日別アーカイブ: 2022年11月12日(土曜日)

アニサキスによる食中毒

カテゴリー: 臨床検査部 | 投稿日: | 投稿者:

秋も一段と深まり、朝夕の寒気が身にしみる時節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか?

様々な食材が旬を迎える秋ですが、その中でも魚介類を調理する際には注意が必要です。
毎年多くの食中毒が全国で発生しており、そのうちの約40%は「アニサキス食中毒」が占めています。

アニサキス」とは寄生虫(線虫)の一種です。
その幼虫は長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。アニサキス幼虫は、サバ、アジ、サンマ、カツオ、サケ、イワシ、イカなどの様々な魚介類に寄生します。
アニサキス幼虫は、寄生している魚介類が死亡し、時間が経過すると内臓から筋肉に移動します。また、魚が生きているときから既に筋肉内にアニサキス幼虫が寄生している場合もあるため、注意が必要です。

アニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生、もしくは冷凍または加熱が不十分な状態で食べることで、アニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こします。
アニサキス症には、以下のようなものがあります。
・急性胃アニサキス症
アニサキス症の多くがこちらです。食後数時間から十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐を生じます。
・急性腸アニサキス症
食後十数時間後から数日後に、激しい下腹部痛、腹膜炎症状を生じます。

いずれの場合も、体内のアニサキス幼虫を取り除くことで治療出来ますので、激しい腹痛がありアニサキスによる食中毒が疑われる際は、速やかに医療機関を受診してください。

以下の点に気を付けることで、アニサキス症を避けることができます。
・魚を購入する際は、新鮮なものを選ぶ。また、丸ごと1匹で購入した際は、速やかに内臓を取り除く。
・内臓を生で食べない。
・目視で確認し、アニサキス幼虫を除去する。

また、調理・保存の際にもポイントがあります。
・十分に冷凍する:-20℃、24時間以上
・加熱調理する:中心温度60℃で1分以上

一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびなどは殺菌などのイメージからアニサキス幼虫を処理する目的で使用されることが多いのですが、これらを付けてもアニサキス幼虫は死滅しないので、注意が必要です。

近年では、アニサキスアレルギーもまた問題となっています。生きた虫体によるアニサキス症に伴って起きる場合と、虫体が死んだ状態の魚介類の摂取(冷凍あるいは加熱処理していても)により食物アレルギーと同様の機序で起きる場合の2通りが考えられます。つまり、アニサキスの生死に関わらず、体内に虫体が入ることによってアレルギー反応が起こります。この場合、ほとんどすべての魚介類が体内にアニサキスの虫体または幼虫を含みますので、魚介類を食べたのちに蕁麻疹が出たことがある方は注意が必要です。
正しい調理方法で旬の魚介類を安全に楽しみたいですね。

アニサキスによる食中毒を予防しましょう
アニサキスアレルギー!?|内視鏡検査なら足立外科胃腸内科医院
海の幸を安全に楽しむために~アニサキス症の予防~」 より引用

臨床検査部 A.M