日別アーカイブ: 2017年2月1日(水曜日)

岡山県初・『歩行アシスト』導入決定

カテゴリー: 倉敷老健 | 投稿日: | 投稿者:

暦の上では、もうすぐ節分ですが、春はまだ遠く寒い日が続いています。今年は全国的にインフルエンザが流行していますので、引き続き予防に努めていきましょう!!
さて今回は、2月から倉敷老健に導入が決定した本田技研工業(HONDA)の『歩行アシスト』についてご紹介させていただきます。
『歩行アシスト』は本田技研工業が2足歩行ロボット『ASIMO(アシモ)』で培った「倒立振子モデル」に基づき、1999年から効率的な歩行をサポートする歩行訓練機器として開発が始まったそうです。
歩行時に大腿(太もも)に装着したフレームから伝わる股関節の動きをモニターに内蔵された角度センサーで検知して、制御コンピューターがモーターを駆動します。必要に応じて足の振り出しと前進するための蹴り出しを誘導してくれるロボットです。
初期の試作品は32Kgもあり、とてもリハビリに活かせるものではなかったようです。その後、全国50以上の医療施設でモニター使用してもらい16年をかけて改善を繰り返して開発を進め、現在の小型軽量化(2.7Kg)が実現したそうです。2015年11月から全国の医療施設向けにリース販売が開始され、岡山県では「倉敷老健」が初めて導入する事となりました。

image003『歩行アシスト』は安全性を最優先課題として製造されており、補助してくれる力はご本人の5~8%に過ぎません。本当に僅かな力です。(※生活支援ロボットの安全性に関する国際規格「ISO 13482」に認証)ですから残念ながら、歩行が不可能な方が歩行能力を取り戻すといった治療効果の高い機器では有りません。機械の力で歩くのではなく、あくまでも自分の意思で歩行可能な方に対して正しく歩く方法やタイミングを覚えるためのサポートをしてくれる機器です。
image001例えば、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害により半身の運動機能障害(麻痺)がある場合には、正しく綺麗に歩こうと頭(脳)でイメージしても実際の体の動きと一致せず余計な力(筋緊張)が生じてしまいます。皆さんが無意識に行っている、「考えずに歩く」感覚を取り戻すのが非常に難しいのです。
ロボットによる正確な反復運動は無意識に自分の能力を発揮する感覚を取り戻してくれる可能性があり、歩行能力を高めるためにはとても重要な練習となります。
また、私がもう1つ効果を期待しているのが、高齢者の歩行能力を改善して転倒のリスクを軽減することです。多くの場合、年齢に伴い筋肉や皮膚は硬くなり関節の動きが悪くなってエネルギー効率が低下するため疲れやすくなり心肺機能も低下してきます。加えて利き手があるように、利き足や姿勢など長年の体の使い方の癖で背骨は歪み,左右差も強くなってきます。感覚も悪くなりますから、日常のちょっとした場面で転倒しやすくなってしまいます。加齢とともに骨も脆くなってしまいますから、「転倒=骨折」といった事態になる方も少なく有りません。筋肉の状態を整えたり,筋力を強化するリハビリスタッフとの機能訓練に加えて、正しい歩行の感覚を取り戻す事で転倒のリスクが軽減できるのではないかと考えています。
次回は、実際に『歩行アシスト』を使用した感想や効果報告をさせていただく予定ですので、ご期待ください。

倉敷老健 リハビリ職員 D