日別アーカイブ: 2020年6月12日(金曜日)

糖尿病患者の脱水症状に要注意

カテゴリー: 糖尿病療養指導士 | 投稿日: | 投稿者:

色とりどりのアジサイが花を咲かせ、梅雨入りの時候を感じると同時に、夏に向かって急激に気温が上昇してきましたね。

これからの時期は熱中症や脱水症状が起こりやすくなってきます。中でも糖尿病の方は特に注意が必要なことをご存知でしょうか?
今回は、糖尿病の方に起こる脱水の症状やそのメカニズムについて解説します。

高血糖の状態が続くと、尿の量や回数が増えたり、のどが渇いたりすることがあります。
インスリンが体内で十分に働かないと、高血糖、つまり血液中のブドウ糖の濃度がとても高くなります。ブドウ糖は体に必要な栄養分であるため、通常は尿といっしょに排出されず、血液中に戻されます。
しかし、糖尿病で血液中のブドウ糖が多くなり過ぎると、腎臓はブドウ糖を多量の水分と一緒に尿として排出するようになり、尿の量や回数が増えます。これが多尿です。

尿の量を増やすためには、体の中の水分を使います。高血糖状態を改善するために、体の中の水分が多量に使われてしまうと、脱水状態になります。
脱水になると、のどの渇き(口渇)を感じ、それを改善するために多量に水分を摂ります。これが多飲です。糖尿病に特徴的な、多尿、口渇、多飲の症状は、高血糖による脱水症状です。

暑い時にジュースや清涼飲料水をガブ飲みすると、水分を摂ったような気がしますが、これらには糖分が多く含まれているため、高血糖や脱水の改善にはなっていないことが多いのです。
そればかりか、「清涼飲料水ケトーシス」という合併症を引き起こし、意識が朦朧とすることがあります。重症になると昏睡状態で倒れてしまうこともありますので、注意が必要です。
そのため、飲み物は主にお茶やミネラルウォーターで摂ることをお勧めします。

脱水症状にならないためのポイントとして、食事時や間食時等、少しずつでも良いので日常的に飲み物を摂ることが重要です。
また、喉が渇いたと感じる時にはすでに脱水ぎみであるため、普段から意識してこまめな水分補給を行っていきましょう!

糖尿病療養指導士 PT R.S