冬本番、寒い日が続いています。この時期は風邪やインフルエンザ、コロナウイルスだけでなく高血圧にも注意が必要です。
夏と比べると、冬の方が血圧が上がる人が多いのですが、これは血圧を調節する交感神経が刺激されて血管を収縮させることが主な原因です。
加えて、冬は鍋物など塩分の多い食事が増えること、発汗が少なく、運動不足になりがちで体重が増えることも血圧上昇の要因となります。
その中でも特に、冬は朝に血圧が上昇する「モーニングサージ」により心筋梗塞や脳卒中など脳心血管疾病を起こす可能性が高まると言われています。
モーニングサージは、「血圧サージ」(あるタイミングで血圧が急変動を起こすこと)といわれるものの1つです。
健康な人にはゆるやかな血圧の日内変動があり、朝は高くなり夜に低くなりますが、朝目覚める前後に急激に血圧が上がるのがモーニングサージです。
正常血圧の人に比べると、日中に血圧が高い人は脳卒中や心筋梗塞のリスクが1.46倍、しかし日中は正常にもかかわらず朝だけ血圧が高い人は2.47倍であることが報告されています。つまりモーニングサージは普段測る血圧が正常な人にも起こる可能性があり、命かかわる病気のリスクが高まるため、特にこの冬の時期には注意が必要なんです。
自分が「モーニングサージ」かどうかは、家庭で血圧を測定することである程度知ることができます。夜寝る前に落ち着いた状態で血圧(収縮期血圧)を測定し、翌朝目を覚ましたとき、動き出す前の血圧(同)を測定します。これを数日間くり返し、その平均値から夜と朝の差をみて、血圧の差が55mmHg以上あるとモーニングサージです。
夜も朝も計るなんて無理!と言う方は、まず朝の血圧を測りましょう。起床して1時間以内、食事の前、トイレを済ませた後に測ります。寒さに耐えながら測定するのではなく、室内は温めておきましょう。
少し心配になった方は、モーニングサージを防ぐ工夫をしましょう。
温かいところから急に冷たい場所へ移動すると毛細血管が詰まり血圧が上昇
します。冬の朝は布団の中で手足を動かし、身体を温めてから布団から出たり、ゴミ捨てや新聞をとりに外へ出るときは近くても厚着をしましょう。入浴時に脱衣所を温めるのはもう有名ですが、朝のトイレも油断できません。冷え切ったトイレで排便しようと力むと、血圧は30~50mmHgも上がることもあると言われています。
また、ストレスを感じた時も血圧は上がるので、早朝のケンカや慌てての車の運転も、しなくて済むなら避けられるよう、時間に余裕を持って過ごしましょう。
高血圧は「サイレントキラー」といわれるほど自覚症状がなく進行します。糖尿病がある方は必然的に高血圧にも気をつけなければいけません。血圧測定から始めましょう。
糖尿病療養指導士 管理栄養士 A子