失った歯を補う治療について

カテゴリー: 歯科 | 投稿日: | 投稿者:

ブログをご覧の皆さんやご家族の中に、歯が抜けたり抜歯処置を受けたあと、治療をしないままにしてしまっている方はいらっしゃいませんか?失った歯をそのままにしておくと、抜けた歯の近くの歯が倒れてきてかみ合わせのバランスが崩れたり、抜けた歯の反対側の歯が伸びてきたりします。また、抜けた歯のかむ力を補うため、残りの歯にも負担がかかり、最終的には歯全体の寿命を短くしてしまうことに繋がります。
歯を失った部分の治療の選択肢として、ブリッジ、入れ歯、インプラントによる治療があります。これらを欠損補綴(けっそんほてつ)といい、患者さんにはそれぞれのメリット・デメリットをご理解いただき、ご自身に合った治療法を選択していただきたいと思います。

【ブリッジ】
ブリッジとは、失った歯の周りの歯を土台にして作成する固定式の欠損補綴物です。
《メリット》
・違和感が少ない
・固定式のため取り外しの必要がない
・保険適応である(審美性を追求する場合、保険外となることがあります)
《デメリット》
・ブリッジの土台を作るため、土台になるの歯を大きく削る必要がある
・支えとなる歯に負担がかかる。
・本数や適応範囲に限界があり、欠損の状態によってはできないこともある
・歯肉とダミーの歯の間に食べかすがはさまりやすく、不衛生になりやすい
・保険治療の場合、第二小臼歯よりうしろは全部銀歯となる

【入れ歯(部分入れ歯・総入れ歯)】
入れ歯は、取り外し式の欠損補綴物です。失った歯の本数にあわせ、残っている歯に留め金をかけて安定させる部分入れ歯と、すべての歯がない人に対応する総入れ歯があります。
《メリット》
・取り外しが可能で清掃しやすい
・作成に当たり、残っている歯をほとんど削る必要がない
・失った歯の数に関わらず作成できる
・保険適応である(装着感や審美性を追求した場合、保険外となることがあります)
《デメリット》
・残りの歯に引っ掛ける留め金を作った場合、留め金による隣の歯への負担が大きい
・歯茎の粘膜に義歯が当たったり動いたりすることで傷ができたり違和感が出やすい
・異物感があるため、慣れるのに時間がかかる場合がある
・発音しにくくなることがある
・本来の歯があった状態よりかむ力が落ちるため、食事がかみ切りにくくなることがある
・毎日取り外しをして清掃、管理をする必要がある
・自身で取り外しや清掃ができない方は、入れっぱなしにすることで入れ歯そのものが細菌増殖の温床となることがある

【インプラント】
インプラントはあごの骨にチタン製の人工のネジを植え、その上にかぶせ物をして歯を再現する欠損補綴です。
《メリット》
・骨から固定されているので違和感がほとんどない
・かむ力が本来の状態に近いため、食事をしても違和感が出にくい
・周囲の歯を削る必要がない
・審美性の回復に優れており、見た目の違和感がほとんどない
《デメリット》
・保険適応外のため、高額な費用がかかる
・インプラント埋入後、骨とインプラントがつくまで数ヶ月かかるため、治療期間が長い。
・外科手術を伴うため、骨粗鬆症や糖尿病など一部の持病がある方は受けられない場合がある。
・支えとなる骨の量によって治療ができないこともある
・インプラント埋入後、インプラントの周囲に炎症が起きて感染源となった場合、簡単に取り出すことができない(周囲の顎の骨を含めて外科的に除去する必要がある)

失った歯の治療は、人生100年時代といわれるこれからの人生を豊かなものにするためにもとても大切です。治療に関して不明な点がありましたらお気軽に当院歯科までお問い合わせください。

イラスト:歯科素材.com より

歯科医師  F