カテゴリー別アーカイブ: 薬剤部

秋バテに注意

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9月になりましたが、まだまだ暑く感じる日が続いています。
8月の猛暑の頃にバテて体調が不良になることを「夏バテ」と言いますが、最近では、9月に入って秋の気配を感じる頃になって自覚する同様の不調を「秋バテ」と称するようになっています。
夏バテとは、8月の暑い時期に体力や食欲が低下し、なんとなく体がだるい・食欲がないといった不調があらわれる症状のことです。 しかし、涼しくなった9月下旬頃から、体がだるい・食欲がないといった夏バテに似た症状があらわれてしまうことがあります。 これを「秋バテ」と呼びます。

秋バテの原因として、夏に身体を冷やしすぎてしまったため、自律神経のバランスが崩れ全身の血のめぐりが悪くなり、秋になって疲れやだるさ・肩こりや体調不良となって表れてきます。その他にも秋は気象状況も変動しやすく、猛暑日により熱中症になる人や、急な気温低下で体が冷え、関節痛が悪化することもあります。さらに台風もあり、気温や湿度、気圧の変動により、体調をコントロールしきれないなど様々なものがあります。

秋バテの対策として
・気温や天候に合った衣服や空調などの工夫をする
・睡眠をしっかりととる
・シャワーだけでなく、湯船にしっかりとつかる
・冷たいものを摂りすぎない
・水分摂取を怠らない
・適度な運動をする
・バランスの良い食生活を心掛ける
などが挙げられます。自分にできることから始めてみましょう!

秋バテと思っていても、体調不良が長く続くようであれば別の原因がある可能性もあります。その時は我慢せず医療機関を受診するようにしてくださいね。

薬剤部 M

薬剤師になるまでの道のり

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今年は梅雨明けが早く、長い夏になる予想で、6月下旬から猛暑日が続き…
この先どうなることかと心配していれば、今度は7月中旬から梅雨に逆戻りしたかの様な大雨続き…
異常気象に振りまわされたひと月でした。

早いもので今年の4月で私も薬剤師4年目を迎えました。
みなさんは薬剤師になるまでの道のりをご存知でしょうか?

薬剤師になるためには薬剤師国家試験に合格する必要があります。
受験資格は、薬剤師法により6年制の大学(平成18年度から薬学部は6年制)で薬学に関する正規の課程を卒業した人に限定されています。そのため、薬学系の大学に入学し、6年間勉強し卒業する必要があります。
薬学部では、有機化学や無機化学など化合物に関する基礎的知識をはじめ、体内で薬がどのように作用するかといった知識、病気やその治療についても学びます。また病院と薬局で約5ヶ月間の病院薬局実務実習が行われています。
薬剤師国家試験は、例年3月に2日間の日程で実施されています。受験科目としては物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病薬・薬物治療、法規・制度・倫理、実務となっています。
薬剤師国家試験に合格すると、申請により厚生労働省の薬剤師名簿に登録され、厚生労働大臣から薬剤師免許が与えられます。
卒業後の進路としては病院・薬局などの医療機関だけでなく、医薬品・化粧品などのメーカー、医薬品販売業、医療・衛生行政官庁、教育機関などがあります。

医療機関だけでなく、様々な分野で薬剤師が活躍しています。
薬剤師の仕事について少しでも興味をもっていただけると幸いです。

薬剤部 MM

参考:岡山県薬剤師会ホームページ

そもそもウイルスってなんだっけ?

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微生物とは、文字通り、通常肉眼では見ることの出来ないような微小な生物であり、細菌・真菌・藻類・原生生物(アメーバやゾウリムシなど)・ウイルス(※)など多種類の生物が含まれます。
ウイルスは、他の微生物とは大きく異なり、細胞壁・細胞膜・細胞質・核を持っておらず、大きさは20~300nmととても小さい微生物です(人間を地球とすると、ウイルスはネズミぐらいの大きさになります)。

ウイルスは、遺伝情報を担うウイルス核酸(DNAかRNAのどちらか一方)を中心にして、その周囲がカプシドと呼ばれるタンパク質の殻で包まれたような構造をしています(ウイルスの種類によっては、カプシドの外側にエンベロープと呼ばれる被膜が存在します)。
したがって、自分が生きていくために必要な材料が完全には備わっていないため、生きた細胞の中に寄生して、その細胞から不足している機能を補ってもらうことで、初めて増殖することができるのです。

ウイルスの増殖は、①吸着(ウイルス粒子が細胞膜の特定の部位に付着する)→②侵入(ウイルス粒子が細胞内に入り込む)→③脱殻(核酸が細胞質内に放出される)→④素材の合成(核酸やカプシドタンパク質、エンベロープが生合成される)→⑤ウイルス粒子の組み立て→⑥細胞外への放出という6つの過程を経て行われます。
1個の細胞に1個のウイルス粒子が感染し、この6つの過程で増殖するのに要する時間は、約10時間前後と言われており、産生されるウイルス粒子は数百~数千個とも言われています。そのため、感染したばかりなど日数が経っていない場合には、ウイルス粒子の量が検査で検出できる下限未満のため「陰性」と判定される可能性があるので注意が必要です。

簡単にまとめると、ウイルスは比較的単純な構造を持った非常に小さい微生物で、自身のみでは増殖できないため、生きた細胞に寄生し増殖するという特徴を持ちます。
この「単純な構造」であること、「生きた細胞に寄生する」ことが、抗ウイルス薬の開発をより難しくしているのです。

※ウイルスは、生物の定義の一つである「代謝を行う」を満たさないため、厳密には生物とは言えませんが、微生物の一つとして扱われることが多いです。

参照:シンプル微生物学

薬剤部 N.H

手術の前に服薬をお休みする可能性のある薬剤

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お薬の中には手術の前に服薬をお休みする可能性のあるものがあります。
血液をサラサラにする作用のあるお薬や、血栓のリスクのあるものなどが対象となります。
実際に手術の前にその薬を中止するかどうか、中止する場合いつから中止するのかは、それぞれの患者さんの状態に合わせて個々に医師が決定します。
手術を安全に受けていただくために大事なことは、手術の際に中止を検討する薬を服用しているかどうか、患者さんご自身が日ごろから把握しておくことです。対象のお薬を服用しているかどうかかかりつけ薬剤師と一緒に確認して、手術が決まったら手術を予定している医療機関の医師に伝えられるようにしおきましょう。

倉敷市内の保険薬局では、『手術・検査前に要チェック!お薬お知らせカード(休薬確認カード)』の配布が始まっています。手術が決まったら、お薬手帳と一緒にこのお薬お知らせカードも医療機関に持参し、医師や薬剤師に確認してもらいましょう。

薬剤部 こだ

真夏以外でも紫外線対策を

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5月に入り、初夏の風が吹く季節となりました。紫外線の量は5月から急激に増え始めるそうです。紫外線は1年中降り注いでおり、真夏以外でも紫外線対策は必須です。

日焼け止めに使用されている紫外線防止成分には、大きく分けて「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」があります。
紫外線吸収剤」とは・・・紫外線を熱エネルギーに変えて放出する成分です。無色透明なので白浮きがなく、製品に配合したときの塗り心地もなめらかです。人によっては肌に刺激を感じることもあります。
紫外線散乱剤」とは・・・肌を均一に覆って紫外線を肌表面で反射、散乱させて紫外線の影響を防ぎます。肌への刺激は少ないですが、白浮きしやすい、べたつきやすいといったデメリットがあります。

紫外線吸収剤として使われている成分:
メトキシケイヒ酸オクチル
ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸オクチル
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル
t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン
オクチルトリアゾン
パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル など

紫外線散乱剤として使われている成分:
酸化チタン
酸化亜鉛 など

日焼け止めには吸収剤のみが入っているもの、散乱剤のみが入っているもの、両方入っているものがあります。両方入っていれば紫外線のブロック率も高くなりますが、敏感肌や乾燥肌の方は刺激が少ないものを選ぶことが大切です。

薬剤部 KF

 

スーパーミラー

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先日、録画していた映画を見ました。
少女が、なりたいものに変身できる鏡を手に入れるお話でした。少女は大人になって、慣れないヒールを履いて、躓いて、大きく飛んで転んでしまいました。映画だったので、「いたーい!」で済みましたが、現実はそうはいきません。捻挫や骨折をしていたかもしれません。

このような痛みに対して、内服薬としては、主に以下のような鎮痛薬が使用されます。

・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)…ロキソニン、セレコックスなど
末梢で、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害して、発痛増強物質のプロスタグランジンの生合成を抑制したり、発痛物質のブラジキニンの感受性を低下させたりして、鎮痛効果をもたらします。ただし、プロスタグランジンには胃粘膜保護作用もあるため、胃腸障害などの副作用に注意が必要です。

・アセトアミノフェン製剤…カロナールなど
中枢へ働きかけて鎮痛効果をもたらすと考えられています。NSAIDsよりも胃腸障害や腎障害の副作用が少なく、NSAIDsが使用しにくい患者さんへも適しています。

・オピオイド鎮痛薬…トラマール、ワントラムなど
中枢神経内に広く分布しているオピオイド受容体に結合して、痛みの刺激が伝わるのを抑制します。慢性疼痛などに使用します。吐き気、眠気、便秘などが起こる可能性があるため注意が必要です。吐き気や便秘を予防する薬を一緒に使用することもあります。

映画の中で、少女はなりたい大人について考えます。自分はあの頃どんな大人になりたかったのか。そんなことを考えながら、今日も働いてきます!

薬剤部 P

第43回 高齢者のお薬を考える会 発表報告

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2022年3月3日(木)、20時15分~21時、第43回高齢者のお薬を考える会で発表を行いました。

「多職種連携による内服薬整理とアドヒアランス改善」という演題で、倉敷ニューロモジュレーションセンターや病棟での患者さんとの関わり方について紹介しました。当院では多職種連携を積極的に行っており、患者さんやその家族、介護者の困っていることに寄り添いながらその解決に努めております。今回の連携では、お薬と介護サービスの調整を行い、処方通り服薬することの重要性を介護者に共有したことで、退院後のアドヒアランス改善につながりました。

今回の発表は貴重な経験となり、今後の業務の励みとなりました。他施設の方々から、当院で行われている多職種連携について知ることができた、スタッフの丁寧な介入が素晴らしい等、ご好評いただきました。発表に際して、ご助言・ご指導いただいた方々に厚く御礼申し上げます。

薬剤部 K

老健薬剤師の仕事

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老健では薬剤師も働いていることをご存じでしょうか?

医師や他のスタッフ(看護師、介護士、リハビリスタッフ、栄養士、相談員など)と協同して、在宅に向けて適切に薬剤管理ができるようにすることが主な役割です。

老健薬剤師の仕事の内容として具体的には以下の通りです。

  • 老健に入所される前に、特殊な薬の有無など老健で対応可能かを検討するために薬の内容を確認する。
  • 入所時に改めて薬の内容やきちんとお薬を使えているかを確認し、注意することをスタッフにお伝えする。
  • 入所中に使用している薬について、医師と腎機能や肝機能による薬の量を調節したり、副作用の有無などを確認。必要に応じて入所者様の状態や薬の効果を確認するために検査を依頼する。
  • 栄養サポートチームや褥瘡、リスクマネジメントなど多職種で関わるチーム医療において薬についての情報を提供する。
  • 老健での医薬品の在庫を管理する。
  • 在宅に向けての薬の管理方法を検討する。(用法用量、調剤方法など)
  • 他医療機関や調剤薬局に対して適切な医療や薬剤が継続使用されるように退所時に薬の情報提供書を作成する。
  • 退所時にご本人やご家族に薬の説明をする。

 

老健は介護保険のため、一部の薬剤を除いてお薬代を頂くことはできません。新しく発売される優れた効果がある薬の使用の継続が難しい時もあり、薬剤師として心を痛めることもあります。保険制度を理解して医薬品による費用を抑えつつ、入所されている患者さん個々の健康に影響が出ないように最も適切な医薬品を提案することも老健薬剤師の重要な役割と考え日々奮闘しています。

老健薬剤師M

薬の名称には意味がある?

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現在、薬剤部にて薬剤師の業務補助として働いております。仕事の一つとして、卸業者から薬を仕入れ、それを薬の棚に保管する仕事があります。そんな業務を通して薬の名前などを自然と覚えるようになりました。

私事ですが、子供がアトピー性皮膚炎を患っています。冬の時期は乾燥もあり、皮膚のかゆみがひどくなると、皮膚科の先生から『リンデロンV』を処方されました。そのときはあまり気にしていなかったのですが、薬剤部で扱っている薬の中に「たしか『リンデロンVG』(以下、『V』『VG』)っていう名前の薬も確かあったような… 『G』がつくのとつかないのでは何か違いがあるのかな?」と、ふと疑問に思いました。

そこで、『V』と『VG』の名前の違いは何がちがうのか、これらの薬の組成されてるものを調べてみました。

 

リンデロンV(軟膏)  ベタメタゾン吉草酸エステル

リンデロンVG(クリーム)  ベタメタゾン吉草酸エステル ゲンタマイシン硫酸塩クリーム

 

このように、ベタメタゾンの『V』とゲンタマイシンの『G』という頭文字をとっており、ベタメタゾンとはステロイド剤のひとつで炎症を鎮めるはたらき、ゲンタマイシンには抗真菌作用があることがわかりました。『V』だけなのか、それとも『VとG』両方配合されているのか、ということを表していました。そのときの疾患の状況により処方される薬が違うのだということもわかりました。

これから、これらの薬が処方されることがあれば、皮膚の状態をどう判断され、何を処方されたのかが、自分でも少しはわかるなと勉強になりました。

薬の名称にもちゃんと意味があるものなのですね。

薬剤部 ガンガン

糖尿病治療と「ケトアシドーシス」について

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日本糖尿病学会から、SGLT2阻害薬について、「周術期におけるストレスや絶食により、ケトアシドーシスが惹起される危険性があるため、手術が予定されている場合には術前3日前から休薬し、食事が十分摂取できるようになってから再開する」と2020年12月に提言されてから1年が経過しました。「ケトアシドーシス」というのは、どのような状態のことでしょうか。

まず、「糖尿病性ケトアシドーシス」は、糖尿病の高血糖性の急性代謝失調で、インスリンが不足した場合や、コルチゾールやアドレナリンなどのインスリン拮抗ホルモンが増えてインスリンの作用が弱まった場合などに発症します。インスリンの作用が弱まると血液中のブドウ糖を利用できなくなり、代わりに脂肪酸を分解してエネルギーをつくり出す仕組みが身体に備わっています。これにより、脂肪酸の分解副産物である「アセト酢酸」、「β-ヒドロキシ酪酸」などのケトン体が血液中に増え、ケトーシスという状態になります。ケトン体は酸なので血液が酸性に傾き、「ケトアシドーシス」と呼ばれる状態を引き起こします。1型糖尿病ではインスリンがもともと体内で不足しているので「ケトアシドーシス」の発症リスクが高く、「糖尿病ケトアシドーシス」は1型糖尿病に多くみられる代謝異常です。

一方、「SGLT2阻害薬」は、2型糖尿病の治療にも使用される薬です。尿中に一度排泄されたブドウ糖の再吸収を抑制するので、血液中のブドウ糖を尿と一緒に体外に出して血糖値を下げる作用があります。食事を摂れない状態では、尿中へのブドウ糖排泄が促進されるために体内のブドウ糖が不足し、代替エネルギーを作り出すために脂質代謝が亢進するので「ケトアシドーシス」が引き起こされます。「SGLT2阻害薬」服用中は、薬の作用により血糖値が高くならないので、「正常血糖ケトアシドーシス」が起こり、気づくのが遅れることがあります。この場合は、治療初期から十分なブドウ糖とインスリンの補充が必要です。

「ケトアシドーシス」の主な臨床症状は、悪心、嘔吐、食欲減退、過度の口渇、倦怠感などです。このような初期症状を知っておき、異常があれば、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。日常生活においては、「シックデイ」と呼ばれる、発熱や嘔吐下痢を発症した状態のときには注意が必要です。また、過度の糖質制限ダイエットにも注意が必要です。

ただし、「SGLT2阻害薬」が特別に危ない薬ということではありません。1型糖尿病にも使用できる、体重を減少させる、心不全による死亡率を低下させる、慢性腎不全の進行を遅らせる、など、新しい効果も解明されて多くの患者さんに恩恵があります。もともと糖尿病はブドウ糖の代謝異常ですから、食事や運動といった生活習慣とは密接な関係があり、すべての薬で特徴や注意が異なります。まずは、自分の薬を理解すること、そして、正しい生活習慣を送り、特に冬場は感染症などによる体調変化に注意することで、危険な状態を回避できます。私たちと一緒に、糖尿病治療に取り組みましょう。

薬剤師 いっちー