日別アーカイブ: 2016年1月16日(土曜日)

糖尿病とインフルエンザ

カテゴリー: 糖尿病療養指導士 | 投稿日: | 投稿者:

糖尿病で血糖コントロールが悪い状態が続くと、インフルエンザなどの感染症に対する体の免疫機能が低下します。カナダのアルバータ大学公衆衛生学部のジェフリー・ジョンソン教授らは、カナダのマニトバ州で2000~2008年に肺炎や高熱などのインフルエンザとみられる症状を示し、医療機関で入院治療を受けた18~64歳の約16万人を対象に調査したところ、糖尿病患者では、インフルエンザ予防接種を受けている割合が高いにも関わらず、糖尿病でない人に比べてインフルエンザ発症率が高く、インフルエンザで入院するリスクが6%高いという研究結果を報告しました。

インフルエンザは予防が第一ですが、ワクチン以外の予防も大切です
ブログ(1)外出後の手洗い: 手指などに付着したインフルエンザウイルスを除去するのに有効で、感染予防の基本です。外出後の手洗い、うがいは一般的な感染症の予防にも勧められています。
(2)適度な湿度の保持: 空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って、適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。
(3)充分な休養とバランスのとれた栄養摂取: 体の抵抗力を高めるために、充分な休養とバランスのとれた栄養摂取を日ごろから心がけましょう。
(4)人混みや繁華街への外出を控える: インフルエンザが流行してきたら、高齢者、糖尿病などの基礎疾患のある人、疲労気味・睡眠不足の人は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。やむを得ず外出をして人混みに入る可能性がある場合は、ある程度の飛沫などを防ぐことができる不織布製マスクを着用することが、一つの防御策と考えられます。
(5)体重を毎日はかる: 特に減量対策をしていないのに体重が急速に減っている場合、高血糖が疑われます。すぐに医師に相談しましょう。

インフルエンザにかかった時は、通常よりも血糖コントロールに注意が必要です
糖尿病患者が病気にかかると、ふだんはしっかり血糖コントロールできていても、血糖値が乱れやすくなり、急性合併症が起こりやすくなります。そのような状態は「sick day〈シックデイ〉」と呼ばれ、糖尿病の療養生活で、特に注意が必要です。糖尿病の人は、風邪やインフルエンザにより、血糖コントロールが乱れやすくなります。規則的な食事が摂れにくく、血糖値に影響が出る恐れがあります。インフルエンザ発症後は薬を調節しなければならない時もありますが、自己判断でインスリン注射を中断するのは非常に危険です。風邪やインフルエンザのために食事をできない時間が6時間を越えたり、嘔吐してしまう場合、39度以上の高熱、60mg/dL未満の低血糖、300mg/dL以上の高血糖、息が苦しい、下痢をしている、心臓の鼓動が異常に早いなどの強い自覚症状がある場合、迷わず医師の診察を受けましょう。また、症状が重くなる、なかなか良くならない、過度の眠気がある場合にも、速やかに医師の診察を受けましょう。

参考資料:「糖尿病ネットワーク http://www.dm-net.co.jp/」

糖尿病療養指導士&薬剤師 いっちー