栄養科通信vol.120『睡眠と食欲の関係』

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;熱帯夜が続きます。寝苦しくて夜中に目が覚めたり、なんだかすっきり眠れない、という声を聴くことも多い時期です。
2~3日眠れないくらい大丈夫、と思っていませんか?実は睡眠不足と食欲には深い関連があることが分かっています。

睡眠時間が5時間未満の人は5時間以上の人に比べ1.36倍肥満になりやすく、実際BMIも高いという報告があります。
5時間以上睡眠をとった人は8時間睡眠の人に比べて血中のレプチン(食欲を抑えるホルモン)の割合が低く、逆にグレリン(食欲を増やすホルモン)は多くなっていたことが判明しました。

ホルモンの変化はたった2晩の寝不足でも起きるため、睡眠不足が慢性化すれば常に食欲旺盛で、いくら食べても満足感が得られない身体になってしまいます。さらにレプチンとグレリンのアンバランスが続くと、身体はこれを生命の危機ととらえて基礎代謝などのエネルギー消費を節約するようになり、一層太りやすくなります。また血中のグレリンが増えると嗜好も変わり、糖質や脂質、炭水化物が多いスナック菓子などの高カロリー食を好むようになるという報告もあります。
一方で、睡眠中には脂肪を分解する「成長ホルモン」が脳から分泌されています。
成長ホルモンは、眠りについた直後から約3時間の深いノンレム睡眠中に分泌のピークを迎え、その後次第に減少していきます。寝つきよく、深く眠ることが重要です。
寝不足や浅い眠りで体の疲れが取れないと感じるのは、成長ホルモンが十分に分泌されていないから。同時に脂肪が分解されていないと考えられます。

良い眠りを導く食品とは
アメリカンチェリー・・・催眠作用のあるメラトニンを多く含む
バナナ、乳製品、ナッツ・・・睡眠を誘うセロトニンというホルモンの原料となるトリプトファンを含む
キャベツ、ケール ・・・メラトニンを多く含む
エビ、イカ、ホタテ・・・快眠をもたらすアミノ酸、グリシンを含む。グリシンは手足の血流を上げ体温を上げるため、その後体温が下がるタイミングで眠たくなる。

これらの食品を夕食に食べるといいそうです。
また、食後3時間は胃腸の働きが活発になりぐっすり眠れません。さらに揚げ物を食べると消化に時間がかかるため4時間以上胃腸は動き続けることになります。ぐっすり眠りたい場合は夕食での揚げ物は控えた方がよさそうです。

食事だけではなく、生活面ではよりよい睡眠のためにできることとして、
○寝る前にマッサージや、ストレッチをする。
○少し歩いたり、ほどよく疲れる運動をする。
○お風呂はぬるめにし、シャワーだけでなく湯につかる。
○規則正しい生活習慣にする。
○タバコ、アルコール、カフェインを含む飲料は避ける。
○寝床での考え事は避ける。
などがありました。
もちろん適度にエアコンを利用することも必要でしょう。
最近食欲旺盛で困っているという方は睡眠不足かもしれません。質の良い睡眠がとれるよう工夫してみてください。

栄養科 管理栄養士 A子