エコノミークラス症候群をご存じでしょうか?

カテゴリー: 臨床検査部 | 投稿日: | 投稿者:

みなさんエコノミークラス症候群をご存じでしょうか?元日に発生した令和6年能登半島地震関連の報道で最近耳にされた方も多いのではないかと思います。

正確には「深部静脈血栓症」が原因で、下肢の静脈内にできた血栓が血流にのって肺の血管である肺動脈に届き肺動脈を詰まらせてしまう「肺血栓塞栓症」のことを言います。エコノミークラス症候群という名称は飛行機などの座席で長時間じっとしていて急に立ち上がったときなどに発生しやすいことに由来します。直接的原因である深部静脈血栓症の症状としては下肢の腫れ・痛みがあります。特に片足にのみこの症状がでた場合は深部静脈血栓症である可能性が高く注意が必要です。
特に発症者が多かったのが2004年の新潟県中越地震と2016年の熊本地震だそうです。このとき余震による建物の倒壊を恐れ車の中で過ごす方が多く、そうした中で突然体調を悪化させる人が相次ぎました。足に血栓があったとしても小さな血栓の場合は無症状なことが多く無理をして車中泊を続けてしまい突然重症化してしまったと考えられます。

予防のために心掛けるといい事としては
①ときどき軽い体操やストレッチ運動を行う
②十分にこまめに水分を取る
③ゆったりとした服装をしてベルトをきつく締めすぎない
④かかとの上げ下ろし運動をしたりふくらはぎを軽くもんだりする
⑤眠るときは軽く足を上げる
等を行うと効果的です。

災害時などの特殊な状況下以外でも旅行での移動中や長時間のデスクワークの時など上記のことを意識的に取り入れてみてはいかがでしょうか?
また今回の地震をきっかけに普段の備えを見直された方も多いのではないかと思います。血栓予防として非常用持ち出し袋に用意しておきたいのが弾性ストッキングです。通常のストッキングよりも締め付けがきつく足に血がたまるのを防いでくれる効果があります。
当院では超音波での深部静脈血栓症の検査も行っています。明らかな下肢の腫れや痛みなどを感じる際はお気軽に医師にご相談下さい。

 

参考:NHK健康ch
厚生労働省ホームページ

イラスト:イラストACより

臨床検査部 N.K