日別アーカイブ: 2016年8月12日(金曜日)

耳マーク知っていますか?

カテゴリー: 臨床検査部 | 投稿日: | 投稿者:

ブログ少し前になりますが、今年4月1日に施行された『障害者差別解消法』の話を聞く機会がありました。この法律では「不当な差別的取扱い」を禁止し、「合理的配慮の提供」を求めています。そのことによって、障害のある人もない人も共に暮らせる平等な社会を目指しています。その話の中で、聞こえが不自由なことを表すマークとして出てきたのが『耳マーク』です(『耳マーク』の掲載には著作権が発生するため割愛しています)。

『聴覚障害は、外見からは障害が分からず、また障害の程度も、必要とする援助も、人によって違います。手話による援助よりも筆談の方が分かったり、口元をはっきり見せて、ゆっくり話すほうが良い方もいます。そして聴覚障害者であることが分からない為に、病院の呼び出しなどで名前が呼ばれても聞こえず、後回しになってしまう恐れがあります。この為、簡単に周囲に自分が聴覚障害者であることを知らせる必要があると、この「耳マーク」』が考案されました。このマークの形は、耳に音が入ってくる様子を矢印で示し、聞き手が一心に聞き取ろうとする姿をイメージしています。耳マークだけでは、その人が受けたい援助は分からないため「耳が不自由です。お手数ですが筆記して下さい」といった、自分が受けたい援助を示したカードを合わせて利用することもあります。このほか耳マークは、自治体や銀行、病院などが、聴覚障害者に援助をしますよと呼びかけるマークとしても利用されています。このマークがあることで、聴覚障害者は援助の依頼がしやすくなります。』(全日本難聴者・中途失聴者団体連合会HPより引用 原文ママ)

つまり「耳マーク」は、聴覚障害者にやさしい施設であることの証なのです。実はこの話を聞いた時に、「耳マークは市役所や銀行ではよく見かけるけど、病院ではあまり見ない」という声も聞きました。「病院内で見たことあったかなぁ・・・?」と思ったので探してみました。当院では「耳の不自由な方は、筆談での対応可能です。」と記載し掲示してあったので安心しました。
ところで、「障害者差別解消法」が制定された背景には、平成18年に施行された「障害者自立支援法」ならびに平成25年に施行された「障害者総合支援法」があります。法令名からも判る通り、障害者に対して「社会的養護」から「自立支援」への国の方針転換があるのです。それまでの盲学校・聾学校・養護学校が特別支援学校に名称変更されたことからも伺えます。障害者に対し、国として一方的に養護(保護)するのではなく、障害者自身が健常者と同じように自立できるよう支援しますということです。
「耳マーク」のある施設では、聴覚障害というバリア(制限)が聴覚障害者の負担とならないように、介助やサポートなどの「合理的配慮」を通して、健常者と同じようにコミュニケーションをとれることが求められます。その際、配慮する側と配慮される側という図式に囚われることなく、聴覚障害者の立場を尊重するというスタンスが必要だと思います。
聴覚障害だけでなく他にも様々な障害があります。その様な障害のある方が安心して来院できるように、わかりやすいやさしい医療推進委員会を中心にこれからも取り組んでいかなければいけないと思います。

臨床検査部 TaMa