技能検査の対象となる違反行為としては
信号無視,通行区分違反,通行帯違反等,速度超過,横断等禁止違反(法定横断等禁止違反,指定横断等禁止違反),踏切不停止等・遮断踏切立入り,交差点右左折方法違反等(交差点右左折方法違反,環状交差点左折等方法違反),交差点安全進行義務違反等(交差点優先車妨害,優先道路通行車妨害等,交差点安全進行義務違反,環状交差点通行車妨害等,環状交差点安全進行義務違反),横断歩行者等妨害等,安全運転義務違反,携帯電話使用等があります。
※免許証更新時の誕生日の160日前の日前3年間の違反歴が対象となります。
免許更新期間の満期日に万70歳以下の方は、無事故・無違反で有効期間は5年ですが、71歳からの場合は無事故・無違反であっても免許の更新年数は変わります。

さらに、年齢が75歳以上の場合は、認知機能検査を受けなければなりません。
これまで75歳以上の高齢者は免許の免許更新時に、実車指導を受けるだけでしたが、今度は一定の違反歴が過去にある場合は免許更新の時に運転技能試験(実技試験)を課されます。その運転技能試験に合格しないと75歳以上の方は免許の更新ができなくなります。
高齢者の運転に対して厳しくなってきています。
私も久しぶりに父の運転する車に乗って父の運転は大丈夫か、いつまで運転するつもりなのかと考えました。父はまだ運転に対しては自信もありあぶないと思うことはなかったのですが、急に父親が運転免許がなくなってしまったときに困らないように、今から免許がなくなったときの生活について話あっておこうと思います。
岡山県は「おかやま愛カード」を申請すれば、バスの運賃が半額になったり、タクシーも1割引になったりしますがこれだけの免除で父は大丈夫なのかと不安になっています。
当院の運転免許外来を受診される方みなさん同じで、違反をして免許がなくなるかもしれなくなってから困っておられます。
そうなる前から家族みんなで話し合い、これからの生活が安心してできるようにしていきたいですね。

『高齢者講習制度が変わります!~改正道路交通法の施行~』をご参照ください。

岡山県警ホームページより

認知症疾患医療センター 看護師A

脳神経内科部長菱川望先生が実践する「認知症予防ヨガ」の動画ができました。是非ご覧ください。

このたび、倉敷平成病院YouTubeチャンネルに新動画「ドクターのぞみの認知症予防ヨガ」(6本シリーズ 1本2~3分)がアップされたので、ご紹介します。

1)準備体操
2)体を伸ばすポーズ
3)猫のポーズ
4)ねじりのポーズ
5)スーパーブレインヨガ
6)呼吸法


菱川先生は、数年前からヨガをご自身の健康法として実践しておられます。
このたび、ご高齢の方でも簡単に取り入れることができ、認知症予防につながるであろうヨガの紹介動画の制作依頼を受け、今回の公開となりました。

リハビリテーションスタッフの協力を得、座ったままできる姿勢のバージョンも紹介しています。

是非、生活に取り入れてみてください。

認知症疾患医療センター

第57回のぞみの会YouTube動画 第一弾を配信開始

令和4年度、『第57回のぞみの会』の動画、第一弾が本日11月1日(火)9時から配信開始となりました。
第一弾では倉敷平成病院 理事長 高尾聡一郎 先生による「開会のご挨拶」と倉敷平成病院認知症疾患医療センター 涌谷陽介 先生による勉強会「もの忘れ外来ってどんなところ?」を公開しております。


ぜひご覧ください。

今年のテーマは「こんな時こそ、救急から在宅まで、一貫した医療、介護を~共に歩む全仁会~」と定めて、職員一丸となり、冊子と動画の準備を進めてまいりました。11月より毎週火曜日9時頃から随時配信予定です。お楽しみに!

また、冊子も外来に設置しております。ご希望の方は発送もいたしますので、申し込みフォームよりご連絡ください。
詳細・お申込みフォームはこちら

次回動画は11月8日(火)「どうすればいいの?救急車」を公開予定です。

第57回のぞみの会実行委員

第11回日本認知症予防学会学術集会で倉敷平成病院より3名発表、涌谷センター長は浦上賞を受賞

9月23日(金)~25日(日)に行われた、第11回日本認知症予防学会学術集会(福岡国際会議場)で、当院から3名が演題発表し、「運転免許外来受診者130名の初回受診時と6カ月後の評価の特性の解析」で発表された涌谷センター長が浦上賞を受賞されました。浦上賞は、同学術集会で行われた発表のうち、学術の向上に貢献すると認められる優秀なものに授与される賞です。
また、当院 公認心理師と医療秘書がオンライン発表しました。ので各人のコメントをご紹介します。

発表した 吉川公認心理師よりコメント
今回は、「BPSD(不安)が強い入院患者への多面的評価・アプローチについて」事例発表をさせて頂きました。当院の公認心理師は、認知症疾患医療センターにおいて、BPSDの評価・アプローチを行ない、病棟では、認知症・せん妄サポートチーム(DST)とも積極的に連携を行ないながら、評価・介入を行なっています。
発表した事例は、BPSDが顕在化した入院患者に対して主治医・DST、リハビリとの連携、心理面などから多面的な視点で評価・アプローチを行うことが有効であったとの報告を行ないました。特に心理面では、回想法を通して生育歴を繰り返し語り、思いの表出が気持ちの整理につながった事例でした。
発表後の質疑応答では、病棟での心理師が介入する頻度や回想法の内容についてご意見を頂きました。
学会を通して、改めて連携を行なう大切を感じることが出来ました。今回の経験を日々の業務に活かして、精進していきたいと思います。貴重な経験をさせて頂き、ありがとうございました。

発表した 上野医療秘書よりコメント
「岡山県における運転免許返納の実態調査と返納支援に向けて」の演題で、オンライン発表をさせて頂きました。医療秘書の当院の運転免許外来での役目の一つに岡山公安委員会との渉外活動があります。岡山公安委員会のご協力のもと岡山県の運転免許の実態をデータ化し、市町村別運転免許の返納率を可視化することができました。
 各市町村の特徴が現れ、移動支援が普及している市町村は運転免許の返納率も高いことも明らかになりました。岡山県の自主返納推進の後押しができる発信ができたと思います。地域の方や当院運転免許外来に来院した患者さんの安全な暮らしを守り、自主返納を推進する役目がある医療機関のチーム医療のメンバーとして、今後も岡山公安委員会と連携し、よりよい医療提供を行う役割を図っていきたと思います。

 

今後もますます、多職種によるチーム医療でよりよい医療提供を行っていけたらと思います。

 

秘書広報課

認知症 家族教室グループワークの報告~睡眠編~

皆さんこんにちは!最近は心地よい気候に落ち着き、少しずつ秋が深まっていますね。皆さんはいかがお過ごしですか。
いつもならこの頃に、わくわくカフェ(認知症カフェ)や認知症の方のご家族を対象とした家族教室を開催している時期になります。しかし現在はコロナの流行もあり、開催を検討している段階です。

本日は、過去の家族教室のグループワークで話し合った対応方法について、このブログを読んでくださっている皆さんにも共有できたらと思います。

今回は「(認知症のご本人が)夜よく眠れていません」という問題について①眠れない要因についてどんなことがあるか、②どんな対応ができそうかという2点について参加者の皆さんから挙がった意見をまとめてみました。

まず、【①眠れない要因について】です。
挙がった意見としては、「昼寝をしすぎたかな」「トイレの回数が多いのかも」「騒音などの環境」「運動不足」「なにか心配事があるのかも」「寝酒・コーヒーが多い」「痛みがある」など様々な意見が出ました。皆さんはどのような考えが浮かびましたか?

そして、【②どんな対応ができそうか】についてです。
挙がった意見としては、「昼寝を短くする」「運動をする」「入浴時間を検討する」「安心感が持てるように」などの意見が出ました。
1つの問題についても、様々な要因と対応策が挙がりました。1人で考えるより、他の参加者の方の意見も聞けることで、「勉強になった」という感想が聞かれました。

今回は【夜よく眠れていません】という問題についてでしたが、日々のもの忘れ外来でも様々な困り事をうかがいます。

もの忘れ外来には医師、看護師、精神保健福祉士、心理師などのスタッフが在籍していますので、抱え込まずに気軽に認知症疾患医療センターのスタッフまでご相談いだたけたらと思います

そして家族教室が開催された際には、皆さんも是非ご参加くださいね。

認知症疾患医療センター 心理士 N

貸し出し本のご紹介

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まだまだ残暑が厳しいこの頃ですが、いかがお過ごしでしょうか?
9月は初秋。「○○の秋」と良く言われますが、読書の秋を楽しまれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、認知症疾患医療センターの貸し出し本『認知症を楽しく生きる』を紹介させていただきます。この本は著者の姑が多発性脳梗塞による老人性の認知症に罹り、92歳で亡くなるまでの十五年半に渡る闘病生活について書かれています。千葉県で暮らす著者と茨城県で暮らす姑。当初5年半は茨城県での生活を望み、周囲の温かい協力のもと独居生活を送りますが、その後十年間は著者の家へ引き取られます。初めての神経内科受診、介護サービスの利用、そして老人ホームへの入所に至るまで、家族の日常の様子が細かく描写されています。
著書はあとがきで、驚くまいとしても驚くことばっかりだった、姑は認知症とはどういう病気なのかと実演して見せてくれているようだったと語っています。認知症の人の家庭での介護に少しでも役に立てば、そんな著者の願いがこめられた1冊です。一見500ページ近い分厚い本にはなりますが、一つひとつのお話が4ページ程で書かれており、とても読みやすくなっています。

認知症疾患医療センターでは他にも認知症に関する本の貸し出しを行っています。ご興味のある方はお気軽にお声かけ下さい。

精神保健福祉士 A

認知症予防って?

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最近,認知症の「予防」ってよく見聞きすることがありますよね。

「○○予防」というと、その病気にならないための「予防」と考えがちです。認知症の場合、もちろん認知症にならない!という予防の考え方も大切です。でも、年齢を重ねれば重なるほど、言い換えれば全身の老化が進めば認知症になる可能性はだんだん高まるので、現時点では絶対に認知症にならない!!という予防法はありません。

医学的にいうと「予防」という言葉は、一次、二次、三次に分けられます。
一次予防は、前記のようにその病気にならないための予防です。
二次予防は、医学的にいうと早期発見・早期対応・早期治療のことを表します。
三次予防は、病気になったとしてもリハビリに取り組んで機能の回復・維持を図ったり、病気の再発をできるだけ防ぐことを表します。


世界的な研究によると、認知症発症の危険因子がだいぶんわかってきています(図1:認知症の12の危険因子)。

認知症の危険因子は、世代によって重み付けが異なっていることもわかってきています。図にあることで思い当たることがあって、将来認知機能をできるだけ維持したいなあという方は、ぜひ生活習慣を見直しましょう。

私個人としては、とてもざっくり言って認知症予防(一次、二次、三次とも)に大切なのは、「ヨボヨボ予防」だと思います。
よぼよぼには、「体」のヨボヨボと「心」のヨボヨボの2つの面があります。
体のヨボヨボは、すぐに想像がつくように手の動きや足腰の動きをしっかり保つことです。膝が痛かったり腰が痛かったりいろいろあるかもしれませんが、そうであっても動かせるところはしっかり動かして、痛みも軽減できるようにお医者さんとも相談していきましょう。

心のヨボヨボは、「あれもたいぎいこれもたいぎい」、「あれもしたくないこれもしたくない」という気持ちをできるだけ遠ざけることが基本です。そんな気持ちが増えていくと、笑顔も減っていくことが多いように思います。
でも、高齢になったり認知機能が衰えたりすると、その気持ちを遠ざけるために周囲の方々の理解とサポートが必要になります。周囲の方々も、思いやりが「重い槍」に、労り(いたわり)が「板割り」にならないように、お互いが心地よく笑顔になれる工夫が必要です。
その工夫がうまくわからない時は、病院や介護スタッフに遠慮なく尋ねましょう。

もう1つとても大切なのは、食事のいろどりです。塩分を控えたいろどりある食事は、体と心のヨボヨボを防ぐのにとても効果があります。暑くて食欲がないからと言って、今日もソーメン明日もソーメン(とつゆ)にならないように、色々な食材を食べましょう。

暑くて暑くてしかもコロナコロナの日々ですが、皆様どうぞ健やかに過ごしましょう!

認知症疾患医療センター センター長 涌谷 陽介

七夕に願いを

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本日7月7日は七夕です。
七夕といえば短冊に願い事を書いたことがあると思いますが、今年はどんな願い事を思い浮かべますか?健康や家族の幸せ、世界の平和等など人それぞれ色んな思いがあると思います。
願い事をする時はなかなかないので、今日はちょっと自分のためにお願いしてみるのも良いかなと思ったりします。
認知症疾患医療センターは、「コロナウイルス感染症退散!!」を願います。
また、笹に飾る色とりどりの折り紙を折るのも、脳活性化にもつながりますし、また落ち着いた時間が流れ家族や友人などと楽しむことができますね。言葉にできない方も、きっと自分の心の声を少しでもよいので書き留めてみるという時間になると思うので、七夕のこの日を楽しんで過ごしましょう。

医療秘書 S.U