薬による眠気に注意しましょう

カテゴリー: 薬剤部 | 投稿日: | 投稿者:

3月に入り、春の陽気が感じられる日も増えてきました。横になるとすぐに眠気に誘われてしまいます。最近は年をとったせいか、食後に眠気に誘われることが多くなりました。先日、大阪市街地で起こった自動車事故のニュースを見ました。この事故の原因は「心タンポナーデ」という、大動脈解離で染み出した血液により心臓の機能が損なわれたことが原因とされたようです。ただ最近は、このような自動車事故が起こったときは、必ず最初に薬物による影響が疑われます。

平成25年に、厚生労働省から「添付文書の使用上の注意に自動車運転等の禁止等の記載がある医薬品を処方又は調剤する際は、医師又は薬剤師からの患者に対する注意喚起の説明を徹底させること」との通知が出されました。当院でも、自動車運転の注意が記載されている薬剤を服用される場合には説明をしています。眠気や意識障害を引き起こすものが該当しますが、大別すると、①「運転させない」ように説明する薬と、②「注意して運転する」ように説明する薬があります。

特に、①「運転させない」ように説明する代表的な薬、を挙げてみます。睡眠薬、抗不安薬、抗ヒスタミン薬、総合感冒薬、麻薬などの多くが該当します。薬を飲んだ後に眠くなるという経験をされた方は多いかと思います。また、病気そのものに対しても自動車運転に制限が必要ですが、脳神経系疾患の治療に使われる薬(抗てんかん薬、抗うつ薬、抗精神病薬、パーキンソン病治療薬、認知症治療薬、偏頭痛治療薬)の多くも該当します。それ以外では、痛み止めの「ボルタレン」「トラムセット」「トラマール」「モービック」「リリカ」「テルネリン」、消化器症状を治療する「ブスコパン」「プリンペラン」、咳止めの「メジコン」、抗生剤の「ミノマイシン」、禁煙治療薬の「チャンピックス」、頻尿治療薬「バップフォー」、心臓薬「アーチスト」「ニトロール」「アイトロール」「シベノール」などがあります。また、緑内障点眼薬でも、点眼後の一時的な霧視(ものが見えにくい症状)が治まってから運転するように注意するものがあります。抗ヒスタミン剤では「ザジテン」「リボスチン」など「点鼻薬」でも注意喚起があります。

また、②「注意して運転する」ように説明する薬の中には、血圧を下げる薬、糖尿病治療薬なども含まれます。自分の薬は大丈夫なのか心配な方は、薬剤師さんに尋ねてみてください。もちろん、自動車は生活に欠かせない必需品で、運転をしないようにと言われても、、、という方も多いことと思います。

ただし、薬物による意識障害で自動車が集団登校の列に突っ込むなど、悲惨な事故が起こっているのも事実です。薬を服用されている一人ひとりの裁量に委ねられるものですが、薬物治療の充実してきた現代では、気をつけなければならない社会問題です。

薬剤部 いっちー