日別アーカイブ: 2022年1月24日(月曜日)

カルシウムスコア測定(心臓CT検査)について

カテゴリー: 放射線部 | 投稿日: | 投稿者:

カルシウムスコアとは、心臓を栄養する動脈である冠動脈の石灰化を測定するCT検査です。
石灰化とは、動脈硬化が起こった血管の内壁にカルシウムが沈着した状態の事です。

この石灰化は心筋梗塞の発症リスクを予測する一つの因子となり、石灰化が多いほど、動脈硬化も多く、心筋梗塞を起こすリスクも高くなるという訳です。
この検査の目的は冠動脈が狭くなったところを把握するのではなく、将来起きる心筋梗塞等の心事故を予測したり、体全体の石灰化を把握することです。

撮影は心臓の動きに同期して撮影するため、心電図計測用の電極を胸に4ヶ所貼り撮影を行います。その画像を基にワークステーションという装置で解析を行います。
結果は数字で出るので客観的に評価ができます。

この検査の特徴は、血管撮影のような造影剤を使用せず、さらに被ばく量も少なく、検査時間も5分程度で比較的簡便に撮影することが可能な点です。

胸の痛み・しめつけ等の症状がある方や糖尿病・メタボリック症候群・高血圧・高コレステロール・喫煙者などの方は検査を受けてみてはどうでしょうか。

ここから、放射線技師なりの技術的なお話をします。
心臓を栄養している血管を撮影する訳ですが、その血管は心臓とともに絶えず動いています。その血管をブレ無く撮影するには特殊な方法を用います。
まず、先ほどの心電図の波形から一番動きの穏やかなタイミングを見極めます。
そのタイミングは心拍数によって2もしくは1ヶ所あります。
心拍数65を境に低ければ2、それ以上では1ヶ所存在します。
もちろん心拍数が低いほどタイミングを合わせやすくなります。
その心拍数65以下の2ヶ所のタイミングの中で一番動きの穏やかで時間の長いポイントは、脈と脈の間の75%あたりに存在する拡張中期と呼ばれるところです。ここが一番撮影に適したポイントになります。
心拍数が早い場合はその拡張中期がなくなり収縮末期と呼ばれる心臓が一番しぼんだ状態のところが唯一の撮影ポイントになります。ここは動きの穏やかな時間が短くブレ易くなるので注意が必要です。
この検査では心拍を下げるような薬を使わないのでどこを狙うか見極めが重要となります。
さらに撮影方法も、被ばくは少ないが高心拍に弱いもの、被ばくは多少増えるが高心拍に強いものがあり、その都度適宜選択しています。
あと、一番重要な事、それは息を止められるかという事です。
15秒程度ですが確実に息を止めないと呼吸によるブレはどうにもなりません。
もし、止められない場合は、心電図との同期をせず短時間で撮影をできる方法で行います。カメラで言うとシャッタースピードを短くすると止まって見えるのと同じ原理です。

以上ですが、この検査は心臓CTとしては比較的簡便な部類にはなりますが、撮影側としては心拍数が低いことを期待しつつ、思案しながら撮影を行っています。

 

放射線部 とんかつ