日別アーカイブ: 2021年3月11日(木曜日)

倉敷老健 紹介動画(フルVer.)をYouTubeにアップしました

カテゴリー: 倉敷老健 | 投稿日: | 投稿者:

新型コロナウイルスで施設の見学が難しいなか、少しでも倉敷老健の様子を知ってもらおうと、スタッフで協力して紹介動画(フルVer.)を作成しました。前回作成したショートVer.よりも更に詳しく倉敷老健の様子を見ていただける内容になっています。

老健のご利用をお考えの方、興味を持たれている方、お気軽にご相談ください。
スタッフ一同お待ちしております。

 

 

☎:086-427-1111(代表番号)

倉敷老健 相談員 T

SGLT2阻害薬の適正使用

カテゴリー: 糖尿病療養指導士, 薬剤部 | 投稿日: | 投稿者:

SGLT2阻害薬は多くのエビデンスの集積により、その有用性が世界的に注目されており、使用患者さんが増え続けている糖尿病治療薬であります。一方で、従来の糖尿病治療薬とは異なる作用機序を有しているため、SGLT2阻害薬特有の副作用に注意が必要です。なかでも糖尿病ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis;DKA)は、初期治療を誤ると生命にかかわる可能性が高いため、注意すべき副作用となります。今回はSGLT2阻害薬を服用する際の留意点をご紹介いたします。

糖尿病ケトアシドーシスDKAとは、インスリン欠乏や極度のインスリン作用不足と、グルカゴンなどのインスリン拮抗ホルモンの過剰分泌により、高血糖と高ケトン血症、アシドーシスをきたした状態です。症状としては、全身倦怠感や口渇などの高血糖症状に加えて嘔気・嘔吐、腹痛や過呼吸などがあり、処置が遅れると昏睡に至ることもあります。DKAの患者さんは、入院の上、脱水と電解質異常への対処、インスリン少量持続静注を開始します。

SGLT2阻害薬によるDKA発症の機序には、本剤ならではの特徴があります。SGLT2阻害薬を投与すると、尿糖排泄増加により血糖および血中インスリンが低下し、グルカゴン/インスリン比が増加します。その結果、肝臓では血糖低下を補うように糖産生が増加します。脂肪組織では脂肪分解が亢進し産生された遊離脂肪酸が肝臓でケトン体に変わっていきます。SGLT2阻害薬により、全身エネルギー代謝としてはブドウ糖利用から脂質利用の割合が増え、増加したケトン体もエネルギー源として心臓などに好影響を与えることが報告されています。しかし、そのような状況のなかで、不適切なインスリン減量/中断や極端な糖質摂取不足、脱水などの誘因により、この流れが増強されると、酸性物質である血中ケトン体が急増しDKAが発症します。有益とも考えられているケトン体を増加させ過ぎないことが重要です。

DKA回避のためには、明らかになっているこれらの原因や誘因をできるだけ取り除いていくことが重要です。とくに注意すべきはインスリン分泌能が極端に低下した患者さんですので、2型糖尿病として治療中の患者さんに対しても、一度は空腹時血清Cペプチドを測定して患者さんのインスリン分泌能を評価しておきましょう。
SGLT2阻害薬内服中は、インスリン不足のほかに糖質不足や脱水も重要な誘因リスクとなりますので、周術期やシックデイなどの際の一時休薬を必ず守りましょう。

SGLT2阻害薬は血糖降下や体重減少だけではなく、様々な代謝への好影響、心血管イベントや腎機能低下、脂肪肝などに対する影響が報告されています。一般的に、1型糖尿病患者が糖尿病性ケトアシドーシスになるのは高血糖のときであるため早く気づくことが出来ますが、SGLT2阻害薬を飲んでいるとケトン体が発生しやすく、また血糖値が上がらないので、気づくことが遅れてしまう可能性があるのです。

一方でSGLT2阻害薬のダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)は慢性心不全の適応が新たに追加されました。今後使用患者も増えることが予測されるSGLT2阻害薬を有効かつ安全に使用していきましょう。

何か気になる症状、疑問点などあればいつでも近くの医師や薬剤師に相談してください。

糖尿病療養指導士 薬剤部AAA

※写真はイメージです。