厚生労働省の2015年1月の発表によると、日本の認知症患者数は2012年時点で約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されています。
さらに、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人を占める見込みです。
認知症は「特別な病気」ではなくとても「身近な病気」になってきています。
〇もし認知症と診断されてしまったら…どんな薬があるのか?
認知症のうちおよそ半数がアルツハイマー型認知症、次いでレビー小体型認知症、そして血管性認知症と続きます。
アルツハイマー型認知症には、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンというコリンエステラーゼ阻害薬と呼ばれる薬と、メマンチンというNMDA受容体拮抗薬があります。
アルツハイマー型認知症を発症するとアセチルコリンという神経伝達物質が減少していきますが、コリンエステラーゼ阻害薬にはアセチルコリンの分解を防ぐ作用があるため、記憶障害や認知障害が改善されて病気の進行が抑えられます。
メマンチンは他の3剤とは全く作用機序が異なります。アルツハイマー型認知症では神経伝達物質の受け皿であるグルタミン酸の働きが乱れていることがあり、この薬はグルタミン酸の働きを抑えることで認知機能を改善していきます。中等度以上に進行した人向けの薬で、日常生活動作の改善に加えて、興奮や多落ち着きのなさを抑える効果もあります。
いずれの薬も適正な投与量まで様子を見ながら少しずつ増量していきます。これは副作用の出現の有無を確認したり、薬を内服することで起きる神経伝達物質の変化に身体を慣れさせるためです。また勝手に薬をやめると一気に症状が悪化することがあります。薬は医師の指示に従って用法用量を守って正しく服用してください。
薬剤師 Y.F