日別アーカイブ: 2020年7月12日(日曜日)

倉敷平成病院 市川薬剤部部長のコラムが週刊薬事新報(7月10日号:第3158号)に掲載されました

【熱闘、高校野球】

社会医療法人全仁会 倉敷平成病院 薬剤部 市川大介

 夏の風物詩と言えば、甲子園。今夏はCOVID-19の流行で、地方大会も中止となった。仕方がないとは言え、厳しい練習を重ねた高校生達には悲痛の決断だ。日本高校野球連盟から、春の選抜出場校に甲子園で1 試合の交流試合が実施されるとの報道があり、わずかながら救われた気がする。
どうして多くの人が野球に魅せられるのか。ラグビーやサッカーにも感動的な試合があって魅力的だが、終盤の大差は限られた時間では逆転できない。一方、野球には時間制限がないので、どんなに点差があっても、試合が終わるまで勝負が分からない。9 回裏2 アウト2 ストライク。次のフォークボールを打者が空振りすると、見ている誰もが試合は終わったと思い込む。しかし、ワンバウンドしたボールを捕手が取り損ねると、空振りした打者が一塁に走る、振り逃げだ。これを転機に劇的な大逆転劇が起こることもある。
ただ、プレーする側には、些細なきっかけで結果が真逆になる怖さがある。ほんのわずかタイミングがずれると凡打になり、いい当たりでも好捕されてアウトになる。平凡なゴロやフライが、ちょっとした何かで捕球できず、ちょっとした気持ちの変化がミスに繋がる。私自身も高校3 年間野球部だったが、試合は常に不安や緊張の連続だった。試合前日にスパイクやグローブを磨いて綺麗にし、根拠のないゲン担ぎをいろいろした。
ヒットを打てば、次も同じルーティンで「願掛け」した。人より努力すれば、何かを我慢すれば、最
後に運が味方してくれるかも、と言い聞かせていたのを思い出す。
プロ野球と違い、特に高校野球は一度負ければ終わりだ。凄い投手がいても、ヒットを打たれなくても、四球やエラーで点を取られて運悪く負けることがある。だから悔いのないよう、最後まで諦めず全力でぶつかる。そうした、ひたむきな姿が私達の心を強く魅了する。「どちらを応援するか」、私は、全力でプレーしているどちらも応援したい。勝負は時の運。来年は、高校球児達に熱い夏が訪れるのを期待したい。

 

この度、当院の市川大介薬剤部長のコラムが、週刊薬事新報(2020年7月10日号:第3158号)の29ページ「緑陰随想」に掲載されましたのでご紹介いたします。
市川部長のコラムは昨年も同誌に掲載されています。

秘書広報課