カテゴリー別アーカイブ: ヘイセイ鍼灸治療院

五月病には膻中(だんちゅう)

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早足に桜の季節も過ぎてしまいましたが、新しい環境や人に慣れなくて、緊張や気疲れにより、体調を崩していませんか。これから五月病などで気分が落ち込み、やる気が出ないなんて事になったら大変です。そこで今回は鍼灸院から、膻中(だんちゅう)というツボを紹介します。
最近来院された50代女性の患者さんは、めまい、頭痛、耳鳴りに困っていて、数回治療を続けました。効果が少し現れてきたある時、「胸が詰まった感じがして、モヤモヤする。」と訴えられたので膻中(だんちゅう)を使用しました。帰る際には、胸のモヤモヤは無くなりスッキリして、元々治療していた症状もかなり楽になったと言われ、それ以来この患者さんにとって、外すことの出来ないツボになっています。

まず、膻中(だんちゅう)には鎮痛安定作用があり、最初に書いた緊張や気分の不安、落込みなどにとても効果があり、これからの時期にもピッタリです。
さらに、イライラ、胸の痛み、息苦しさ、喉の痛み、自律神経の調節などにも効果があります。また、胸にあるツボなので、乳腺炎や出産後の乳汁分泌不全など女性疾患にも使用できるツボです。

鍼灸気になるツボの位置ですが、身体の中心線と、両乳頭を結んだ線(第4肋間の高さ)が交わるポイントにあります。さて、このツボは女性の場合ちょうど下着の辺りになる事が多いのですが、横刺と呼ばれる技法で下着を着けたままでも、皮膚に沿うように刺入する事が出来ます。でも、男性の先生に触られるのはちょっと・・・という患者さんもいると思います。ヘイセイ鍼灸治療院では女性の先生もいますので、安心して治療を受けて頂けるのではないでしょうか。

最後に、寒い冬が過ぎて過ごしやすい季節になっても、モヤモヤして気分が落ち着かない。これでは、せっかくの陽気がもったいない!!身体の治療だけでなく、心を調える事も鍼灸治療には出来ますので、今回は膻中(だんちゅう)を紹介させて頂きました。

ヘイセイ鍼灸治療院 shima

足指しびれの鍼治療

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60歳代の男性の方が、足の親指のしびれ・ケイレンの症状を訴え来院されました。
4年前から右足の親指、1年前から左足の親指に症状が現れました。しびれは1日中あり、横になると両方の親指が震えだします。しびれを感じ始めた頃は、仕事も忙しかったそうです。首肩こりはありますが、しびれの症状も親指以外に広がることもなく、他の症状はありませんでした。体型は痩せ型で手足は冷えています。また脈は滞って沈んでおり、舌体は細く裂紋もあり色が淡紅で苔は少し見られました。病院でも検査を行いましたが、血液と骨の検査に異常は見られず、腰椎に軽度のズレはありましたがしびれ症状の関連性は薄いと診断を受けました。
鍼灸これらの症状などにより、「肝血虚、湿停滞」という証が考えられます。東洋医学では、筋肉に潤いを与える「血」の不足や「気」や「血」の流れが滞り隅々まで行き渡らないことが原因でしびれが起こると考えています。またケイレンは五臓でいう「肝」と関わりがあり、「肝は筋を司る」、「肝は血を蔵す」ということから、肝の血が足りなくなると、筋を養うことができずケイレンが起こります。また舌の状態により湿がからみ水分代謝にも影響し、身体の津液が滞ることで筋肉の潤いも不足します。
これに対して配穴は肝経の太衝、肝腎同源の考えにより腎経の復溜で肝の陰を補い、湿の代謝に関係する脾経の陰陵線、三陰交、太白、気を全身に巡らす百会などを使い、治療をしていきました。
最初の頃はほとんど変化はありませんでしたが、さらに下肢循環に効果のある頭部のツボで浮白、通天、頷厭などを使えば、鍼直後からしびれが消失するようになりました。しびれは時間が経てば戻ってきましたが、治療を継続していくうちに戻ってくるしびれの強さが軽減してきているようです。手足の冷えも改善してきています。ケイレンに対してまだ効果は現れていませんが、慢性的な症状なので継続的に治療をしていきたいと思います。

鍼灸院MK

血小板減少症の鍼灸治療

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24歳の女性、血小板減少症で当鍼灸治療に来られました。患者さんは3か月前にかぜを引いた後、皮下出血点や月経出血量が多いなどの症状が現れ、病院で検査を受けたら、血小板4万あまりしかなかった(通常の血液中には10万~40万個/mm³含まれている)。特発性血小板減少性紫斑病と診断され、経過観察することにしました。
鍼灸鍼灸院に来られた時、血小板は6万ぐらいで、この2か月この数値で続いてきました。血小板の問題以外に、頭痛、めまい、倦怠感、慢性下痢や腹痛、冷え症、頻尿などの症状もあります。更に花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などの病歴もあり、季節の変わり目に症状が現れます。顔色が黄色っぽくて艶はない。舌質は淡暗、舌苔は薄白、皮膚は乾燥、艶はない。手足は冷たい。脈は細緩弱。患者さんは長年冷たい飲食が好んで、冬でも冷たい飲み物を飲んでいました。
血小板という言葉は漢方医学の概念の中に存在しておらず、もちろん血小板減少症という病名もありません。現れた症状から分析すれば、「脾気不足、中焦寒滞」という「証」だと考えられます。しかも、この証の中で現れたすべての症状を理解、解釈できます。
漢方医学の理論では、脾は消化器の機能を主る器官であり、同時に「統血」の機能もあります。脾の機能が弱ければ、消化吸収はうまくできなくなり、血液の成分を生成するための栄養が足りなくて、血小板の生成に影響を与えるとともに、「統血」の機能が弱ければ、血液は血管から漏れて出血症状も現れやすくなります。その他に頭痛や腹痛、冷え症、頻尿は「中焦寒滞」、つまり腹部の冷えによる症状であり、めまい、倦怠感、慢性下痢などの症状は「脾気虚」から由来した症状だと理解することができます。
これに対して、脾経の血海、陰陵泉、三陰交、公孫などのツボを中心に、陰交、天枢、足三里、脾兪、腎兪などのツボを合わせて鍼と灸の治療を施しました。1回目の治療をしてから、2週間後再度治療に来られた時、血小板は6万から4.7万まで下がりました。2回目の治療をしてから、更に2週間後に来られた時、血小板は8万台に回復しました。更に2週間後に治療に来たとき、血小板は9万台に増加しました。それとともに頭痛、めまい、倦怠感、慢性下痢や腹痛、頻尿などの症状もほとんど無くなり、冷え症も改善されました。
日常生活に冷たい飲食を控えるように指導して、体質を改善するために、暫く治療を続けるようにしています。
ヘイセイ鍼灸治療院 甄 立学