腰痛の鍼灸治験

カテゴリー: ヘイセイ鍼灸治療院 | 投稿日: | 投稿者:

今年の3月ごろ、腰痛を訴えて70歳代の女性が来院されました。
来院される4日前に草取りを始めて、その翌日から症状が現れました。立ち上がったり、歩いたり20160627など動く時に腰全体から股関節にかけて痛みます。その他に慢性的な手足の冷えや頻尿、足首に軽いむくみもありました。腹部を触ると、全体的に張っており、下腹は冷えていて押さえると軽い痛みもあります。
最初は腰の筋肉疲労を考えて腰部・下肢を中心に鍼灸を行いましたが、直後は症状が軽減するもまた痛み出すということで、2回目は腹部を中心に施術を行いました。
この患者さんの体質判断において、舌診では舌の色は白っぽく、白苔があり、脈は大きいが力は弱いことから『腎気虚』『痰湿停滞』が考えられます。
『痰湿停滞』は胃腸機能が上手く働かず、水分代謝が滞り、体内に余計な水分が溜まった状態で、さらに水分が濃縮してネバネバとして動きづらくなっていることをいいます。水分が身体に多いと、冷えやすい・むくみやすいなどの症状が現れます。東洋医学でいうところの『腎』は生命を維持するエネルギーを蓄え、体内の水分をコントロールする働きがあります。
これに対して治療は、天枢・足三里で胃腸機能を整え、水道・陽陵泉で水分代謝の改善を図り、照海・三陰交で腎を補い、下腹部の気海というツボに温灸をし、全身への気の流れが改善されるようにと、大腸兪・環跳のツボで腰下肢の流れを良くするように配穴しました。直後から症状も軽減し効果も持続してくれたようです。無理をしたら症状が現れそうになるのでしばらく施術は続けられていましたが、最近は自信が付いてきたと喜ばれていました。
この患者さんの場合、腎の機能が低下することで全身の循環がうまくできず疲労が溜まりやすく、もともと痰湿もあったので局所の施術だけでは症状の改善が見られなかったように思います。体質に合った配穴、施術方法で効果も変わってくるので、体質判断の重要性を改めて実感しました。

鍼灸院 MK