二日酔いについて

カテゴリー: 臨床検査部 | 投稿日: | 投稿者:

12月になり、例年通りとはいかないものの忘年会のシーズンになりました。

年末年始は親戚の集まりなどお酒を飲む機会が増えると思います。そこで気になるのが、お酒を飲みすぎた翌日に起こる、吐き気や胸やけ、頭痛などの不快な症状「二日酔い」です。お酒を飲むことで体内に入ったアルコールはからだ中を巡りますが、脳に到達するとアルコールが脳の神経細胞を麻痺させ「酔った」状態になります。

その後肝臓で分解されていく過程で産生される有害物質が過剰に蓄積することで二日酔いが生じるとの説があります。過度なアルコールは、血圧や尿量、血糖値などを調節するホルモン分泌に影響を与え、脱水や低血糖状態になり二日酔いの症状を悪化させることもあります。

時間が経過すると自然に改善していきますが、治療が必要になることもあります。

そこで、お酒を飲むときの予防策です。空腹時にお酒を飲むと、胃の粘膜が荒れやすいです。食べ物を口に運ぶことで飲み方がゆっくりになり、アルコールの吸収も緩やかになります。次の食品と一緒に食べるとよいとされています。
・胃の粘膜を保護する作用:牛乳やチーズなどの脂肪を含む食品
・アルコールを分解する力を高める作用:枝豆や豆腐、肉、魚などのタンパク質
・アルコールで失われがちなビタミン・ミネラル類を補う作用:野菜      等

お酒を飲んだ後は、アルコールによる利尿作用によって脱水症状を起こしやすくなるため、水分補給を心がけましょう。体内のアルコール成分を尿として早く体外に出すためにも有効です。お酒を飲んだ後は以下のものを積極的に摂るとよいとされています。
・アルコールの分解や代謝を促す作用:果糖やビタミン類(果物、100%果汁ジュース)
・胃の粘膜を修復する作用:緑茶や柿に多く含まれているタンニン
・頭痛やだるさをやわらげる作用:カフェイン(二日酔いの胃には刺激が強いので、ミルクを入れて飲むといい)
・肝機能を改善する手助けをする作用とされる:ウコン       等

二日酔いの症状がつらいときは、症状に応じた薬を上手に使ってつらさを和らげることも可能です。胃痛や胃の膨満感、吐き気、食欲不振などには、傷ついた胃の粘膜を保護する作用のある胃腸薬を選んでください。胃の粘膜が荒れ、悪化すると急性胃炎や胃潰瘍を起こすこともあるので、吐き気や胃痛、おう吐など胃の症状がひどく、なかなか治まらない場合は病院を受診しましょう。水分と睡眠がとれ、安静によって症状が改善されるなら、自宅で様子を見ましょう。

また、よく「二日酔いには迎え酒」といわれますが、もう一度アルコールを体内に入れ、酔うことで感覚が麻痺し、楽になった気がするだけです。迎え酒を繰り返すことから、アルコール依存症につながる例も多いとされています。絶対にやめましょう。
二日酔いの一番の原因は「飲みすぎ」です。お酒は「適量」を守って飲めば、悪酔いや二日酔いを招くことはありません。まずは自分の適量を知り、飲みすぎないことが最大の予防となります。

予防策や飲み方ひとつで次の日の体調はかわります。上手にお酒と付き合って、楽しい年末年始にしましょう!

臨床検査部 M.Y.

参考:お酒と健康 適正飲酒の10か条 アルコール健康医学協会
メディカルノート 二日酔い 横田 修一先生監修
くすりと健康の情報局 二日酔いの症状・原因 第一三共ヘルスケア