カテゴリー別アーカイブ: 認知症疾患医療センター

第5回もの忘れ予防カフェ開催報告

もの忘れカフェ認知症疾患医療センターでは、5月21日(土)に、『第5回もの忘れ予防カフェ』を開催しました。
『もの忘れ予防カフェ』は、認知症疾患医療センターに受診されている患者さんやご家族の支援として、『ご家族同士の出会いのきっかけ作り』や『普段は見られないご本人の一面を見つけられる場の提供』を目的に、平成25年12月に第1回目を開催してから、今回で第5回目の開催となりました。 当日はとても天候が良く、21家族45名と今までで一番多くのご家族・ご本人さんが足を運んで下さいました。
涌谷先生からのお話しでは、認知症予防には『運動・栄養・交流』が大切であるといったお話や、認知症診断の参考になる指の動きなどのお話しがありました。
予防体操では、通所リハビリから理学療法士の竹田さんに来て頂き、記憶力や注意力向上に効果がる『コグニステップ』を教えて頂きました。『音楽に合わせてステップを踏みながら3の倍数で手拍子』というなかなか難しい内容で、皆さん真剣に取り組まれていました。
後半は、皆さん思いおもいにコーナーへ移動され、『暑中お見舞いのハガキ作り』や『料理コーナー(ホットケーキ作り)』、『風船バレー』などを楽しんで頂きました。
また、幹事さん(ご本人さん)に活躍の場を設けられたらと思い、料理コーナーのお手伝いに加わって頂きました。上手に生地を混ぜたり、参加されている方へのホットケーキ作りを手伝ったりと、大活躍のご様子でした。
『交流コーナー』では、幹事さん(ご家族の方)や相談員を中心に、高齢者支援センターのスタッフにも加わって頂き、『認知症の方の自動車運転について』をテーマに、家族間での意見交換交換を行いました。
最後に、全員で千昌夫さんの『北国の春』を歌いました。涌谷先生からマイクを渡されたご本人さんも楽しそうに歌われ、会場全体が和やかな雰囲気に包まれました。
参加されたご家族の方からは、「本人の普段見れない笑顔が見れて良かったです」との声を頂き、家では見られないご本人さんの姿を発見して頂けたことにやりがいを感じました。
今後もご家族の交流の場としてだけでなく、ご本人さんが輝ける場面作りを提供していけるよう、工夫していきたいと思います。

リハビリテーション部 認定心理士 Y.M

認知症とは?②

カテゴリー: 認知症疾患医療センター | 投稿日: | 投稿者:

前回は、認知症がありふれた疾患である、ということを疫学的視点から見てみました。今回は、脳の機能を通して、認知症とは一体どのような疾患なのか?といった話題に入っていきたいと思います。 20160516 脳は、上の図のように部位によって、ある程度まとまった様々な機能を司っています。上の図で、水色で示した部位は、前頭葉と呼ばれています。前頭葉は、やる気、判断、決断、喜怒哀楽、理性、話す、運動、などといった機能に関わっています。 黄色で示した部位を側頭葉といい、音や言葉の理解、聴覚などの機能に関わっています。また側頭葉の内側には扁桃体(情動)、海馬(最近の記憶)とよばれる領域があります。 緑色で示した部位を頭頂葉といい、手順、空間認知(位置感覚)、感覚(温、痛、触)の認識や統合処理に関わっています。 ピンク色で示した部位を後頭葉といい、おもに視覚に関わっています。 大ざっぱに脳の機能を部位ごとに説明しました。上記の様々な機能を総称して認知機能と呼びます。重要なことは、それぞれの部位が単独ではなく複雑に連携して働くことにより、私たちは外の環境を認識し、適応して生活しています。認知症とは認知機能が衰えることにより(図では特にオレンジ色でマークされたもの)、社会生活や家庭生活に支障を来たす状態を指します。部位ごとの衰えの強弱によって症状はさまざまであり、人によって症状の出かたには個人差があるわけです。次回は、認知症の中でも特に、アルツハイマー型認知症の特徴についてお話したいと思います。 「もの忘れ」は早期発見・早期治療が重要であり、診断・治療のためには地域のかかりつけの医師との情報共有が非常に重要です。ご家族や身近な方、またはご自身のもの忘れが気になるという方は、まずはかかりつけの医師にご相談下さい。 認知症疾患医療センター相談室 直通電話番号:086-427-3535 認知症疾患医療センター CP 阿部

認知症とは?①

カテゴリー: 認知症疾患医療センター | 投稿日: | 投稿者:

 

ブログに上げたこれまで全5回の話題としては、認知症疾患医療センターの5つの役割についてこれまでお話してきました。①各種検査データや事前相談など多くの情報を元に鑑別診断、②診断にもとづく適切な治療方針の決定、③内科的異常の早期発見・治療、④かかりつけ医、福祉施設、地域、行政など関連機関との連携、⑤認知症に関する教育・啓発活動
今回からは、そもそも認知症とはどのような疾患なのか?という話題に入っていきたいと思います。まずは認知症を疫学的視点から見てみましょう。
認知症に関する厚生労働省の統計では以下のデータが示されています。
20160412
なんと、全国でおよそ462万人もの方々が、認知症に罹患していると予測されています。これは65歳以上の高齢者の約6人に1人の割合となります。上の図に軽度認知機能障害という言葉がありますが、これはさらに、最近の報告では60歳代→70歳代→80歳代別に発症率をみると10歳年齢を重ねると認知症の発症率は二倍になる、とわれています。つまり80歳代の方では60歳代の方よりも4倍ほど認知症を発症しやすくなる、ということです。
これを倉敷市の人口に当てはめて考えると以下のようになります。
20160412-1
みなさんからみて、この16600人という数字は多く感じられますか?それとも少なく感じられますか?これからも少子高齢社会は加速していきます。この数字は今後さらにふくれあがっていく可能性が高いでしょう。つまり、認知症は特別な疾患ではなく、誰でもなりうる「ありふれた病(common disease)」であるといわれています。
将来、自分自身が認知症を患ったときに、辛いことはできるだけすくなく、楽しいことはできるだけ多く、自分らしく生き続けていけるよう、今ここから、医療福祉を、隣近所、地域や行政を、少しづつ変えて行くための一歩を皆で踏み出すことが必要でしょう。
「もの忘れ」は早期発見・早期治療が重要であり、診断・治療のためには地域のかかりつけの医師との情報共有が非常に重要です。ご家族や身近な方、またはご自身のもの忘れが気になるという方は、まずはかかりつけの医師にご相談下さい。
認知症疾患医療センター相談室 直通電話番号:086-427-3535

認知症疾患医療センター CP阿部

認知症疾患医療センターの役割について⑤

カテゴリー: 認知症疾患医療センター | 投稿日: | 投稿者:

認知症疾患医療センターには5つの役割があります。①各種検査データや事前相談など多くの情報を元に診断を行い、②診断にもとづく適切な治療方針を決定し、③内科的異常の早期発見・治療し、④かかりつけ病院との情報共有を行い、連携して治療にあたります。また、地域や行政など、関連機関などの部門とも連携し、よりよいケアの方法を患者様、ご家族の方々と共に考えていきます。また、⑤認知症に関する教育・啓発機関として機能することも、患者様と患者様の援助に携る方々を総合的にフォローしていくために、とても重要な役割となります。
今回は役割⑤:認知症に関する教育・啓発機関についてご説明します。
認知症に関する教育・啓発機関
厚生労働省が定める、認知症施策推進5ヶ年計画(オレンジプラン) では、認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域の良い環境で暮らし続けることができる社会の実現を目指す、となっています。自助・互助の観念のもと、認知症疾患医療センター、かかりつけ医、介護施設、地域包括支援センター、家族会、地域自治体、行政など多くの機関が連携し、「その人がその人らしく生きていく」を支援していく社会がだんだんと整備されつつあることを前回ご説明しました。シームレスな連携を実現するためには、今回のブログテーマである認知症に関する教育、啓発活動が極めて重要になってきます。
認知症疾患センターでは医療の専門職だけでなく、一般の方々に対して、公開講座、セミナーや講演を行っています。倉敷平成病院では、一般の方々を対象に(専門職も含む)認知症セミナー、認知症公開講座、のぞみの会、神経セミナー、もの忘れ予防カフェや、もの忘れフォーラム(川崎医科大学付属病院と合同開催)等々認知症に関する教育・啓発・支援活動を実施しています。
また専門職向けとして、岡山県西部認知症懇話会や、川崎医科大学附属病院認知症疾患医療センター及び倉敷市高齢者支援センター(地域包括支援センター)と合同で、認知症事例検討会を実施しています。
家族や介護者だけでなく地域全体を含めた多くの人々が認知症に関する理解を深めることは、介護を行う方だけでなく地域全体の、認知症を患う方を支える力の向上につながり、認知症を患う方々の日々の生きにくさを軽減することにつながります。

「もの忘れ」は早期発見・早期治療が重要であり、診断・治療のためには地域のかかりつけの医師との情報共有が非常に重要です。ご家族や身近な方、またはご自身のもの忘れが気になるという方は、まずはかかりつけの医師にご相談下さい。

認知症疾患医療センター相談室 直通電話番号:086-427-3535

認知症疾患医療センター C P 阿部

認知症疾患医療センターの役割について④

カテゴリー: 認知症疾患医療センター | 投稿日: | 投稿者:

認知症疾患医療センターには5つの役割があります。①各種検査データや事前相談など多くの情報を元に診断を行い、②診断にもとづく適切な治療方針を決定し、③内科的異常の早期発見・治療し、④かかりつけ病院との情報共有を行い、連携して治療にあたります。また、地域や行政など、関連機関などの部門とも連携し、よりよいケアの方法を患者様、ご家族の方々と共に考えていきます。また、⑤認知症に関する教育・啓発機関として機能することも、患者様と患者様の援助に携る方々を総合的にフォローしていくために、とても重要な役割となります。
今回は役割④:かかりつけ病院、地域や行政など、関連機関との連携
について説明します。
地域自治体認知症疾患医療センターで診断が確定し、治療方針が定まると、患者様のかかりつけ医師や地域の認知症サポート医に情報提供をおこない、連携をとりながら治療にとりかかっていきます。また薬物的な治療のほかには、デイケアなど介護施設での脳トレや有酸素運動などのリハビリを行うことでも認知症の進行を遅らせることができるといわれており、リハビリ、生活習慣や生活環境の調整が必要になります。これらの調整のために地域包括支援センターや高齢者支援センターなどの外部機関との連携をとり、ケア、介護状況の調整をしていきます。
また、厚生労働省が定める、認知症施策推進5ヶ年計画(オレンジプラン) では、認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域の良い環境で暮らし続けることができる社会の実現を目指す、となっています。自助・互助の概念のもと、認知症疾患医療センター、かかりつけ医、介護施設、地域包括支援センター、家族会、地域自治体、行政など多くの機関が連携して「その人がその人らしく生きていく」を支援していく社会がだんだんと整備されつつあります。
認知症疾患医療センターでは高度な専門性と他機関、地域との連携をおこなって、患者様、ご家族を一緒に支えていきます。
20160216
「もの忘れ」は早期発見・早期治療が重要です。ご家族や身近な方、またはご自身のもの忘れが気になるという方は、まずはご相談を!
認知症疾患医療センター相談室 直通電話番号:086-427-3535

認知症疾患医療センター CP 阿部

認知症疾患医療センターの役割について③

カテゴリー: 認知症疾患医療センター | 投稿日: | 投稿者:

認知症疾患医療センターには5つの役割があります。①各種検査データや事前相談など多くの情報を元に診断を行い、②診断にもとづく適切な治療方針を決定し、③内科的異常の早期発見・治療し、④かかりつけ病院との情報共有を行い、連携して治療にあたります。また、地域や行政など、関連機関などの部門とも連携し、よりよいケアの方法を患者様、ご家族の方々と共に考えていきます。また、⑤認知症に関する教育・啓発機関として機能することも、患者様と患者様の援助に携る方々を総合的にフォローしていくために、とても重要な役割となります。
今回は役割③:内科的異常の早期発見・治療、についてご説明します。
③内科的異常の早期発見・治療

20160119

認知症を患う方は判断力や記憶力の低下のため、衣・食・住・病にかかわる自身の日常の体調管理・環境調整に支障をきたすことが多く、それに伴う内科的な異常の早期発見・早期治療が非常に重要です。例えば上記のような生活習慣のコントロールが、脳の機能維持のためにはきわめて重要になってきます。認知症の進行を遅らせることに寄与するだけでなく、認知症の危険増悪因子は妄想、幻覚、興奮、といった精神症状の併発にも強い関連があります、その症状を引き起こしている原因を注意深く観察し、環境を調整したり、薬剤を調整することによって症状を軽くする、または症状の発現を未然に防ぐことができます。この生活習慣の改善や維持をどのように行うのかといった点に関して、次にお話しする④関連機関との協調・連携によるサポートをおこなっていきます。

「もの忘れ」は早期発見・早期治療が重要です。ご家族や身近な方、またはご自身のもの忘れが気になるという方は、まずはご相談を!

認知症疾患医療センター相談室 直通電話番号:086-427-3535

認知症疾患医療センター CP 阿部

認知症疾患医療センターの役割について②

認知症疾患医療センターには5つの役割があります。①各種検査データや事前相談など多くの情報を元に診断を行い、②診断にもとづく適切な治療方針を決定し、③内科的異常の早期発見・治療し、④かかりつけ病院との情報共有を行い、連携して治療にあたります。また、地域や行政など、関連機関などの部門とも連携し、よりよいケアの方法を患者様、ご家族の方々と共に考えていきます。また、⑤認知症に関する教育・啓発機関として機能することも、患者様と患者様の援助に携る方々を総合的にフォローしていくために、とても重要な役割となります。
今回は役割②:適切な治療方針の決定、についてご説明します。
②診断にもとづく適切な治療方針の決定
もの忘れに関して鑑別診断を行った後には治療方針を決定します。

20151215-1

治療可能なもの忘れ、認知症のタイプ、生活習慣や体質によっても選択される治療方針が変わります。認知症専門医により、適切な治療方針を立てていきます。
ひとことに認知症といってもたくさんの分類があることは、前回に詳しく説明いたしました。では、認知症に対する薬物治療についてはどのような選択肢があるのかというと、現在本邦では、塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト、ドネペジル塩酸塩)、ガランタミン(商品名:レミニール)、リバスチグミン(商品名:イクセロンパッチ、リバスタッチパッチ)、メマンチン(商品名:メマリー)といった4種類のお薬があります。

20151215-2

先ほどご紹介した4種類のお薬は、認知症のタイプ、進行度、体質や持病によって選択が変ります。単剤でもちいることもあれば2種類のお薬を併用する事もあります。いずれにしてもお薬の効きぐあいや副作用の出かたには個人差が大きく、おひとりおひとりの身体に合った治療薬の種類、量の選択に慎重に取り掛かっていきます。そのためには、通常お世話をしてくださる方の観察によってもたらされる日常生活上の気付き、変化といった情報は、治療を進めていく上で、きわめて重要なものとなります。これらのお薬はいずれも、認知症の進行の速さを遅くするという作用があります。現在では、いまだ根治薬はありませんが、世界中で認知症の治療薬の研究が盛んに行われており、有力なお薬の候補も段々と発見されてきています。
進行の速さを遅くするといったお薬のメリットとは何か、それは認知症を患う方の今、現在の日常生活能力の水準をなるべく長い期間維持するということです。このことはご本人自身の自尊心の維持、ご家族を含め周囲の援助・介護にまつわる負担感の増大防止に直結する、極めてメリットの大きな治療となります。
また、妄想、幻覚、興奮などといった行動・心理症状(BPSD)に関しては、その症状を引き起こしている原因(内科的異常の早期発見・早期治療は特に重要です。次回に詳しく説明いたします)を注意深く観察し、環境を調整したり、薬剤の調整を行うことによって、症状を軽くすることが可能です。なにより医師や介護の専門家に相談し、一緒により良いケアに向けて考えていくことが大切です。
「もの忘れ」は早期発見・早期治療が重要です。ご家族や身近な方、またはご自身のもの忘れが気になるという方は、まずはご相談を!

認知症疾患医療センター相談室 直通電話番号:086-427-3535

認知症疾患医療センター CP 阿部

認知症疾患医療センターの役割について①

認知症疾患医療センターには5つの役割があります。①各種検査データや事前相談など多くの情報を元に診断を行い、②適切な治療方針を決定し、③内科的異常の早期発見・治療し、④かかりつけ病院との情報共有を行い、連携して治療にあたります。また、地域や行政など、関連機関などの部門とも連携し、よりよいケアの方法を患者様、ご家族の方々と共に考えていきます。また、⑤認知症に関する教育・啓発機関として機能することも、患者様と患者様の援助に携る方々を総合的にフォローしていくために、とても重要な役割となります。
まず、今回は役割①:鑑別診断について、ご説明します。
①鑑別診断
もの忘れを引き起こす原因には様々なものがあり、数十種類もの疾患が、もの忘れを引き起こすことがわかっています。
20151110
かならずしも脳の問題とも限らず、ビタミンB群の欠乏であったり、甲状腺の機能低下であったり、服用している薬剤による影響や、肝臓、腎臓など臓器の働き具合によっても、二次的に脳の働きが影響を受けることがわかっています。原因と考えられる疾患が多数存在するために、種々の専門的な検査や、もの忘れ専門医による問診など、さまざまな情報をもとに、患者様のもの忘れの原因を鑑別することが、認知症疾患医療センターの重要な役割の一つとなっています。

「もの忘れ」は早期発見・早期治療が重要です。ご家族や身近な方、またはご自身のもの忘れが気になるという方は、まずはご相談を!

認知症疾患医療センター相談室 直通電話番号:086-427-3535

第5回日本認知症予防学会学術集会へ参加しました

カテゴリー: 認知症疾患医療センター | 投稿日: | 投稿者:

平成27年9月25日~27日、神戸国際会議場にて、認知症予防学会の学術集会に参加してきました。当法人の関連施設や病院、認知症疾患医療センターからも演題を発表しました。20151006
認知症予防学会という学会名ですが、皆さん予防という単語からは、認知症の発症を予防する、というイメージが想起されやすいのではないかと思います。ですが、予防には一次予防・二次予防・三次予防という区分があります。

・1次予防:認知症でない人が認知症になるのを予防する
・2次予防:認知症の早期発見・早期治療
・3次予防:認知症の進行予防

認知症予防学会の学術集会では上記区分をテーマにした様々な演題発表・シンポジウム・教育講演が盛大に行われました。今回の学術集会のテーマとして、「エビデンス(科学的根拠)の高い認知症予防を目指して」という文言が盛り込まれていました。現在、テレビや雑誌などで認知症をテーマにしたものをよく見かけるようになりました。世間の認知症に対する関心の高さがうかがえます。そういった情報の中で「認知症予防には○○が効果的」といったうたい文句を多く見かけます。しかし科学的根拠という視点から見ると、それらはまさに玉石混合といった状態なのが実情でしょう。そういった状況を打開すべく認知症予防学会ではエビデンス(科学的根拠)創出委員会というものが設立されました。認知症の1次予防・2次予防・3次予防それぞれの分野で、より科学的根拠が高い結果・効果の検証がなされることで、より精度の高い知見を得ることができるようになります。このことは国の認知症施策にも沿っており、認知症を有する方や、その援助をおこなう方々だけでなく、認知症に関わるすべての人々の利益に直結するのではないかと考えられます。

認知症疾患医療センター  阿部弘明

もの忘れ予防カフェ

カテゴリー: 認知症疾患医療センター | 投稿日: | 投稿者:

皆さんは「認知症カフェ」をご存知でしょうか?
認知症カフェは、認知症の方やその家族、介護・医療専門職、地域住民が集い、お茶を飲みながら交流や情報交換を行う場所です。最近では、国家戦略(新オレンジプラン)でその普及が盛り込まれ、NHKが認知症カフェを舞台にした長期キャンペーンを実施するなど、新しい認知症対策の1つとして大きく注目されています。

image1倉敷平成病院でも、8月29日(土)在宅総合ケアセンターで4回目の認知症予防カフェが開店しました。親子、夫婦、小さなお子さん連れの家族の方など17家族33人が来店。認知症疾患医療センター職員で運営。参加者の中からボランティアの幹事を募り、事前に話し合いを重ね、当日は受付や喫茶コーナーを担当して頂きました。
涌谷センター長から認知症についてのお話の後、通所リハビリからスタッフを招いて予防体操で体を動かした後、喫茶やレクレーションを楽しみました。交流コーナーでは“ひとりじゃない こんな時どうする?”と題し、事前打ち合わせで話し合った、認知症の本人さんへの対応方法や工夫している点などを発表。
ものの置き忘れや、「盗られた!」と本人が訴える時には、<一緒に探して本人にみつけてもらう、話題を変える、病気であることを心に止めて家族は冷静に怒らず対応する(そのために認知症について学ぶ)>などの意見が出て、お互いのGOOD POINTを見つけました(正解を探すのではなく、自身や互いのGOOD POINTをみつけることが目的)。
ボランティアで幹事を務める井元さんは「平成病院はみんなのオアシス。今後は認知症の人の家族が気軽に話せる場が月1回欲しい。家族で連絡を取り合って毎月パーティしよう。」と話してくださいました。

 

image2集合写真は、職員とボランティアの幹事さん、高齢者支援センターの方との記念撮影