糖尿病の食事療法では、炭水化物、たんぱく質、脂質をバランスよくとることが大切ですが、それらの代謝や合併症予防に関わるビタミンも重要な役割を担っています。
その中でもビタミンB1は血液中のブドウ糖をエネルギーに変換する際に必要なビタミンであり、ビタミンB1が不足すると、ブドウ糖から十分にエネルギーを産生できなくなるため、血糖値が下がりにくくなります。
ビタミンB1はインスリンが不足することにより欠乏しやすいといわれており、欠乏すると食欲不振、疲労、だるさなどの症状が現れます。また、重症な場合は脚気やウェルニッケ・コルサコフ症候群を引き起こし、さらに重篤になると死亡することもあります。
多く含まれる食材として玄米や豚肉、豆類、種実類があげられます。主に玄米がビタミンB1の摂取源だった日本では、精白米を食べるようになって以降、脚気にかかる人が多くなり、江戸患いとも呼ばれていました。現代でも、インスタント食品などの利用の増加により、ビタミンB1が不足し、脚気にかかる人もいるといわれています。
普段の食事からビタミンを摂取することを意識すると、血糖コントロールにつながります。血糖コントロールが悪くなってから急にサプリメントなどでたくさん摂取すればよいということではありません。普段の食事から様々な食品をバランスよくとることを意識してみてくださいね。
参考:さかえ2020年12月号「食事療法に必要なビタミン」
糖尿病療養指導士、管理栄養士 AT