日別アーカイブ: 2023年1月19日(木曜日)

乳がん検診の未来

カテゴリー: 放射線部 | 投稿日: | 投稿者:

現在、乳がん検診では死亡率減少の科学的根拠がある方法としてマンモグラフィがスタンダードな検査になっています。が、検査では乳房を圧迫することが必須なので痛みのせいで抵抗感を持たれている方が多いと思います。

今、“痛くない乳がん検診”を目指して、色々な検査・研究が行われています。
・超音波検査:大規模な研究が行われている途中で、現段階ではマンモグラフィと併用することでの有効性が示されている。※1

・MRI検査:無痛だが装置自体が高価でありできる施設が限られている。
・血液検査:2020年12月から臨床研究が行われている。※2
・涙液検査:涙液を採取して乳がんを見つけ出す方法が発表された。※3

どの方法も現在、有効性を確かめる研究が進行中です。痛みが少なく、時間がかからない検査が検診として実施できるようになれば検診の受診率も上がり死亡率の減少にもつながると思います。今後の進展が期待されるところです。
乳がんは早期発見で10年後の生存率が9割以上のがんです。乳がんで亡くなる方を減らすには検診受診率の向上と自己検診(ブレスト・アウェアネス:乳房を時々意識して、以前と変わりないか確認する習慣)による早期発見・早期治療が必要です。新しい“痛くない乳がん検診法”が確立されるまではマンモグラフィ検診を受けていただきたいと思います。撮影者側として受診者の方の痛みに寄り添い、なおかつ質の高いマンモグラフィを提供していきたいと思います。

※1 参考 国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 プレスリリース
※2 参考 日本対がん協会 ホームページ
※3 参考 乳がん検診学会誌 2022 31-2

放射線部 Y.Y